見出し画像

橋本治『人工島戦記』に関するささやかな情報共有

前回の日記から一ヶ月、私は相変わらず文学理論などの勉強をしている。
読みやすい入門書を何冊も読むのもいいけど、しっかりした厚さのある教科書を一冊通して読むことも必要だな、と『文学理論講義─新しいスタンダード─』を読んで思った。

あと、理解できたところは少なかったけど読んでよかったのは『新フェミニズム批評』。

勉強するとか”広く浅く読む“必要があるときは図書館が本当に便利。こっちは勉強するつもりで読んでるのに「わかってもらおうなんて全然思ってないでしょ」って感じの理論書に当たると早々に手放してる。内容の難しさじゃない。わざとワケわかんなく書いてんのかな?ってくらい合わない本なんてザラにある。逆に、難解で単語の意味もわからないけど読みたくなる本ももちろんある。自分が書くために読んでるから、書き方とか読者に対する姿勢も全部参考になる。本は読んでみないとわからないから、片っ端から借りて読んでいる。こういう読み方に経費かけてると破産するから図書館はいいな。でも一番いいのは大学の施設。市の図書館で限界感じるとうらやましくなる。大学行ってたときは使い切れずに過ごしてしまった。

本を読めば読むほど、そして論文を集めれば集めるほど、文献管理ソフトって必要なのかな?と思う。私は独学で研究しているので、あまり聞ける人がいなくて不安になる。いつまでもexcelとwordで大丈夫かな?とか。

大きさ

橋本治で研究論文を書くと決めた当初から、対象は『人工島戦記』に絞っていた。
もともとは雑誌に連載されていて、連載時の本文を読むことも研究のアプローチの一つなので、国会図書館に複写を依頼した。が、ここで問題が発生した。

2021年に単行本が発売になったときの出版社の情報では、「小説すばる」に1993年10月号から1994年3月号まで掲載されたとある(例えば、下のリンクの記事)のに、1994年3月号には該当する箇所がないため複写できないと言われたのだ。

国会図書館の掲載箇所調査というサービスに依頼したところ、雑誌連載時の最終回(第6回)は1994年4月号であることが判明。つまり1994年3月号は休載だった。
結果まで聞くと単純な話だけれど、“該当なし”という回答を見たときの私は結構混乱した。

今回は単行本がすでにあって、発売当時の情報も豊富だったから比較的スムーズに正解にたどり着けたけど、単行本になる前は本当に手がかりがなかった。もちろん人工島戦記という作品があったことは知っていて、雑誌に連載されていたことも掴んでいた。でも媒体も時期も(90年代半ばというくらいまでしか)わからない段階は途方に暮れるしかなかった。だからまぁ、今回は出版社の情報にちょっと振り回されたけど、それでも単行本が発売されたおかけで雑誌連載時の情報の手がかりができたわけなので、ありがたいなぁと思う。

未完で長編で、って文学研究には向かない人工島戦記を今後研究する人がいるかもしれないから書いておく。
人工島戦記の連載は「小説すばる」1993年10月号から1994年4月号(1994年3月号は一回休み)の全6回!

以上、人工島戦記に関するささやかな情報共有でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?