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古今集巻第十七 雑歌上 871番

二条のきさきの、まだ東宮のみやすん所と申しける時に、大原野にまうでたまひける日よめる
なりひらの朝臣
大原や小塩の山もけふこそは神代のことも思ひいづらめ

二条の后の、まだ東宮の御息所と申しける時に、大原野に詣で給ひける日詠める
業平の朝臣
大原や小塩の山も今日こそは神代のことも思ひ出づらめ

二条の后が、まだ東宮の御息所と呼ばれていた時に、大原野神社にお参りになる日に詠んだ歌
在原業平
大原の小塩の山の神も二条の后と共に、今日と言う日は神代のことを思い出して、お喜びであろう

京都の西山にある大原野神社とその背後の小塩山(をしおやま)は、藤原氏の祖神天児屋根命(あめのこやねのみこと)を祀っていますから、東宮の御息所は。
二条の后は、藤原高子(ふじはらのたかいこ)。清和天皇の后。東宮の御息所とは、東宮(皇太子、のちの陽成天皇)の母のこと。


この歌は、伊勢物語にも出ています。翁は業平のことで、業平は高子が清和天皇の女御になる前に、こっそり付き合っていました。

伊勢物語76段
むかし、二条の后の、まだ春宮の御息所と申しける時、氏神にまうで給ひけるに、近衛府にさぶらひける翁、人々の禄たまはるついでに、御車よりたまはりて、よみて奉りける。
大原や小塩の山も今日こそは神代のこともおもひいづらめ
とて、心にもかなしとや思ひけむ、いかが思ひけむ、知らずかし。

#古今集 , #雑歌上 , #在原業平 , #二条の后 , #大原野神社 , #小塩山

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