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手紙

「俺じゃダメなんだよね」
海を二人で眺めながら。彼は後ろから私を抱きしめた



「付き合う?」

電話越しに彼は言った。
彼の声がたまに今でも聞こえてくる。

「付き合う?」じゃなくて「付き合いたい」が良かった
「電話」じゃなくて「目を見て」が良かった

気付いたら、恋愛相談してた彼に惹かれてる自分がいた

あの時私が「いいよ」と言っていたら、「今」は変わっていたのかな
彼といると安心する、でも、欲が満たされると共に自分のことも嫌いになってゆく

彼と別れた後は必ず反省会
もっとこうすればよかったかな、でも、、。そんな風にタラレバの反省会

自分に自信もなくて、料理も、顔も、身体も
「なにもない」わたしが嫌いだった。
「なにもしない」わたしが嫌いだった。

友達の楽しく笑って写るSNSの投稿が羨ましかった
ほとんどの人をミュートにした時もあった

人の芝生は青く見えるもの。本当に自分のことしか考えられなかった

解決するために「考える」ことをしなかった
常に誰かのせいにして、常にマイナスな思考に至っていた



そんなわたしに彼はそっと、黙って抱きしめる
そして私もそっと彼を抱きしめた

つづく。

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