「虫眼とアニ眼(対談;養老孟司さんと宮崎駿さん)」を読んで その一

021 「虫眼とアニ眼(対談;養老孟司さんと宮崎駿さん)」を読んで その一

 養老孟司さんと宮崎駿さんの対談なんて、それだけでもワクワクするではないか。この本は秋山郷からの帰り道中に教えて頂いたもの。私の最も心躍る学問である、解剖学の道を歩む方と、BAYASHI学の必修だと思っているジブリの作者の対談。2002年と20年も前に初版が出版されたもの(まだハウルの動く城も出ていない)だが、今他の本と並べても遜色はない。はじめのページは宮崎駿さんのあのステキな挿絵がふんだんに使われて、彼の考えが示されているのでそこだけでも読んでもらいたい。まさに私の理想が表現されている。「できるだけ柵や塀はつくらない」「保育園と地続きでホスピスを」「おじいちゃんまだ死なないの?」「ハハもうジキだナア」「変化を一定内で受け入れられる許容量のある町づくりが必要です」

 実は、この本を読んでから、追体験をした。先日、小布施町で建築物を巡るツアーに参加した。独自の街づくりとしていることで知られる小布施町について学ぶ機会を得た。北斎館周囲の「修景」、生活空間の再構築について、工夫と意匠を学びながら歩いた。地続きに存在する役場、図書館、小学校。点々と存在する宮本忠長さんや古谷誠章さん、水戸岡鋭治さんらの建築、デザイン。さらに、小布施町に特徴的なのは130以上の個人、店舗、寺院、学校が参加するオープンガーデン。他人のおうちのお庭に入っていくことができる。小学校の周りにも柵はなく、自由に出入りができてしまう。こどもにとっては最高の遊び場にもなり、訪れたものにも素敵な体験をさせる。こんな環境で暮らし、働けたら素敵だと感じる。

 今回はいけなかったが、紹介されて是非行ってみたいのが「栗の木診療所」。病院にもやもやを抱える医学生としてこんなにも惹かれる場所はない。水戸岡鋭治さんが手がけた、カフェとも間違えられる診療所。興味深い。

12/04, 2022 日曜日

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