いいな。

　せめて夢の中でくらい、あいたい人にあいたい。あいたい時にあいたい。本当は思ってること声に出して言いたい。現実はあまりにもつらい。つらくてこわい。それに大変。

　人生は楽しいものではなく続いてゆくものだから、どうしたら嫌にならずに続けてゆけるかを考える。
　仕事、食べるもの、一緒にいる人。そう考えたら、途端にひとりぼっちな自分が情けなくなってくる。

　誰かの、これからも続いてゆく誰かの人生に、居ても差し支えない人間になりたい。差し支えないのは大前提で、できれば喜びや癒しも提供したい。そう思ってはいるのに、そうしたいのにうまくできない。うまくやること、正しくいること、間違わないことが、これだけ生きてきてもとてもむずかしい。

　どれだけ遠くに住んでいても、あいたい時にあえなくても、行きたい場所に行けなくても、取り返しのつかない過ちで消えてしまいたくなっても、続いてゆくから仕方ない。

　好きになるのは難しい。自分を好きになる理由がない。なのでなるべく、嫌いにならないように。なるべく、嫌にならないように。続いてゆくものだそうですから。

　なんでもいいのに。新しい傘を買ったとか、駅前の八百屋が安かったとか、そんなことを話したい。夏だから夏野菜を食べたり、手持ち花火をしたりしたい。そんなんがいい。穏やかで特別な日の連続を、退屈と勘違いしながらあなたと過ごしたい。

　特に何も言ってないのに、同じ時にお互いのことを考えていたらしい。夢に出てきたよ、と連絡がきた。私も、昨晩あなたのことを考えていたよと言った。素敵な出来事。宇宙とか心とか、思いが届くならこうであってほしい。

　枕の下におく写真は、たのしい時のものがいい。残らなくても、今の私とあなたの。あいにきてね。夢でまってる。