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【佐伯祐三―自画像としての風景】東京ステーションギャラリー

佐伯祐三さん、初めて知ったその時から大好きです。。
建物とか壁とか扉とか文字とか。
こんなに力強く荒々しいタッチなのに、なんかオシャレ。
なぜだかずっと見てしまう。。

対話鑑賞で扱う予定だったこともあって、初日に行ってきちゃいました~。結構混んでいてびっくり☆

●美術展の概要(HPより)※ちょっと省略

およそ100年前、大阪、東京、パリの3つの街に生き、短くも鮮烈な生涯を終えた画家、佐伯祐三(1898-1928)。1924年に初めてパリへ渡ってからわずか4年余りの凝縮された画業の中で、石造りの街並みを荒々しく重厚な筆致で描く作風や、軽やかで繊細な線で画面を埋め尽くす独自の画風に到達しました。私たちは、佐伯の絵画に向き合う時、風景に対峙する画家の眼、筆を走らせる画家の身体を強く想起させられます。それゆえその作品はしばしば、画家自身を映したものー自画像にたとえられます。本展では、佐伯が描いた「東京」「大阪」「パリ」の3つの街に注目し、画家が自らの表現を獲得する過程に迫ります。
15年ぶりの大回顧展となる本展が、佐伯芸術の魅力を再発見する機会となることでしょう。

●祐三さん、どうしてパリで描いて、どういう人生だったの?


祐三さんが生きた時代は、西洋の新しい文化をどんどん入ってきて作家が自分のものにしよう、さらに消化して自分の画風を確立しようともがいていた時代。
日本でそれを行った作家もいるし、当時先端だったパリへ行く作家も。
そんな中で祐三さんはパリへ。
パリで本格的な画業をスタートし、ヴラマンクやユトリロの影響を受け、自身の画風を確立し、一時帰国するも再度パリへ行き、正味4年あまりの画業、わずか30歳という若さで逝去してしまう。

ぎゅっと凝縮された仕事だったんだなぁ、、と思ってしまう。

●作品の特徴①描き方:早描き&対象に忠実&デフォルメ

調べてみると、祐三さんの絵は「対象に忠実に描いていた」そうです。
後の研究者が現場に行ってみると、驚くほど忠実に要素が確認できたそうです。

意外じゃないですか?

簡略化やデフォルメにより作者の主観的な風景を描いたと言われています。

●作品の特徴②モチーフ:裏通り&視点&縦の線


そして、どうしてここを描いたのか。こういう画の切り取り方をしたのか。
パリの華やかな部分より、裏通りの薄汚れた壁、扉などに惹かれる美意識をだったよう。
描かれた絵を見ると、ポスターがラフに貼られた壁、街角の靴屋の入り口、少しさびれた街の生活感があふれています。

文字がよく出てくるのも特徴的。
これは、祐三さんがお寺の息子で、書のたしなみがあった事も関係あるのでは?という指摘がありました。どこかの図録で。

また画角が類型できる、という指摘も。
それは彼が絵になる画角を瞬時に的確に捉えられるカメラアイであったためでは?という説がありました。

そして。なぜパリの風景に惹かれたのか。日本に一時帰国したけど再びパリへ行ったのは?
「日本の風景は横に広く、画面がしまらない」というようなことを画家が言っていたようです。
そこで、パリから一時帰国した時に描いたものは、電柱とか船の帆柱とか。
確かに縦の線がとても楽しいのです。リズムがあって。

確かにヨーロッパの堅固な建物にはしっかりとした縦のラインがある。
これは当時の日本にはなかったろうなぁ~。

私もはじめてヨーロッパに行った時、バチカンだったけど、
その石造りの重厚な四角い世界に「はわ~」となりました。
それとは違う気持ちかも知れないけれども。

●自分がなぜ、この絵に惹かれるのか


これら要素をパッと捉えて素早く仕上げることによる、荒々しいタッチ。
早く描く事の効果を初めて理解したのはゴッホでは?と図録に描いてあったけど、この絵からもその魅力をすっごく感じます。
絵具の盛り、勢い。
そこからほとばしるエネルギー。

祐三さんがすっごく惹かれた「この感じ!」がビシビシ伝わってくる。
病気がちで残りの時間を惜しむように描いていたような姿さえ想像してしまう。

屋外の絶筆といわれる《黄色いレストラン》と《扉》。
これで自分の仕事は終わったと言わしめた作品。

絵の変遷をたどって最後にこれを見たときの気持ち、
たまんなかったです。

●まとめ

好きすぎて感想と調べたことがぐちゃぐちゃになりましたが
素晴らしい展示会でした!
あのタッチは可能ならばじかに感じてみてほしいです~。



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