映画を観るということ


大森でサクッと仕事をして、神保町へ。
今日が最終日の映画のチケットがあったので岩波ホールで鑑賞。
映画のタイトルは笑う故郷だった。
頂き物のチケットなので観ようと思っていた映画ではないけれど、だからこその、この時間を作れたこと、いつぶりだかわからない岩波ホールの空間を楽しめることに先ずは感謝した。

私の場合、映画を観る楽しみは映画の内容だけじゃなく、”そこで観る”という行為全体が入る。
岩波ホールは小学生の時に来たきりかもしれない。
背もたれの低い座席、小さなスクリーン。まばらな観客はほぼお年寄り。意識高い系お年寄り。なんだか皆さん雰囲気がステキ。
白髪の女性二人組は帰りのエレベーターホールで、東京新聞を購読する意味や予告で見た次の映画は観るのか、観ないのかなどを小さな声で話している。

岩波ホールならではの観客かな、と思う。
早稲田松竹も違う”ならでは”があるけど、名画座やミニシアター系ホールの個性って、観客含め強い。
シネスイッチ銀座は思うほど”ならでは感”はないのよね。なぜだろう。

映画は本当に面白かった。
ノーベル賞作家が40年ぶりに故郷へ帰るお話。
田舎、っていうのは世界的に共通する何かが、あ、どこもこうなのか!って思う何かがあるんだな…と、あまりにその辺が丁寧に描かれてもいた。

主人公の作家、ダニエルの昔の友人アントニオの俗物さに既視感がある。キライなのに思い出すのはアントニオのシーンだ。

そしてダニエルには色気があった。
おっさんの色気に全くやられなくなって久しいので、自分の心の動きにちょっとウキウキした。

でもって私は映画の評価をステキにできる才能がないので、この辺でやめておこうかな、と思う。
どうも物事を断片的に楽しむ癖があるので、物語の説明には向いていない。

ホールを出たところで神田古本市が開催されていた。
夕暮れの中、裸電球がポツリポツリ灯る本棚を、縁日の夜店を覗く気持ちでみる。
欲しい本は見つからなかった。

でも今日は、何となくいい1日だった。



#エッセイ
#何でもないけどステキな1日
#日記

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