椛谷質(かばやしち)

文化人類学、表象文化論、映画、音楽、読書、語学(日韓英中仏)、旅行、肉眼解剖学。とりと…

椛谷質(かばやしち)

文化人類学、表象文化論、映画、音楽、読書、語学(日韓英中仏)、旅行、肉眼解剖学。とりとめのない文章を徒然なるままに書きます。宛先のない書簡と問いの吹きだめ。

マガジン

  • 散文

    論理的な文章にならないものたち

  • 秋という季節に

    どうしても息苦しく、美しい秋という季節、どう生き抜こうとしているかという記録。

  • 溢れ出る問いたちの吹き溜まり

    参考文献、映画、音楽などあればご教授いただきたい。日常で考え続けていることの問いを明文化しようという取り組み。哲学や友人と語りたいこと。きままに更新性。

最近の記事

映画|Amélie(2001)

067 映画|Amélie(2001) 私が一番好きな作品が映画館で上映された。Jean-Pierre JeunetのAmélie。 同い年でちょっと変わった彼女は、私と同じ匂いを感じる。調和がとれた関係を結ぶことができない。ルノワールの「舟遊びをする人々の昼食」を通して交わされる、老人とアメリの対話。彼はアメリに、人生に失敗する権利がある、と諭す。 イポリトの詩「Sans toi, les émotions d'aujourd'hui ne seraient que la

    • 月報『霜月』2023

      066 月報『霜月』2023 君へ。 どんな秋を過ごしただろうか?私は、10月下旬から11月の時期に「落下」する。恐れている時期だ。落ちる理由は、「秋だから」。日も短くなり、急に寒くなる。人は自然と気分も落ちやすくなり、風邪もひきやすくなる。その秋を私はなんとか生き抜いた!文化の秋という意味では、月別で映画を一番見た月となった。 『表現』 とある尊敬する先生とドライブしていた時の話。突然、先生が「何か表現する方法をもっているか」と問うた。これは最近の私の命題だったので驚

      • 時報11月15日(水)

        065 時報11月15日(水) 君へ 公式的に大学に行かなくてもよくなったせいか、偶然か、月火は落ち着いていたのに今日になって崩れた。 シャボン玉のように、私は空気中をふわふわと漂う。そうして、少し触れられると割れてしまう。 今日は婦人科へ行くことにしていた。家をでる前に洗面台でAirpodsを落とした。見つからなかった。時間がなかったので帰ってきてからもう一度探すことにした。婦人科の先生に、精神科の薬の処方をお願いしたができないと言われてしまった。これが引き金になった

        • 『Neverland Diner 二度と行けない松本のあの店で』という経験

          064 『Neverland Diner 二度と行けない松本のあの店で』より  信州大学西門前、かつての旅行会社コスモツーリストは今は信大ガイドの拠点になっている。  1ヶ月前くらいに山山食堂さんで『Neverland Diner 二度と行けない松本のあの店で』という本を読んだ。知り合いも出てきて、なんだか親近感が湧くと共に、知らないお店ばかりで、なんだか遠いまちのようでもあった。中でも気になったのは、本・中川のみさとさんが書いたエッセイ。コスモツーリストの前身はカフェだ

        映画|Amélie(2001)

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          時報11月12日(日)

          063 時報11月12日(日) 君へ 山に雪が降りかかっている。 初雪ということばが好きだ。 二文字とも白を基調として、<初>は桃色と黄色が薄くひかれ、<雪>は淡い水色が滲んでいる。 初雪をみるとき、誰と、どこで見るかも<色>はちがってみえる。今年はどんな<初雪>をみるだろうか? 今日は東座で映画を観る。 En Corps| 緊張感ある尖った繊細なバレエと、闘志と迫力のある大地のようなコンテンポラリーの対比を、色遣いと音楽、演技から感じた。 J'aime と

          時報11月11日(土)

          062 時報11月11日(土) 君へ  友人がでる韓国語スピーチ大会に応援に行ってきた。とてもかっこよかった。私なら何を発表するだろうかと想像してみた。  夜はアルバイトだった。スピーチ大会に出た友人たちが食べに来てくれた。嬉しい。あれこれ話したが、恋愛の話が一番楽しい。私はじぶんのことは滅多に、というかほぼ話したことはないのだが、最近のじぶんの恋愛観というか、人間関係についての考え方の変化から、少し具体的に話してみた。ちょっと照れるけど、意外となんでもないし、私はこう思

          時報11月10日(金)

          061 時報11月10日(金) 君へ。  少し前にNetflixからDisney+に切り替えた。韓国ドラマを見るのをやめようと思って。せめて英語のものをみようと。それでもDisney+独占配信の韓国ドラマもあるから見てしまう。2年前、大学に行けなくなったときにずっと韓国ドラマを見ていたせいで、私は今韓国語が話せる。そのときよりは少し高い位置からじぶんを俯瞰したり、なにかしらの対策を練れたりするようになった。確実にその変化を感じる。ドラマを見ながら、かとう先生に授業にいけない

          時報11月9日(木)

          060 時報11月9日(木) 君へ。  自転車にのって大学に向かう。点検ありがとう。こうして日常がまわっていく。朝からおじさんたちが道路をふさいで電気線?の点検をしてくれている。  めちゃくちゃ体調悪いんだけど、どうしても行きたい授業があって、薬をたくさんのんで行く。我が巨匠は、道端の猫と会話していて、いつもより少し遅く講義室に来たという。愛おしすぎる。  病院実習の合間に時間が空いたかおりさんに会った。少し散歩しようと言って、晴れた空、紅葉を眺めた。温かい飲み物を奢っ

          時報11月8日(水)

          059 時報11月8日(水) 大学の教室に荷物を置きっぱにして家に帰ってきてしまったので、取りに行かなければならない。もう講義は終わっている。日も暮れてきた。

          月報『神無月』2023

          058 月報『神無月』2023 君へ。  元気ですか?わたしはなんとかやっています。  先月のことを書こうと思う。  素敵な言葉を見つけた。  素敵な言葉を見つけると、伝えたくなる人がいるの。もう、どうして知ったのかは忘れてしまったけれど、素敵な日本語を知ったの。夕方のあの、ぼやあ、とした時間のことを“たそがれどき“(黄昏、誰そ彼)というじゃない?朝にも似た表現があるの。 “かはたれどき“(彼は誰)だそうです。美しい日本語だと思う。いつか、この時間に散歩をしながら伝えて

          月報『神無月』2023

          学園祭は行きたくない

          057 学園祭は行きたくない 学園祭が苦手だ。 みんなの作品を見に行くのは好き。 誰かと回るのは苦手。 うるさい音も苦手。 けれどもみんなに会いたい。 好きな友人とまわるのは楽しい。 急に行きたいとこができて、急に帰りたくなる。 そんなじぶんに付き合わせてしまうのが申し訳ない。 大学を歩けば、長くとも10mに1人は知り合いがいる。久しぶりに会う子にもあえてとても嬉しい。だけど人混みにいるととても苦しくなってしまう。前はこんなじゃなかったのになあ。耳栓もほしい。音楽が好き

          学園祭は行きたくない

          私には他に方法がない

          056 私には他に方法がない  まつぶらvol.4 を開催した。7月に実施してから久しぶりだった。 イベントが被るなか、十数名の学生が参加してくれた。とにかく、開催できたことに感謝。 「こんな場所があったんだ」 「来たことがなかった」「参加してよかった」 と言ってくれたのが嬉しかった。活動に興味を持ってくれた子もいた。医学科の中国からの留学生と仲良くなれたのよかったな。そして、どうしたって私は日本人に思われない。  正直、じぶんが何をしたいのかよくわかっていない。「松本に

          私には他に方法がない

          東京旅行/東京国際映画祭

          055 東京旅行/東京国際映画祭 東京国際映画祭。 21年来の"親友"に誘われて行くことにした。30日坂本龍一さんの『opus(by 空音央)』、31日『どん底(by Jean Renoir)』、『東京物語(by 小津安二郎)』をみた。私はめったに東京に遊びに来なかったのであれこれと物珍しく眺め、遂に、初めてsuicaを使って電車に乗った。 新宿に着くや否や、この友人の誘いで香水を'嗅ぎ'に行く事になった。ビーロクイチニという星の王子様をイメージした香水、シャルル・ボー

          東京旅行/東京国際映画祭

          大好きな秋は、洗濯機の横で

          054 大好きな秋は、洗濯機の横で  大好きな秋を洗濯機の横に座って過ごす。10月の最終週から11月に私は大学に行けなくなる。これは毎年のことであるらしい。信州らしい紅葉の美しい季節である。部屋から出られなくなると、そんな自分がおかしくて一人の部屋で笑ってしまう。なんでそとに出られないのだろう。冷静な自分がどうしても可笑しい。頭を抱えながらクスクス笑っている。また別の日に体調がよくてそとに出ることに成功した。しかし今度は道端で突然足が前に進まなくなって膝を折ってしまう。少し

          大好きな秋は、洗濯機の横で

          からっぽ

          053 からっぽ  からっぽ、という「松本市のアコースティックな二人組」がいる。結成してまだ1年たっていないデュオ。今年の四月に初めて聞いて、とても好きになった。  今日は、浅間温泉らあめん祭に出るという情報を得て、聴きに来た。ラーメンが好きな友人たちと一緒に行くことになって、彼彼女たちとラーメンを食べた。みんなで行くといろんな味が楽しめていい。それからステージ上で歌うアーティストたちの歌を聴いた。  ステージ上で歌うアーティストたちは、今の自分を堂々と見せている感じがし

          日報10月21日(土)

          052 日報10月21日(土)  体温計を咥えながら、いつものルーティーンをこなす。土曜日。月経が来ると、普段以上に落ち着きがなくなる。後先考えずに今いる場所から走り去ってしまいたくなる。その場で足踏みをしてみたり、部屋のなかをふらふらしてみたり、眉にしわを寄せて頭を抱える。  そうばかりもしていられない、何とかしたいと思った。作り置きがなくなったことを思い出して、昨日買った材料で朝ごはん兼作り置きをつくることにした。買ってきた豚肉、実家から持ってきた大量のピーマンと玉ねぎ

          日報10月21日(土)