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歩けるようになるか、出産できるかわからないと言われたのに、今が一番快適に過ごせているヒミツ

こんにちは。あさのちづこです。
先日公開した手記ですが、思いのほかたくさんの方に読んでいただけて、うれしいです。

体裁を整えながら「大切な時間とエネルギーを注いで、わざわざネットで公開するほどの文章なのだろうか…。」とか、「正直めんどくさいなー」という思いに時折囚われている私がいたのですが、終えてみるとちょっとした達成感に包まれています。

なぜかというと「たった一人でも、誰かの心に響いたら、もうそれで十分。あとは全部オマケだ!」と思っていたら、

この手記にたびたび登場するボスのにしやんが、再び読んで丁寧なコメントを書いてくれたのです。

それを読む限り、どうも彼の心に響いたようなので、わたしの任務はこれにて完了です。

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あまりにもリアルな痛みと感情の奔流と、それに寄り添いつつ冷静で俯瞰的な事故分析は、当時も今も衝撃的。
そしてどうしても辛い文章になりがちなこのストーリーを明るいトーンで彩るあさのちづこさんの生命力、家族の絆、人々との繋がりが生む圧倒的に前向きなパワー。暗闇に輝く生きる力に感動します。
個人的にはあらためて今回読み返して、近くにいた人間として当時は必死に希望に寄り添っていたつもりだったけれど、無理して大丈夫、元気だよ、他にやりたいことができたと表面に現れていた希望と、心の奥底のどうしようもない気持ちの違いに気づけなかったことにようやく気づけたような気がします。
あの頃みんなで走り抜けた日々は自分の誇りであり、あまりにも輝いていて幻のようですが、この事故や共に走った今はなき仲間や、影がコントラストのように深すぎることもあるのかもしれません。
何度読んでも涙なしには読めない一冊で今回も涙腺崩壊でしたが、この一冊の最後は今となっては尻切れとんぼのように思います。
ぜひこの一冊の最後から始まり今に至るストーリー、続編もいつか。

にしやんのコメントを引用


さて、この書籍にあるように、わたしは事故で骨盤を含む全身10数か所以上をかなり派手に骨折してしまったのですが、あの事故から16年経った今、見た目にはそうわからないくらい元気に歩きまわっています。

それだけではなく、3656gと3868gの赤ちゃんをそれぞれ自然分娩で高齢出産し、今朝は13キロの娘と18キロの息子にねだられて、二人をまとめてだっこ&おんぶして一階まで階段をかけ降りていたくらい元気です。

事故当初は、歩けるようになるのも、出産することも難しいかもと言われていた私が、なぜここまで回復できたのかということについて、たびたび聞かれることがあるのですが、

今思えば10数年前に主治医の坂井孝司先生にかけられた言葉のおかげかもしれません。

今日は、そのことについて書いてみようと思います。

それは、事故が起きてから1年以上たって、少しずつ車いすの時間を減らし、歩行にうつる練習をしていた時のこと。

当時の私はとにかく、元に戻ろうと必死でした。事故の前にできたことは全部できるようになりたい!正座もしたい!ジャンプもしたい!

なんなら、全力疾走で100mくらいは走れるようになりたい!とさえ思っていました。(もう10年以上そんなことをしてもいなかったのに!)

まあ、それは大げさだとしても、とにかくせめて元通りくらいまでには綺麗に、びっこをひかずに歩けるようになって、痛みやしびれもとれるものなら全部とってしまいたいと強く思っていました。

それで、ある時坂井先生に聞いたんです。

「先生、私また前みたいに走ったりジャンプしたりできるようになりますかね?正座はどうでしょう?スポーツも、なんでもできるようになりますかね?
しびれは一向によくならないし、骨盤や腰も痛いんですけど、これって治りますかね?」

すると、先生は少しだまった後に、静かにこう続けました。

「宮崎さん、今の股関節を大切にし続けてあげてください。走ることもジャンプすることも、できるようにはなるかもしれない。でも、そのことよりも、今ある股関節を大切にしてあげて。
今ようやく骨がくっついて、いい感じで股関節のスペースも保てているし、ちゃんと関節軟骨も再生してきてる。この軟骨が擦り減らないよう、このスペースと軟骨をこれからもずっと大切にしてあげて。」

この言葉をきいて、はっとしました。

元に戻る事だけを考えて、今の自分の身体にちっとも目を向けられていなかった自分に気づきました。

私の股関節(太ももの骨と骨盤が出逢うところ)は、事故の際に左の太ももの骨が骨盤を突き上げ骨盤はパズルのようにバラバラに、股関節付近はこなごなに粉砕していました。

そのために二回の手術で、ボルトやプレートを入れたり抜いたりした後、一年以上体重をかけることを制限して、大切に大切に回復を待ってきたのです。

ボロボロになったところから、ようやく何とか立て直してくれた身体のことを無視して、私はちょっとでもよくなってやろうと必死だったんです。

その後、身体はおろか自分自身の全てを大切にできなかった日々もあり、それそれは苦しい日々を送っていたのですが、あれから10数年たった今、わたしが一番大切にしていることは、あの時の先生の言葉でもある「今の自分の身体を大切に扱っているか?」ということです。

自分の身体に敬意をもって、今ある身体に感謝すること。

そして、今ある身体を大切に大切に扱うこと。

頭で、「この痛みはこれが原因」とか「年だから仕方ない」とか「私の身体はこうだから無理」とか、勝手に解釈するんじゃなくて、今この瞬間の身体の感覚に耳を傾けて、その声に寄り添ってあげられる自分になること。

思考優位な私にとって、身体の声を聴くってなかなか簡単ではなかったけれど、それでもピラティスやセラピーを通して少しずつ少しずつコツコツと「感覚を磨いて、身体の声を聴いて、身体を大切に扱い続ける」ということをやってきて、はや事故から10数年。

どうなったかというと、当時20代だった私が40代になり年を重ね、出産を2回経験したにも関わらず、今の身体が一番快適だと感じています。

痛みやしびれが完全になくなったわけではないけど、それでも痛みやしびれも波があって、穏やかでいてくれること方が多いですし、もはや彼らと共に生きている感覚で、痛みやしびれは悪者ではなく、仲間です。

身体を大切に思う気持ちをベースに持って、身体の声をきけるようになってくると、不快や不調が小さいうちに対処できるようになり、不快や不調に必要以上にふりまわされることもありません。

誰かに心ない言葉をかけられても、大して気にもなりません。

身体って、頭でコントロールしようとするよりも、そうしてあげたほうが、長い目でみたときには自分の思いに答えてくれるんです。


もし、わたしが事故に遭わないまま、ピラティスとも出逢うことなく、この年まで身体を大切にしてこなかったとしたら、きっとその方が中身も見た目もボロボロだと思います。


なぜなら、私は事故の前はしょっちゅうお酒をのみすぎたり、身体にあわないピンヒールを履いて、足にたくさん豆をつくったり、いろんなことを我慢してためこんだり、体中のじんましんにステロイドのお薬を常用してぬりたくったりと、身体を大切にするとか身体の声を聴くなんて、考えたこともなかったから。

自慢じゃないですが、父には「ちづこはこのままではいつかお酒で人生をぶちこわしにする」とさえ言われていたくらいです。

今も、ほおっておくと、そんな自分を大切にしない自分がむくっと起きてくることもあります。

でもだからこそ、私はセラピーやピラティス、講演活動などを通して、「身体の声を聴いて、自分自身を大切にする」という、その地味なプロセスの大切さをお伝えしたいのです。

そして、そのプロセスがいかにミラクルを引き起こすかということや、いかに自分を支えてくれるかということを、できるだけたくさんの人たちに、体感し続けてほしいな~と思うのです。

身体の声を聴くことは、単に「身体がよくなる」とかそういう話ではなくて、自分の内側を幸せにしてくれます。

自分の内側の幸せは、確実に自分の周りも幸せにします。つまり、大げさではなくて、身体の声を聴くことは世界平和にさえ繋がってしまうのです。

そんなわけで、今日はボロボロの身体がここまで回復したヒミツについて、書いてみました。

浅野千通子 (あさの ちづこ)

セルフパートナーシップセラピスト / ピラティス講師
いのちの講演家

社会人4年目の時、朝の通勤途中にJR福知山線列車事故に遭い、全身10数カ所を骨折し、7回の手術と入退院を繰り返す。リハビリをしながら身体の仕組みを探求し、歩けるまでに回復したのちピラティス講師となる。しかしその後精神が崩壊し、長年苦しんだ経験から心身のつながりを探求するようになる。現在は「私を大切にする習慣づくり」をモットーに、個人セッション、早寝早起き×ピラティス習慣オンラインコミュニティ運営を通して、身体と心の健やかなつながりを取り戻すサポートを行い、これまでのべ10000人以上の心身の健康に携わっている。
2016年より「安全な社会」「より生きやすい社会」に貢献したい思いから講演活動を開始。実体験に基づく生の言葉は、事故の悲惨さを訴えるものではなく、聴く人たちが「自分らしく生きたい」「より安全でありたい」という純粋な気持ちを引き出す力を持っている。

2歳女の子と6歳男の子を持つ2児の母。21時半就寝、3時半起床が基本スタイル。

家族との時間を大切にしながらも、「自分の人生は自分で創る」をモットーに「生きることの価値」を伝え続けている。

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