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マニピュレーターとは何かについて聴いていたら、あれ?私の仕事に似てなくない?と思った話(音楽熱想)

どうも、本業はデジタルサイネージ屋さんのchitoseArkでございます。店舗の電光看板からビル壁面のLEDビジョンまで、デジタルサイネージのお困りごとを解決します。

以前にも私のnoteで紹介したことがある音楽熱想というvoicyのトーク番組で株式会社ハートカンパニーの斎藤さんが先日「マニピュレーター」というお仕事について紹介をされました。

「マニピュレーター」って何する仕事?

「マニピュレーター」。音楽熱想でたまに出てきた言葉ではあったのですが(むしろ音楽熱想以外で聞いたことがない)、改めて説明を聞くと要するにこういうことです。

マニピュレーターとは、
「バンドだけでは鳴らせない音をコンピューターから出す人」
(放送よりそのまま抜粋)

コンサートを想像するのが手っ取り早いのですが、楽器を演奏したり歌っている人がいますよね?でも実際の音楽はそこにある生楽器だけで成り立っているわけではなく、それ以外のSE(効果音)などがふんだんに盛り込まれていたりします。言うなればそれをパソコン操作で出す役目を担っている人がマニビュレーターです(…説明合ってますよね?)。

そしてこれは斎藤さんの話の受け売りですが、マニピュレーターはとても重要です。何故ならそのコンサートにおける曲の出だしをマニピュレーターが判断して決めているからです。それ以外のすべての楽器はマニピュレーターが実行する(これを斎藤さんは「たたく」と表現しています)タイミングに合わせて演奏を行なうということが行なわれているのだそうです。

コンサートはスムーズに進むときばかりではありません。「では次の曲、聴いてください」みたいに始まるときだったら良いのですが、アーティストがノリで「行くぞー!!」みたいに突然始まろうとするときもあります。またアーティストが感極まって泣きながらMCしてGoするときとかもあります。

こういうとき、どこで「たたく」のが適切なのか?

タイミングをひとつ間違えばステージ上のパフォーマンスと合わず残念な結果になることでしょう。

かと言って本番中に打ち合わせなんてできません。

かくしてそこはマニピュレーターのセンスと経験、そして状況判断に委ねられるわけです。何というプレッシャー!!これを斎藤さんは

「心臓がちぎれるんじゃないかっていうくらい大変だと思います」

と表現されています。

ちなみに私はこの放送を聴いて「出だしに合わせるのは分かったけど、演奏のテンポがマニピュレーターの用意した元データに合わなかったらどうすんの?」という質問をしたところ、「んな演奏者はクビです!!」というのが斎藤さんからの回答でした。マニピュレーター強過ぎる…。


サイネージのイベント使用にも通じるものが…?

マニピュレーターの話をひとしきり聞いて思ったのは、

「あれ?私も似たような仕事たまにしているぞ?」

ということでした。

説明しますと、私の仕事はデジタルサイネージ(それこそお店の軒先に付いている小型の電光看板からビル壁面についているデカいLEDビジョンまで)のコンテンツ制作と配信業務なのですが、たまにイベントにてデジタルサイネージが使われるケースがあります。

私が見たり経験したりしたケースで例を挙げると、こんなのがありました。
(少し内容をアレンジして記載しているものもあります)

例①:除幕式
地域のエラい人の演説が終わり、いっせーのーせで幕が取り払われた瞬間に「祝!〇〇」と点灯させる。それと共に大きな拍手!
このときはパソコンを準備して茂みに隠れており、まさに幕が払われた瞬間に表示すると思われるタイミングで[送信]ボタンをクリックした。
例②:芸人ライブ
芸人が寸劇をするタイミングに合わせて、表示内容を切り替える。コンテンツは事前に準備し、スイッチに割り当てておく。芸人のトーク内容を聞いてスイッチを操作する。
例③:テレビドラマの収録
これは例②に近いですが、一発勝負ではないだけマシかも知れません。ただしこんなことで「カット!」を繰り返してキャストに迷惑をかけるわけにはいきませんから、やはり極力一発で終わらすことが求められます。
例④:結婚式場
ゲスト挨拶の際に、トーク内容に合わせて電光掲示板にコメント字幕が表示され、あたかも電光掲示板と会話が成立しているように見せる演出。

マニピュレーターの話と共通しているのは、

・適切なタイミングを見計らって「たたく」ことが求められる
・一度放映が開始されてしまったら原則として途中で止めたりできない

というあたりですが、デジタルサイネージを用いたイベントの際にはこれに「通信」というオマケが付くのです。

しかも無線(Wifi)だったりします。

業界の方なら説明は不要だと思いますが、通信が繋がるかどうかなんて水物というのがこの世界の常識です。

どんだけリハーサルのときに問題なくスムーズにいけたとしても、本番当日いきなり電波の調子が悪いなんてことはよくあります。
または、通信したい機体とは別のWifi拾っちゃってたりするとか。

繋がるとしても「何だか今日はあんまり通信の調子がよくないね」みたいなときもままあります。そういうときはボタンをたたいてから表示が始まるまでのタイミングがいつもよりわずかに狂ったりします。そんなにシビアじゃない現場なら良いのですが、「じゃんっ!」のタイミングで点灯するみたいなときは0.5秒のミスすらも許されないことがあります。

こういうときはどうするか。事前のテストでそういことが起こりそうか否かを見抜き、少しタイミング遅れそうだなと思ったら通常よりほんのわずかに(0.5~1秒とか)早いタイミングでたたくのです。ただしそのタイミングが適正かどうかは半分ギャンブル。上手くいくときもあれば裏目に出るときもあります。どちらが正解かはそのときの状況次第。ギャンブルの当選確率を上げるのは、現場でどれだけ苦渋を舐めてきたかの経験値です。

え?そんなの有線LANだったら問題ないんじゃないかって?
まぁ、繋がるかどうかだけの問題であれば多少はマシですね。

皆様はこういう経験をしたことがないでしょうか?自分の使っているPCなり何なりが何でだかネット繋がらない。ネット管理者にそれを言うと、こんな風に言われるのです。

「とりあえずPC再起動してもらえますかね?」

いや、それでも繋がらないんだけど?

「じゃあルーター再起動してもらえますかね?」

こういうことの原因は必ずしもネットワークだけとは限りません。PCの処理が重くなってるとかのときもあれば、何らかのハードウェア故障というケースもあるでしょう(セキュリティーのソフトが悪さしてるということもあるかも知れませんが、いくら何でもそれは事前に対策しとくべきです)。

いずれにせよ、これが普通に社内でデスクワークしてるときならともかく、一発勝負のイベント中に発生したらどうなるか…。

何か様子がおかしいことに気付くステージ上の演者。
ざわつく観客。
殺気立つクライアント。
一斉にこちらを見つめるスタッフ一同。

この恐ろしさは経験したことがある方でないと分からないです。絶対に。

それでもイベントを止めるわけには行きません。大丈夫。大丈夫だから心配しないでとアイコンタクトと精一杯の笑顔で皆様の視線をはね返しつつも、この状況で被害を最小限に留めるにはどうしたら良いかを考える。結果的にベストとはいかないにせよ、よりマシな凌ぎ方というのはあるものです。

斎藤さんなら「そんな状況に陥るマニピュレーターはクビです」と言うかもしれません。でもこうしたことは実際に現場で起こるのです。

心臓がちぎれますよ、本当に

そもそもウチの会社は表示機のメーカーなので、本来的にはこのような運用にお付き合いする必要はありません。なのでこのような仕事はイレギュラー中のイレギュラーです。もしこんな仕事がデジタルサイネージを売るたびに発生していたならば、私の心臓はちぎれにちぎれ、どこかの無惨様みたいに7つくらいに心臓が分裂しちゃってるかもしれません。

まぁしかし、我々の機体が現場でどのように使用されているのを実感するという意味では貴重な機会であるのも確か。そういう意味では決してこの手のイベント嫌いではありません。むしろたまにこういうのないと寂しかったりします(笑)。マゾピュレーター?いえいえ、現場が好きなのですよ私は!来る日も来る日も社内でコンテンツ作っている私ですが、たまにはこうした現場で揉まれるのもええやないか!血沸き肉食う熱き想いを…えぇいクリスマスだからって何書いてんだ私🎄🍗

…とはいえ私もこの通りのポンコツなので、自身のサイネージさばきが音楽世界のマニピュレーターみたいなものなどとは口が裂けても言えませんが、ライブ感という意味では何かしら通ずるものがあるんじゃないかなと感じた次第なのでございます。

ライブと言えば!!

明日ですよ明日!!茅原実里ラストライブ「Minori Chihara the Last Live 2021 ~Re:Contact~」は明日、12月26日(日)開催です!!
(これがラストなんて思っちゃいませんが、その話はまたいずれ)

チケット取れなかった方、いまこれを見て興味持った方がおられましたら、上記ハートカンパニー様のサイトより配信や生放送についての情報も載っておりますので、ぜひチェックお願いします。

もちろんこのコンサートにもマニピュレーターさんが活躍されているはずですが、斎藤さんいわく本番中はあまりそこに注目してほしくないそうです。「マニピュレーターの存在を感じさせず、ステージ上で歌うアーティスト本人にだけ気持ちが集中するときが見事な仕事」とのことですので、その想いに則り、このライブではアーティスト茅原実里さんの「ひとつの区切り」を見届けることに集中させていただきたいと思っております。

なんか話の流れ的に宣伝しちゃいましたね💦

ということで、12月26日に神奈川県民ホールでお会いできる方、見かけたらお声がけいただければ幸いです~!!

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