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Basement JaxxJaxx_レア・トラックス(感想) 本気で踊らせるラテンハウス

『Jaxx Classics Remixed (2016-2020) / Lost Tracks (1999-2009)』
Felix BuxtonとSimon Ratcliffeのユニット、Basement Jaxxのレア・トラックス集が9/25、日本独自企画盤として2CDで発売されるとのこと。収録曲は全部で16曲。

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と思ったら、ストリーミング配信は既にされており、以下4つのセットに分けられて合計したら57曲も!あった。CDには収録されていない曲が多数発表されていて、フロア映えしそうないい曲が多数ある。

・Lost Remixes
・Lost Tracks (1999-2009)
・Lost Dubs
・Jaxx Classics Remixed

過去に発表済の曲が中心となっており、コツコツとプロモ盤やシングル盤を収集してきたファンを泣かすような曲がお蔵出しされているのだけど、クオリティの高さがはさすがBasement Jaxxだなと。

全曲聴いたので、気になったトラックをピックアップしてその感想などを。

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『Lost Remixes 1999-2009』

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Yo Yo (Lil’ Louis Mix)

今回の楽曲の中で最も良かったのがこのリミックス。まさかLil LouisがBasement Jaxxのリミックスをしていると思わなかったので、これはかなり嬉しい。
静かに語りかける声と加工された声のヨ〜ヨ〜の掛け声、そして口で鳴らすパーカッションが怪しさ満点なのだが、重苦しいハウスのリズムにのっかってくると呪術的でやたらとかっこいい。
Lil Louisのミックスらしくシンプルなトラックなのだが、ピッチは少し速め。グルーヴが効いていて大きな箱でも映えそう。

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Hush Boy (Soulseekerz Remix)

Julian NapolitanoとSimon Langfordによるイギリスの二人組ユニットSoulseekerのミックスは徐々に盛り上げていくたたみ掛けるような歌モノでアッパーなハウストラックになっていてピークタイムに盛り上がりそう。カッコイイので飽きずに何度でもリピートしてしまう。

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Do Your Thing (Tim Deluxe Club Mix)

「Do Your Thing」はいったいどれだけリミックスバージョンが存在するのか?というパーティーチューンの名曲。元曲がよいので、Tim Deluxeもそんなにイジってはいないが、途中にブレイクを入れることで曲の展開が豊かになっている。このミックスが収録されていた2002年発売当時のジャケの猿も異様で迫力ある。

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『Lost Tracks (1999-2009)』

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Romeo (Club Mix)

Basement Jaxxのセルフミックスでアルバム収録バージョンよりも分数が長くなっている。Kele Le Rocのかすれ気味でちょっと悲しげなvocalが良い雰囲気のトラックになっていて、発売当時に何度も聴いた思い出深い曲。しっかり歌い上げているトラックであり、テンポも遅めなので小さめのクラブで比較的ゆったり聴きたい。

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One More Chance

これはfeaturing Lil Louisとなっているラップ入りのバージョンで、バックで鳴っているピアノの音色が美しく哀愁が漂うハウス。
抑圧されていながらもグルーヴ感のあるトラックでディープ・ハウスとして聴ける。

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Better Days

これも名曲。ホーンが派手で、Gwyn Jay Allenの男性的でセクシーかつ呪術的なvocalとトライバル感が合わさってかなり個性的なハウスになっている。

90年代中期以降に流行ったラテンハウスって、ボサ・ノヴァと融合させたオシャレなカフェミュージックという体裁が多かったけど、そういうのとは真逆にとにかく踊らせることに特化している、たたみかけるようなノリのトラックがBasement Jaxxならでは。
この曲、1999年の発表当時は「Betta Daze」というタイトルのハズだったが何か変わっているのか。

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Good Luck (Summer Bootleg Version)

自然と身体が動いて踊れるアッパーなトラック。ピークタイムにかけたいキラーチューンでかなり恣意的なトラックになっているけど、むしろ一周回ってカッコイイ。Basement Jaxxに求めるお手本のような曲を最大公約数にするとこうなる。

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Plug In (Extended Club Mix)

かなり分厚いシンセリードがブイブイといわせていながら、テンションの高いvocal入りで無理やりにテンションをアゲてくる。これもイケイケトラック。
「Plug In」はArmand Van Heldenのミックスも収録されていたが自分はこっちの方が好み。

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『Lost Dubs』

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Jump 'N Shout (Boo-Slinga Dub)

早口でまくしたてるオッサンっぽいvocalとやたらと跳ねるリズムの組み合わせが異様でアルバムバージョンよりもかなりフロアユースでコレも好き。これくらい音の密度が少ない方がグルーヴ感を感じられてよい。しかし、発売当時のジャケ見ると全然曲の混沌とした雰囲気と合っていないが、どうした。

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Bingo XX

Bingo Bangoのリミックスなわけだが、これもいったいぜんたい何バージョンのリミックスが存在するのか。発売当時ですら10以上はあったと記憶しているのだけど今回も聴いたことの無いリミックスがいくつか収録されている。
これはBasement Jaxxによるセルフリミックスとなり、Lost Dubs というタイトルに収録されているだけあって、同じサンプルフレーズのループとリズムを切り刻んで再構成したハネるラテンのノリからオリジナルバージョンへと変化していく少し渋めのラテンハウス。

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Lucky Star (Jaxxhouz Dub)

ウネウネする太いベースラインが特徴的で、オリジナルよりも速めのBPMに仕上げたセルフリミックス。歌が入っていないので汎用的に使えそう。こういう曲がテクノと一緒にかかるとステキ。

Twerk (Unreleased Coldharbour Mix)

地味なトラックかと思いきや、変な合いの手の早口でまくしたてられたり、途中からビット数の低そうな電子音が鳴り出したりと、忙しないトラックで展開がまったく読めない。BPMは速め。

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『Jaxx Classics Remixed』

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Do Your Thing (Robbie Riviera Juicy Summer Mix - Edit)

Tim Deluxeによるミックスと違い、元曲からかなり展開を変えている。サビの前でタメてタメて、なっかなかサビへいかせない展開が大きなフロアで映えそう。
Editされていないロングバージョンを収録してくれたら良かったのになあ。

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約20年分のレア・トラックス音源を57曲も聴くとさすがにお腹いっぱいなわけだが、ラテン調のハネるビート、アフリカっぽい呪術的なvocalなどはやはりBasement Jaxxならでは。攻撃的でアッパーなトラックが多いので飽きるかと思いきや時代を超越して聴けるトコロがあるのはさすが。

Basement Jaxxはいつも、シングルとアルバムの用途を使い分けており、「シングルはフロアユースにリズムが組まれており曲時間が長い」のに対して「アルバムは全曲を通してリスニングしても耐えられるように、各曲の展開が早くて、曲時間が短い」と意図して構成されている。

今回の楽曲はフロアユースのリミックス曲が中心になっているので、リスニング向けではないと思われるので、「Basement Jaxxはアルバム盤が好きな人」にはオススメしない。

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