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ストレスが子供を育てる(1127文字)

よく成長するには適度なストレスが必要


「よく成長するには適度なストレス」が必要と聞いた。ここで言う「適度なストレス」とは不安や恐怖を抱える原因になる過剰なストレスと呼ばれる「トキシック(毒性)・ストレス」とは対極にあるもののことを指す。オリーブ畑では、良い肥料がない、やせ細った土地で根付いたオリーブの木が、400年近くたった今でも、実がなり、油がとれるそうだ。一方、良い肥料で育てられた近年のオリーブの木はもって100年だそうだ。動物でも似たような事例がある。若い時に十分な食料を与えられなかった動物の方が、実は長生きするらしい。つまり、オリーブで言う「やせ細った土地」、動物でいう「ごくわずかな食料」が「よく成長するのに適度なストレス」だと考えられる。では、仮に「適度なストレス」が人間の成長にもプラスに影響を与えるとしたら、「学校内において適度なストレスとは何なのだろうか」という疑問が頭に浮かんだ。今回はそれを整理する回にさせていただく。
 

人間とっての適度なストレスとは?


 結論から言うと学校内に置いての「適度なストレス」とは「規律」と「競争」が最も当てはまるのではないかと私は考える。おそらく適度にストレスがかかるというのは、「自分の欲を簡単には叶えられない満たされない状況」のことを言うのだと思う。オリーブも土からの栄養を欲しがるが、中々得られないので、根が太く長くなりどんどん土に強い根をはるようになる。
 教室において、子供が苦手とするものの一つに「規律」がある。本来、子供は、他人のことなど気にせずおもうがままに欲や感情に従って「自由」に行動したい。しかし、「集団の規律」がそれを抑制する。「自分ばかり得をしていないか」と。それが派生して、他人の気持ちを考えようとする思いやりの心も育っていく。
 
 中には「競争」が好きな子もいる。私も競争するのは好きだった。けれど、近頃の子供を見ると、そうでない子が多い。みんな自分のペースで物事をすすめたい。自分の気が向いた時に、取り組みたい。しかし、「競争」があるとそうは言っていられない。時間が決まっている。隣の席を見ると、猛スピードで走り始めている。自分のペースでなんて言っている暇があるなら、早く取り掛かった方が賢明である。
 
 子供はやはり可愛い。つい、出来る限り辛い思いはさせたくないと考えてしまう。けれど、なんでもかんでも与えていてはオリーブのように短命に終わる。一人一人の個性を育てるために、子供たちを「適切なストレス環境に身を置かせること」が大切なことであると改めて考える。ストレス耐性の違いは個人差がある。それを見極めながら、かじ取り役や環境作りをしていくのが担任である私の役目である。

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