2023年12月28日 木よう日

 昨日、水曜日も結局一日中眠っていた。朝の6時くらいから眠って、夜の9時起きた。朝5時に家を出て空港に向かわなくてはならないので、そのままずっと起きている。シンクの食器を片付けて、お風呂に入り、荷造りをしているとちょうど出発しなければならない時間になる。

 まだ元気だったころに父から誘われて年末年始は帰省してスキーをすることになっていた。北国では、冬になると、体育の授業でスキーをする。校庭にスキー山があるのだ。学生だったころは、スキーなんて、冬にわざわざゴンドラなんかにのってさらにさらにさむいところに行くなんて、正気の沙汰ではないと思ってちっとも好きじゃなかった。でも東京に出てきて10年もたつと、逆にあのいちめん真っ白ななかを滑走するのが夢のなかの出来事のように思えてきて恋しく、おととし帰省した時、突然、「スキーに行きたい!」と言い出したのはわたしだったのだ。
 そういうわけで地元の有名なスキー場に3年前に連れて行ってくれたのだけど、わたしが中高生だった頃の活気は見る影もなく、なんともさびれていたのである。ゴンドラの動いていないスキー場なんて!?レンタルしたスキーウェアもチャックが壊れていてしまらなくてひどい状態だったのだ。あんなにいろんなコースがあって広くていいスキー場だったのに……。その惨状に、どうやらわたしよりも父のほうが衝撃を受けてしまったようなのだ。
 それで、次の年には、つまり去年にはスキーウェアもぜんぶ用意して(母が)、ゴンドラが動いている隣県のスキー場に連れて行ってくれた。せっかく一式そろえたのだからと、今年も行こうということになったのである。

 空港の搭乗ゲート付近で案内を待ちながら、「ゆっくりできるといいですね」といった心療内科の先生の言葉を思い出した。通っている心療内科は、とにかくなるべく直近で予約の取れる、家から行きやすい病院で、Googleマップの口コミを見るとあまり評価が良くない。悪くもないけれど。実は3件目に電話をしてやっと予約の取れた病院だったのだ(口コミには予約が取りやすいことを褒めるレビューが多かった)。先生はしずかで淡々としていて、2週間に1度の診察は10分ほどしかなく、こんなものなのかなぁ、やっぱり口コミ通り頼りない感じがするかも、と不安に思ったこともあった。でも、精神科医はあくまで医者であって必ずしもカウンセラーというわけではないのだし、投薬指示をしてその経過に合わせて薬品の検討をするのが一番大事なことだということ、また、わたしにあきらかな症状(不眠や拒食、体重の急激な増減)がなく、うつ病とも診断のしがたい状態だったと思うと、最近は、いい先生だなあ、と思う。ものすごく口数も少ないし声も小さく、ちょっとするとぶっきらぼうで暗い感じがするのだけど、やさしい先生だと思う。よくなりましたというとすごくうれしそうにするので。

 飛行機はスムーズに離陸して目的地に着いた。母が迎えに来てくれていて、家に行く途中、パン屋さんに寄った。買ったパンをお昼にしながら、前から約束していたNETFLIXの『離婚しようよ』を一緒に観る。自分の家からFireStickを持ってきていてよかった。
 自分の家から持ってきたルピシアの紅茶をいれて観る。仲里依紗がとにかくかわいい。すがたかたちもだけれど、衣装もかわいい。とにかくかわいい。演技も上手。母ときゃあきゃあ言いながらみていると、小汚い男性が突然出てきた。
 「この俳優さん、錦戸亮に似てるねえ」と言ったら、「いや錦戸亮だよ」と母が言い、は!!となる。「えっカタコトすぎて外国人かハーフの人かと思った……」と言うと、「演技下手だよね」と母。ぜんぜんときめかないしうさんくさいし変なセリフばっかり言うのに、仲里依紗はこの男と不倫をしてしまうのである……。
 Twitterや検索エンジンで『離婚しようよ』の錦戸亮の評判を調べるけれど、とにかく絶賛されている。それらをいちいち読みあげると母が大きく目を見開いて「あらぁ~」と言う。「わたしたちおかしいのかな?」「もうおかしくてもいいよね」「かっこよくないもんね」

 4話を半分くらい観たところで父が帰ってきて、3人でご飯を食べる。まいたけをかんたん酢で炒めたものと、かぶをイタリアンペッパーで炒めたもの。鶏のもも肉を皮ごとぱりっと焼いたものにハニーマスタードソースをかけたものにサラダを添えて。それにお味噌汁と漬物。豪華すぎる。ぜんぶおいしかった。母は自分のことを料理が下手だと言うけれど、料理も家事もぜんぶできすぎると思う。

 日付が変わる前に最終の新幹線でやってきた妹が家に着く。次の日はスキー場に行くので朝早い。昨日の夜から24時間以上、ずっと起きているのに、なかなか寝付けなかった。

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