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出産記録

10か月という 長ーい妊娠期間を経て、
無事に赤ちゃんを出産しました。

妊娠前〜妊娠中の葛藤についてはこちら↓



今回の出産の経過を、
自分用の記録として残そうと思います

※やたら長いです

出産2日前

3時

腰の痛みで目が覚める。

トイレに行くとペーパーに出血+

痛みのレベルは、
月経中の「薬飲まないと仕事にならん」くらい。

8時

なんとなく、規則的に痛みが来たり消えたりするようになる。

インストールしておいた 陣痛カウンターに記録をつけ始める。

大体 15分前後だが、痛みの程度は軽く動くことができるくらい。

胎動変わらず。恥骨の裏あたりの違和感+
出血も続く。

17時

腿の付け根や股が痛むようになる。
1時間に 6〜7回くらい。

間隔はバラバラで、短いと6分、長いと12分くらい。
痛みは弱い。

19時

間隔が10分切ったので、産院にTEL。

痛みが強くないので、もう少し様子見るよう指示あり。お風呂に入ってリラックスして、体を温めることに。

出産前日

明け方

痛みが5分間隔になったので、産院にTEL。
まだ会話ができるくらい。
波の最中は、呼吸してないとつらい。

一度、子宮口の開きを診てみましょう と受診。

医師「んんー。まだ1〜2㎝くらいしか開いてないね」

絶望。

え?
こんなに間隔短くて、痛いのに?

モニターつけると、陣痛の波は2分間隔くらい。

お産自体はまだまだ進まないが、確かに陣痛間隔は短い。

一度帰って様子を見てもいいが、次に来院してもらう目安がなぁ

と先生の言葉に甘えて、そのまま入院させてもらう。

LDR室内(陣痛、分娩、回復まで同じ部屋でできるヤツ)なら夫の立ち会い可能だったので、一緒にいてもらう。

昼過ぎ

陣痛が遠のき、20分ぐっすり分娩台の上で寝る。

流石にこれは…と、助産師さんやってくる。

「この感じだと、どうやら分娩につながる陣痛ではなく、前駆陣痛の可能性が高いです。」

(前駆陣痛紛らわしいな!!!!)

「家に帰ってリラックスしたほうが、お産が進むと思います。
それか、別室の個室に移動しますか?
その場合、旦那さんは一度帰宅してもらう形になります。」


一時帰宅…???

いやでも、確かに、痛みの間隔はどんどん遠のいていくし、このままこの部屋にいてもお邪魔だけか…

夫が立ち会いできるのは、このLDRの中のみ。

一人個室で痛みと戦う自信が皆無だったので、
夫と一緒にいられる 一時帰宅を選択することに。


助産師さんに 自分の選択を述べる。

なお、心はバキバキに折れている。

そして助産師さんの顔を、脳に刻み込む。
いや、別に、ふふふふ深い意味はない。

21時

一時帰宅後も不規則に痛みは続いていたが、
21時を回ったあたりから、10分を切ることが多くなってきた。

今までの痛みと違い、明確に痛みの波がぐぅうぅうッ…と来て、スゥぅぅぅっと消える。

昼間までは ぐっ ときて スッ って感じだった
(波が小さかった?)

痛みを乗り越えながら、ふと、考える。

もしや、昼間の陣痛は、コロナ拡大で立ち会いが出来なくなるかも!
と焦った自分が、無理に起こした陣痛なのでは…?

大いなる自然の流れに身を任せなければ…

人間の意思なんて、この出産という神秘を前にしたら、ちっぽけなモノだ…


と、なぜか 上橋菜穂子さん(児童文学の作家)の作品の世界観を思い出し、ややスピリチュアルな方向に悟りを開き始める。

夫に「私の隣にいてくれ」と、頭を下げ、
うめき続ける獣の横にいてもらい、波と共に腰をさすってもらった。

夜中

ベッドの横でうめいている妻がいるにも関わらず、イビキをかいて寝ている夫の気配を感じつつ、痛みに耐える。

耐える。

耐える。

台風で 学校の体育館に避難した時、
雷と風と雨の音がすごい中、
イビキかいて寝てただけあるな…と謎に夫を尊敬する。

運転に支障が出ても嫌だし、寝られる時に寝ててもらおう とイライラはしなかったが。

真っ暗な中、定期的にくる痛みと恐怖に震えながら、呼吸をし続ける。


途中、心が折れそうになった時に、一時帰宅を勧めてくれた助産師さんの顔を思い出し

心の中で悪態をつきながら(すみません)
何度も痛みの波をやり過ごす。

絶対、次の受診は、一時帰宅と言われない程度まで進んでからにするんだ!!!

その一心で、うめき続ける。

手負いの獣 そのものだな と思いながら、声を抑えられなくなる。

出産当日

4時

前日の21時から続く陣痛

これが本陣痛じゃなく、前駆陣痛だったら、
マジでもう産めないわー
産む体力残ってないわー
帝王切開してくれって言うしかないわー
てか何で無痛分娩にしなかった?
今から無痛にしてくれって言えばいいんか?

※無痛分娩取り扱ってない産院である前提を無かったことにする

と、理性が飛び始める

次は絶対、帰されたくない!!!

と、またあの助産師さんを思い出す。
恋してんのかってくらい、助産師さんを思いながら、呼吸。

途中で、肛門に力が入るようになる。

呼吸を繰り返す中で、肛門の力を抜くように意識すると、辛さを逃せる事に気づき、



ついに、陣痛をコントロールできる境地に達した…っ


と自分を褒め称え始める(なお理性はぶっ飛んry)


そうこうしてる内に、6分くらいになってきたのと、これ以上痛くなるとアパートの階段を降りられなくなる…と思い

祈るような思いで 産院へTEL

TEL出てくれたスタッフさん
「立ち上がれないくらい痛いですか?」
「お家にいる方が、進むと思うんですけど…」
「まだ6分間隔なんですね」

あ、これ、ダメなやつだ

陣痛って、もっと痛いの?辛いの?まだ終わらないの?初産だしな。昨日の時点で子宮口開いてないもんね。そうだよね。そうですよねええええ!

私「産院まで、遠いので、今から、行きたいんです…」

と半泣きで、途中うめき声を聞かせてみたりして。

再度「立ち上がれますか?」と聞かれ、いてぇ時に立っていられるわけねぇだろ!!

と、内心ブチ切れながら(なお、理性はry)

私「痛みの合間なら、なんとか…」と謎の強がり。


夫はたっぷり寝て頭が冴えてたのか、産院に行く準備を手際よくしてくれていた。

が、痛みの合間しか動けないので
出発するまでに40〜50分くらいかかる。

5時

夫の運転する車に乗り込み、チャイルドシートで狭くなった後部座席に小さく横になる。

夫はもう腰をさすれないので、自分でさするしかない。

肛門の力を抜くのも、最初より上手く出来なくなってきていた。


夫は何故か、Superflyの魂レボリューションを流してくれる。

Superfly好きな私を励まそうとしてくれてるんだろう…と思いながら、選曲の激しさに突っ込む。


産院まで30分強。

うっすら見える外の風景。

天気は薄曇り。

暑くもなく、寒くもなく。

辛い時は、お腹の子に意識を向けるといい と、誰かのアドバイスを思い出す。

お腹の子は、元気か?

自分の痛みで精一杯で、正直、お腹の子の存在を忘れていた。


痛みの合間に意識を向ける。

こんな時でも、きちんと胎動を感じた。


5時30分

産院に到着。

明らかに肛門付近に違和感がある。

車から降りて玄関まで歩く自信がない。


夫に「車椅子…持ってきて…」と伝えるも、聞き取れなかったらしく「車椅子!!!」と怒鳴り散らかす(ごめん)

産院のインターホンに夫がヘルプを求め、助産師さんが車まで迎えに来てくれる。

助産師さん
「はい、たろさん。迎えに来ましたよ〜歩けるよねー」

さすが、プロ。
歩けないよぉ…と弱音吐く妊婦に動じない。

車から降りて立ち上がり、肩を支えてもらいながら産院玄関へ向かう。


私「あのッ…なんかッ…出そうです…」

と、息も絶え絶えに伝えると

助産師さん
「ん?出そう?ここ?」

と、神の指を発動。
ここだ って所をピンポイントで押さえてくれる。

ここで初めて
あ、これが いきみたい ってヤツ?と気づく。

あれ、これ、子宮口全開になるまで、フーうん呼吸しなきゃいけないフェーズ?

と、職場の両親学級の資料に書いてあったのを思い出す


私「これ…出ちゃ…ダメなやつですか…?」

と、念のため聞くと

助産師さん
「そうね、なるべく力入れないで頑張ってー。出たくなったら押さえるから言ってねー。はい、歩こうー!」

と、さらっと返ってくる。


やっとの思いで内診台にたどり着くが、

乗ってる間に力を入れたくなったらどうしよう

となかなか座れない。

せめて、半分くらいは開いててくれ…
これで開いてなかったら、お腹切ってくださいってお願いするんだ…

※帝王切開は希望制ではない


医師「ゴニョゴニョcm 開いてますね」

助産師さん「おお!たろさん!すごいよ!」

朦朧としてて肝心なところを聞きそびれる。


7cm開いてた。


「こんだけ開いてたら、入院!させて!もらえますか!?」

「お腹切ってください!って!言う!つもりだったんです!!」

「わーー!!出ちゃう!!!」

お産が進んでて嬉しいのと、
あと3cmはいきまないようにしないといけない

という焦りからか、上記を叫びながら再びLDRへ。

夫もLDRに入室が許可される。


もう何時だかわからない


いきみたいフェーズに突入


「出さないよーいきまないよー フーうんって呼吸しようねー」

「たろさん、凄く落ち着いてるから、私の指示に合わせて呼吸できるよねー!」

「いいよー!初めてなのに凄く上手!!」


と、助産師さんが 私の気分を上げるような声かけを沢山してくれつつ、波の合間にお産の物品準備をし始めていた。

これ、助産師さん 一人でやってたから、本当びっくりした。


夫がテニスボールを用意してくれたが
「指がいい!!!」と要求。

「もっと!!!強く押して!!!」

と、ややパニック。


夫も “もっと押すの??”と心の声が漏れてる(聞こえてるぞ)



夫の頑張り虚しく、いきんでしまうので、助産師さんにチェンジを要請。

夫は赤ちゃんの心音モニターを、私の腹に当て続ける役割を担うことに。


いきみ逃しが限界に達しそうになり

「まだダメ?まだですか?もういいですか?いつ まで我慢ですか?」としつこく聞く。

助産師さんが「今見るからねー!」内診してくれ

「たろさん!すごいね!!もう全開だから、いきんで良いよ!!」


……え?
展開早くない?
と、急に冷静になる


「え?いきむって、どうやるんですか…?」

「この、出ちゃう感じを、出す感じですか?」

「これに力入れていいんですか?(💩出そうで不安)」


と、最初はどうして良いかわからず、陣痛の波をスルーしてしまう。
あんなに、いきみたかったのに!!


助産師さんが、仰臥位で上手くいきめない様子を見て、横向きになるようアドバイス。

夫もそちら側に立って、私に声かけ。

夫「目、開けて。サンシャイン池崎だよ」

いや、冷静に考えて、この場で池崎思い出すのウケる。
※意味がわからない人は、Twitterでサンシャイン池崎、出産 みたいな言葉で検索してね


助産師さんがいない時にいきむのが怖くて、
陣痛の波が来るたびに

「いきんでいいですかああああ?!!」

と叫んで、忙しい助産師さんを呼びつけて、踏ん張る。


そのうち、股の間にとてつもない違和感を抱く。

「こ、この、挟まってるのは……?」

助・夫「赤ちゃんだよ」と、ちょっと笑われる。


挟まってるのに、途中、スーッと股の中に吸い込まれていく。

「あ……戻っちゃった。いなくなっちゃった。これ、息は出来てるんですか…」

と呟くと、助産師さんちょっと笑って

「苦しくないから大丈夫!いいねー!たろさん!!お産を感じてるよー!!」と褒められる(違)


赤ちゃんの髪の毛触る?って聞かれたけど、冷静に断る。
いや、もう出すのに集中したくて。


15回いかないくらいだろうか。

助産師さんから「ハアハア って呼吸にしてー」と指示が入る。

私は知っていた。
もうすぐ産まれる時に、ハアハア呼吸するように言われることを。


え?もう?産まれるの?

と思ってたら先生がやってきて、
なんやかんやしてたら

「たろさん!目開けて見てごらん!」と言われ、目を開けたら


え、もう出とるがな。


そこには、やや白めの肌をした フニャフニャした赤ちゃんがいた。



病院に着いてから1時間半。


よく、ドキュメンタリーで「うわああ可愛い 涙」って産婦さんが感動してるけど

私の場合は「これが、腹にいたの?」

と、いうのが率直な感想。

戸惑い過ぎて、涙、出なかった 笑


分娩後の経過観察のため、そのままLDRに2時間待機。
夫も、その2時間までは滞在可能だった。

コットに寝かされてる子をジーッと見ている夫の姿に、たまらなく癒された。


出産ってすげぇ

自分で経験してみて、改めて出産って、よく出来たシステムだな…と思った。

だって、乳吸わせると、子宮が縮むように出来てるとか、母乳に免疫物質たっぷり入ってるとか。


あと興味深かったのは、

出産した実感がわかない私が
産後のホルモンバランスの影響をもろに受けたことで
きちんと 赤ちゃんに関心を持つようになれた過程。


コロナのニュースを見ながら、不安になって涙が出たと思えば、
この子が生きてるこの世界に感動して涙が出たり。

そういう大きな感情の動きをさせられる中で、

きちんと「赤ちゃんを守らねば」という意識が芽生えていく過程が、自分のことながら不思議で、興味深かった。

このプロセスが上手く働かなかったり、強く働き過ぎたりすると

そりゃ産後うつに なるよな って思う。


てかそもそも、出産で脳内物質出まくるんだもん。
副反応みたいな感じで、うつ っぽくなるのも、当たり前なんじゃないかなって思った。

最後に


コロナ禍の妊娠出産で、正直、不安しかなかった。
タイミング的にも、第6、7波 の最中で

もし、自分に何かあったら、適切な医療が受けられるのか?
と、自分と赤子の命を本気で考えた。

大変な情勢の中、夫との立ち会いが出来たのも、医療機関の方々のおかげだなと感謝しかない。


経済的なことと、自分自身の育ってきた背景を考えると、
今回の出産が最初で最後かなと思っている。

だからこそ、いいお産にしていただいて、本当に良かった。


とってもとっても長くなりました。
読んでいただきありがとうございました!