「虫眼とアニ眼(対談;養老孟司さんと宮崎駿さん)」を読んで その二

023 「虫眼とアニ眼(対談;養老孟司さんと宮崎駿さん)」を読んで その二

p. 37 養老さん;「妹がトトロを発見してジーッと見つめているシーン(中略)あの目つきが実によくて、解剖やる人は、こういう目つきでなきゃダメなんだよって意味で。」(中略)宮崎さん;得体の知れないモノに出会ったとき、(中略)でもなかには、その気味悪いのをジーッと見てるのがいる」

 気味悪いものをジーッとみていると、周りの人には大抵その見ている人を気味悪がられるので、養老さんと宮崎さんがそういってくれるとチョット嬉しい。去年の解剖実習のときの私はきっとメイちゃんになっていたと思う。一か月前に友達と歩いている時に、コンクリートの道に転がった小さなもぐらをジッと見つめていたら、相当気持ち悪がられた。家族のライングループに送ったら、「なぜ、こんなにも気持ち悪く感じるのか」、という斜め上の議論に発展した。

p. 50- 養老さん;「“この世界はものすごくディテールに溢れているんだよ”という意味の象徴として、あの『トトロ』の女の子の目つきが好き」宮崎さん;「その視線の矛先が、いまの時代、人間にばかり向いている」(中略)イジメ問題との関連

 昨日、たまたま「地球ドラマチック」という番組を見た。海の生物たちの食べ物の捕獲方法を扱っており、夢中になって見てしまった。脳が発達してしまった人間は食についてもなにかしら考察を加えながら行動する。本能のままに食べ、食糧を得るため“超”能力を身に付けた生き物たちに憧憬の眼差しを送る。人間関係をもって生きるヒトの複雑には時々辟易する。人間にばかり関心を向けずに、ミミズや雲やどろだんごに惹かれる世界に生きる方が生きやすい。

p. 155 養老さん;「『平家物語』や『方丈記』」いつも同じはずの鐘の音が違って聞こえるというのは、ひとがひたすら変わっていくから。川は情報として止まっているが、見た時々、各々の水は変わっている。その意味で人もまた川。(要約)
 ここで福岡伸一さんの動的平衡につながる話も出てきて興味深かった。深堀はまた今度。

12/04, 2022 日曜日

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