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デートにはいろんなカタチがある

デートと言われたら何を想像するだろう。

好きな人と手を繋いでキュンとなるアレとか
相手が何考えているのかわからなくて
もどかしくも聞けない気持ちのアレとか

「おしまいのデート」に甘酸っぱい経験は私にはない。

切なさと、悲しさと、悔しさが混ざったような
もどかしい気持ちを味わうことが多い。

結局この人に愛想尽かされてしまったんだな
どうせ価値観が違っただけなんだ

と開き直る自分に苦しくなる。

そんな「おしまいのデート」にも素敵な物語があることに出会った。
瀬尾まいこさんを好きになったのはつい最近のことだが、もう6冊目の本だ。

「おしまいのデート」

6つの違うストーリーが1つの本から繰り広げられている。
小学生とおじいちゃん
高校生とその先生
高校の男友達
バツイチOLと大学生
園児と保育士。
いろんなカタチのデートが描かれている。

瀬尾まいこさんのすごいところは、
すらすらとくすくすと気がついたら
1冊終わってしまうふわっと読めてしまう文章にある。

ファーストラブ

どのストーリーも、可愛くてどこか切なくて。
どのストーリーも大好き。
でも特に好きなのは、高校の男友達2人のストーリー。

陰キャな男子高校生の自分が、ある日クラスのいわゆるピラミッドのトップにいるような陽キャの男友達に「一緒に遊ぼう」と誘われたお話。

普段遊ばない、ましてや自分とは遠い陽キャ君からの誘い。
そんなもの乗るわけがない。
しかし断ることができないまま、
渋々デートに付き合うことになる。

なぜ自分が誘われたのだろう。
そんな相手といきなりデートなんて。
とも思っていたが、
誘った彼はとても優しかった。

終始楽しいデートも笑いに溢れている
青春の1ページのような素敵な物語に
溢れていた。

自分と重ね合わせ合わせるわけでもなく、
共感するわけでもない。
でも物語に出てくる2人の様子を
ずっと目で追いたくなってしまう文章。

最初はゲイを本気で疑っていた彼も、
陽キャ君がただ単に、
「ありがとう」を伝えたいがために誘ったと知りびっくり。

次の日
そんな陽キャ君が、転校すると担任から知らされる。
せっかく楽しく仲良くなったのに。

いきなりの別れを知らされた彼の
ぎゅっと締め付けられる心情を
スラスラと描き続ける。

そんな青春の中にいる二人の
楽しくて、全力で、悔しくても前をむける
世界観に浸りまくっておりましたあああ。

本当に瀬尾まいこさんたらしめる一冊なので
読んでみてください。

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