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ベタベタ。ベタベタ。

 僕は何事もベタなものが好きだ。

 朝起きたら最初にすることは二度寝だし、目覚まし時計が鳴ればイラっとするし、起きてすぐに意味もなくTwitterを開く。

その日着る服を選ぶのは億劫だし、行くのめんどくさいなとか思いながら荷物をリュックに詰めるし、時間がないのに意味もなくInstagramを開く。

別に聞きたい音楽もないけどとりあえずイヤホンはするし、待ち合わせに遅れそうなら「ごめん、遅れる」とLINEするし、信号がプカプカすれば少し走ってまだ渡り切ってないのに歩く。

なんとなくSuicaをスマホに登録するのは不安だからカードのまま持ち歩くし、エスカレーターは左によるし、電車を待つ間はスマホをいじる。

ハチ公前で待ち合わせをするし、相手を見つけたら両手を合わせて「ごめん、待った?」って言うし、「ううん、待ってないよ」と言われたら「待ったんだろうな」と思う。

少しおしゃれなカフェでお茶もするし、よくわかんないけど古着屋に入るし、いつの間にかほどけた靴ひもを結ぶ。

相手と別れたらまたイヤホンをつけるし、電車の中でSNSをチェックするし、溜まったLINEの通知を少しだけ返す。

家に着いたら第一声は「つかれた」だし、お風呂に入るまではめちゃくちゃめんどくさいし、意味もなくスマホを開く。

風呂から上がればYouTubeを見るし、課題の提出期限が迫ってればめんどくさがりながらもやるし、スマホを充電器に差してから寝る。

ベタだ。大学生の休日のサンプルみたいな1日である。

 さらっと嘘をついた。こんな1日送ったことがない。

ベタってなんだ。ベタな一日を送るのってこんなにも難しいのか。

休日なんて朝目が覚めて、スマホを開いたらもう夜だ。大学生の休日なんてそんなモンでしょ?そんなもんだよね、ねぇ!目逸らさないでよ!ねぇ!!!

子供の頃に思っていた「ベタな一生」だってそうだ。

 熱い想いを残してくれる父さんとまなざしをくれる母さんの元に生まれ、いじめや差別のない小中学校生活を過ごす。

高校に入学して気の会う仲間と出会い、体育祭や文化祭を先頭に立って楽しみ、文武両道を果たし、それなりにいい大学に入学する。

大学に入学すると、サークルにバイトに遊びと毎日忙しく充実した日々を送り、先輩や教授に可愛がられていたおかげで、就職活動もさほど困ることなく第一希望の会社へと入社が決まる。

同期と切磋琢磨し、協力し合えたおかげで会社でもいい成績を残し、学生時代から付き合っていた彼女と結婚することを決める。

子宝にも恵まれ、仕事は上向きで、趣味のゴルフも好調と充実した毎日を送る。

最近、会話が少し減っていた中学生の息子の授業参観に行くと、廊下に張り出された「私の尊敬する人は父です。」と書かれた息子の作文を見つけ涙ぐむ。

その二十年後、息子が妻の若い頃によく似た女の子を連れてきて結婚することを伝えられる。

待望の孫が生まれ、週末はショッピングモールへ行きおもちゃを大量に買い与え、妻と息子夫婦に怒られる。

孫が20歳となり、息子と3人でお酒を飲む。

縁側で飼っている猫と日向ぼっこをしているとだんだんと眠くなり、眠る。

そんなベタな一生。

なんだこれ、難易度が高すぎる。誰が達成できるんだ、このベタ。

振り落とされ、振り落とされ、最終的に残るのなんて漫画の世界の住人とほんの一握りの現実世界の人間だけなんじゃないか。

ベタって難しい。

 あーっと、何を書きたくてこの文章始めたんだっけ。わかんなくなっちゃった。

まぁ世の中の人はベタだなぁとかよく言いますけど、そのベタをするのもなかなか難しいよねってお話。

ベタなものとかってなんとなく避けがちだけど、そのベタを手に入れたくても入れられない人もいるんだよってこと。

ベタベタ言ってたら、あんず飴食べたくなってきたな。昔銀歯が取れたトラウマがあるから食べれないけど。

hamadai先生の次回作にご期待ください。

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