NHKスペシャル"宗教2世"「神の子はつぶやく」感想②


前回書いてきた、NHKスペシャル"宗教2世"「神の子はつぶやく」感想の続きです。
今日「続き書かないかも」と書いてしまったのに、結局書いてる…たぶん業みたいなものです。


では早速続きを書いていきますね。



3.宗教から物理的に離れても、苦しみは終わらない

3-1.「自分を守れないこと」と「何がやりたいのか、やりたくないのか分からない」ことは地続き

ドラマを見ながら、そうだよな…と思ったこと。
未成年が家を出たら、そう生きていくしかないだろうな思うのと同時に、
「宗教って物理的に離れてからも苦しいんだよな…」と…。

主人公の遥ちゃんは、夜の世界でもお客さんの言うことを断れず、自分を守れず仕事をしています。そして、教会の世界を出てしまうと自分がやりたいのか、やりたくないのかも分からない。

私は結婚後に母や教会から離れたので、離れたあとは、ここまでハードな人生ではありませんでした。

でも私も結局教会を離れたあとも、(ここは遥ちゃんとは違うけど)教会と似た雰囲気のコミュニティを選んでしまっていました。相手の期待を読みすぎてケアラーやったり、搾取対象にはなってたなと…。

「自分を守れない」ことと、「自分が何をやりたい/やりたくないのかが分からない」ことは地続きの問題だと思います。

私も結局、自分がどういう人たちと付き合いたいのか分からなかったです。
そして(ドラマからはズレますが)教会を嫌いながらも「世の中は悪い」と教えられてきたから、「教会みたいな雰囲気のところが『まだ安全』」と信じ込んでいました。
その辺りが整理されていくのは、後にnoteに書くであろうトラウマ治療の過程です。


3-2.「宗教からいかに離れるか」のその後…

また、離れても頭の中は神様のことばでいっぱいだという遥ちゃんのセリフがありましたが、そこも共感してしまいました。
そうそう、親や親の宗教から離れられても「はい、解放されたね。良かったね」で終わらないのが宗教の厄介なところです。

個人的に「これって子どもの頃から宗教押し付けられてきた人あるあるなのかな?」と思うことがあります。

成人後に信じた人たちは、怖い話よりも愛とか慰めとか「いい話」が印象に残りやすいように思おます。でも子どもの時から押し付けられた人は、地獄や裁き、(私のところは言われなかったけど)やめたら不幸になるなとの「脅し」要素が残りやすい気がするんです。

見えないものって「それがない」と証明するのは難しいからね…あれを1人で抱えるのは苦しいよねと感情移入してしまいました。


4.母親が宗教より子をハッキリ選べなかったのは、リアルかもしれない…

遥ちゃんの母は、最後彼女が帰ってきても「宗教をやめた」ことを理由に関わりを持とうとしません。それまで「模範的な2世」に見えた妹の祈ちゃんの行動によって、母親は遥ちゃんと妹を抱きしめます。

母親は宗教を捨てるとは言わなかったし、ドラマだから一応落とし所はつけたんだろうけど、この先も決してハッピーエンドではないのはわかる。
ドラマを見てきたら、母親が宗教コミュニティを捨てられないのは明らかだし、母親もそこ以外に居場所がないのは明らか…。

(それは高校で孤立していた遥ちゃんも同じ…)

ここで母親が謝って、母親が宗教よりも子どもを選んだという結末になってしまったら、私、余計に苦しいなと思っていたので個人的にほっとしました。

宗教1世と信仰のない宗教2世との間が、いかに対話が成立しなくなってしまうのかと言うことは理解されにくいです。

「親とちゃんと向き合え」と言われても、そもそも生身の2世の方向を向いてくれない親だったりするのですが、そこを分かってもらうのは難しい…。
2世も親の関係は色々であることに、配慮していただいたのかもしれませんね…。

でも信仰のある人とない人を区切るのって、割と穏健なキリスト教でもあるよなと思うのです…。露骨に関わらない、まではやらないとしても…。

5.お父ちゃん、良かったよ。

最後に…森山未來演じるお父ちゃんが、しみじみ良かったです。
森山未來は好きな俳優さんで、1割ほど「森山未來出演」に引っ張られて見たのですが、正解でした。

ただ子どもが望むことを選べるように願って、不器用ながらもアクションを起こし、ことばを掛けてくれる父というのが、宗教1世-2世家庭にどれだけいるだろうかと思ったのも本音です。

母が狂信的、父は信仰なしという夫婦の組み合わせは多いのですが、私の父は無関心でした。

私は安倍元首相の事件のまえから、一部の友人に、母親から信仰を押し付けられていると相談していました。友人たちが言うのは、
「ねえ、お父さん何してるの!?」
なんですよね…。

「両親とも宗教1世」という家庭は、本当に逃げ場がなくて苦しいだろうと思います。
でも「母のみ宗教1世」という家庭の、父親の不在感も少し知っていただけたら嬉しく思います。

そうそう、あとは遥ちゃんが母親と宗教を離れたあとも苦しみ続けた「罪悪感」についても触れたかったんだけど、私がエネルギー切れです…。
また気が向いたら、どこかで書くかもしれませんが。

ドラマを制作してくださったNHKの皆様、ありがとうございました。そしてSNSを通して、こうした感想を言い合える人がいることも、ありがたく思っています。

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