DIR EN GREYが遂にサブスク解禁したので、各アルバムを紹介してみる。

私が心から崇拝しているバンド、DIR EN GREYが遂にサブスクを全解禁しました。ずっとパッケージでの販売に拘っていたので私としては結構衝撃だったのですが、やっぱりサブスクで聴けるのはめちゃめちゃありがたい。やっぱりサブスクにあると布教しやすいので。
これを機にDIR EN GREYを聴いてみようという人向けに、簡単に各アルバムを紹介してみようと思います。今回紹介するのはフルアルバムのみで、「MISSA」やら「six Ugly」やらは取り上げません(私の気力と体力の問題です)。


1st「GAUZE」

90年代V系のアルバムとしては名盤。正直自分はあまり聴かないです。いまのDIRにハマってからでも良いのかなって感じ。でも未だにこの時期のDIRがいちばん好きだって人もいます。

2nd「MACABRE」

V系としてのDIRがより深く音楽性を進化させたアルバム。サウンドはまだ昔のV系って感じなんだけど、呪術的・宗教的な要素を感じさせるコンセプチュアルな作品。個人的には7th「UROBOROS」のプロトタイプみたいな印象。初めて聴くにはちょっと重いし、でもサウンドはまだまだ軽いし…って感じで、これも後回しで良いのかなって思います。

3rd「鬼葬」

個人的にはかなりの名盤。このアルバムからサウンドが重くなっていきます。和風エログロホラーって感じのアングラ要素がかなり強く、そういうのが好きな人はこのアルバムから聴くのもありかもしれない。

4th「VULGAR」

いちV系バンドを抜け出すきっかけとなった名盤。バラエティ豊かなアルバムだけど、逆に言うと若干とっ散らかった印象がある。前作の和風要素を残しつつも、より重く鋭く研ぎ澄まされた感じ。

5th「Withering to death.」

名盤。このアルバムでDIRがV系バンドとしてではなく、ロックバンドとしての地位を確立したようなイメージ。メロもリフもキャッチーで、それでいて京さんのボーカルアプローチもより多彩にレベルアップしてる。そんで歌詞はDIRでいちばん病んでる。どこか冷笑的に、自分を(そして他者を)攻撃しまくる。アルバム全体を通して孤独と悲哀に満ちた、寂寞とした印象の作品で、聴き終えたあとの虚無感が凄い。

6th「THE MARROW OF A BONE」

かなり衝動的な雰囲気があり、特に京さんは過去最高に叫びまくってる。「洋楽HR/HMの焼き増し」なんて言われがちなアルバムだけど、DIR特有の和メロが随所に散りばめられてて、個人的にはただ洋楽に影響を受けただけのアルバムではないなと思う。全体的にミディアムテンポで思いっ切り頭を振れる曲が多くて、何気にライブで化けるアルバム。

7th「UROBOROS」

名盤。前作から全てが大幅に進化している。音楽性としては前作までの洋楽HR/HM的なサウンドに、呪術的で民族的な雰囲気を絡めた感じ。京さんのボーカルは超低音のゴボゴボとしたグロウル(ガテラル?)や気が狂ったようなホイッスルが増え、それがまたこのアルバムの呪術的な雰囲気とよく合ってる。初めて聴くには少し複雑で難しいかもしれないけど、どこかのタイミングで絶対に聴いて欲しい。一度この世界観に捕まると、何処までも引き摺りこまれてしまう。このアルバムをDIRでいちばんの名盤とする声も多いです。2008年のオリジナル盤と2012年のリマスター盤があるけど、個人的にはどっちからでも良いかなって思う。個人的にはザラザラと鈍い音色のオリジナル盤が好み。

8th「DUM SPIRO SPERO」

DIR史上最も複雑怪奇で難解なアルバム。その難解さは「UROBOROS」の比じゃない。音楽性は…なんだろ、正直このアルバムの音楽性をラベリングする語彙を私は持っていません。和風ソースを絡めた得体の知れないどす黒い何かって感じ。楽器隊に関しては、このアルバムからギターが本格的に7弦を使い始めた。バキバキとした金属的なベースの主張が強い。めちゃめちゃ名盤だけど後回しで良い。初心者にはハードルが高すぎるから。でもいつかは聴いてくれ。

9th「ARCHE」

前作までの複雑路線を脱し、全体的にシンプルに削ぎ落とされた綺麗な歌モノが多い。とは言えそれはDIRの音楽性に限っての話で、他の音楽と比べれば十分複雑なことやってる。京さんのボーカルも結構変化してて、メロの歌い方に関してはどこか柔らかく中性的になったような印象。そしてメロ以外は何と言うか、前作にもちょくちょく見られた如何とも形容しがたい奇声が増えた。それがこのアルバムのシンプルながらカオスな印象を増幅してます。「UROBOROS」や「DUM〜」が1冊の長編小説だとしたら、このアルバムは短編集のような感じ。曲ごとの色が分かりやすく、意外と初心者におすすめなのはこれかもしれない。

10th「The Insulated World」

6thにも通じるような衝動性を持った、何処かパンクっぽいアルバムという印象。あと結構同期も使われてて、少しデジタル風味のイメージもある。京さんのボーカルは吐き捨てるような、がなり系のシャウトの割合がかなり高い。そんで歌詞が結構病んでる。色んな対象への憎悪や怒りを吐き捨てまくる感じの、ひたすらブチ切れたアルバム。同じく病んでるアルバムの5thとの違いとしては、最後の最後に「Ranunculus」という救いがあること。

初心者へのおすすめ

色んな意見がありそうだけど、私は5th「Withering to death.」7th「UROBOROS」9th「ARCHE」を推すかな。
「Withering〜」はどの曲もコンパクトに纏まっていて、それでいて統一感もあってアルバムとして聴きやすいと思う。「朔」や「THE FINAL」といった今でもライブでよく演奏される代表曲も収録されてるし。「UROBOROS」はかなり難解だけど、初聴きでも「なんかすげー」みたいなことは分かってもらえると思う(逆にこのアルバムは最後の方に取っておくのもありだと思います、この世界観に序盤で触れちゃうのは勿体ない気もするので)。「ARCHE」は綺麗なメロとカオスな叫びパートのバランスが良く、曲もコンパクトなのでDIRの入り口として適しているように思います。
でも正直DIRのアルバムはどれもそのバンドの代表作になれるくらい高いクオリティを保ち続けているので、ジャケットを見て気になったものからとかでも全然良い気がする。あとはベストから聴くのもありっちゃありだけど、できればアルバムで聴いて欲しい。DIRはアルバム1枚通してひとつの作品って感じのバンドだし、誇張抜きで全ての曲が名曲たり得るバンドなので。

はい。以上DIR EN GREYのアルバムについて色々紹介してみました。取り敢えず全員黙ってDIRを聴いてください。このバンドの音楽を知らないのは本当に勿体ないので。お願いします。マジで。

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