【短編小説】だけど永遠に、愛おしい⑭
「今日は遠いところからわざわざありがとうございました」
リビングの扉が開き、鍛冶の母親が現れた。
丁度、椿の涙が止まり、落ち着いた絶妙のタイミングだった。
鍛冶が気遣にあふれていたのもきっと、この母親譲りなのだろう。
「こちらこそ、突然お邪魔してしまい、申し訳ありませんでした。でも、
鍛冶くん……祐介さんに……直接挨拶ができてよかったです」
「祐介もきっと、喜んでると思うわ。さ、明日もお仕事ですよね? 駅までお送りします」
再びセダンに乗り込んで、数時間前に通った道を戻って