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【企画物語】7/13クラスに日本語が話せない子どもがやってきたら~外国につながる子どもの教育支援を考える~

 今の学校現場、都市部も地方も当たり前に外国につながる子どもが増えてきています。「クラスに日本語が話せない子どもがやってきたら」皆さんはどう対応されますか?」

1,これまでもあった困難


 私自身、これまで小学校の現場で、様々な外国につながる子供たちを担当させてもらいました。
○父親がイタリア人シェフで、スポーツ万能の児童
○両親が中国人で、それなのに日本語が流暢な児童
○両親が韓国籍で、韓国文化を大切にしている元気な児童
○父親がエジプト人で、天真爛漫で明るい児童
○両親がパキスタン人で、日本語が余り話せない児童
○両親が外国籍で、日本語の読み書きが難しい児童
 どの子も本当に魅力的で担当させてもらって本当に有難かったことを覚えています。
 
 しかし、実際は、課題が山積でした。
・授業の仕方で、どんな工夫をしたら一緒に学べるのだろう…
・休み時間に子どもたちどうしを関わらせるためにどんなことに気をつけたらいいのだろう。
・給食や清掃指導等、配慮することは何だろう。
・保護者とのかかわりをどのようにつくっていいたらいいのだろう。
・学校外のどんなサポートを受けることが出来るのだろう。
・外国語しか話せない保護者に学校行事や就学援助の説明をどうしたらいいだろう。

 2,行政のサポートと今後の展望


 その場その場で最善の手段を使ってきましたが、行政で何かサポートがあれば、どんなに助かるだろうと感じていました。
 
2019年に「日本語教育の推進に関する法律」(日本語教育推進法)が施行され、日本語教育を希望する子どもに、その機会を最大限に確保することなどが国や自治体の責務として定められました。
  2023年5月に発表された令和4年度外国人の子供の就学状況等調査結果を見ると、毎年外国につながる子どもたちの就学数が増加し約12万人が就学しています。
 
そして、今後、さらに日本各地の学校現場に外国につながる児童生徒が確実に増えてきます。現場に児童生徒が入ってくる前に予め、準備できていれば、いざというときも安心です。
 

3,自分のクラスに日本語の話せない子どもがやてきたら・・・


 そこで、今回のイベントです。テーマは、「自分のクラスに日本語の話せない子どもがやってきたら・・・」 サブテーマは、「外国につながる子どもの教育支援を考える」です。
 イベント対象としては、以下を想定しました。
・外国につながる子どもの指導に悩んでいる先生
・外国につながる子どもの保護者への支援を知りたい先生
・外国につながる子どもへの支援に携わりたい方
・現場への支援方法を知りたい行政の方
 
イベントでは、2020年度から3年間、文部科学省委託事業「多文化共生に向けた日本語指導の充実に関する調査研究」に携わられた弘前大学多文化リソースルームの吉田美穂先生から散在地域での外国につながる子どもたちやその学級・学校をどう支えてきたのか、お話をしていただきました。
イベントは、あっという間に感じました。参加された方全員の意識も高く、チャット欄にも沢山の意見や質問が相次ぎ、司会の鴻池さんが、ピックアップしきれないくらいでした。そして、その一問一問に吉田先生が丁寧に答えて下さいました。一旦クロージングをした後も、残って、追加の質問をされたくらいでした。本当に熱いイベントとなりました。

4,「外国につながるガイドブック2023」


以下のURLに接続すると、詳しい資料も得られます。
弘大多文化リソースルーム
また、こちらのガイドブックをお読みいただけるとより理解が深まります。
外国につながるガイドブック2023

5,イベント参加者の声から



・個別の支援計画や指導計画は、特別支援教育のものしか触れてこなかったので、多文化用があるのは初耳で勉強になりました。とても興味深いご講演ありがとうございました!
 
・私自身まだ社会福祉を学ぶ専門学生で将来的に外国にルーツを持つ方への支援にソーシャルワーカーとして携わろうと考えています。今日本で起きているリアルな現状や問題をお聴きして大変勉強になりました。ありがとうございました!
 
・ありがとうございました。質問にも丁寧にお答えいただきよくわかりました。
 
・ありがとうございました。今日初めて聞くことがほとんどでした。いざという時に今日の情報を知っているだけで、対応が変わってくるように思いました。外国につながる子ももともといる子もどちらも幸せに暮らせるようになれればと思いました。ありがとうございました。現場にいると、「日本語が話せないこと、理解できないことが問題だ」との認識から「日本語が話せるようになればいろいろなことが解決していくはずだ」と言語習得だけを目標にしてしまう場面が多々見られます。私自身もそうです。ですが、日本語を話せるようになってもそれは表面上問題が起きていないように見えるだけで、その子の中では様々な困難さが残っていること、言語支援はあくまで支援の一つに過ぎないのだということを知りました。学級担任がこの認識を持っているだけで、きっとその子への支援の仕方や寄り添い方が変わると思います。早速、困っている同僚の先生に本日の学びを共有させていただきます。
 
・あっという間の1時間でした。聞けば聞くほど、喫緊の課題であることがわかりました。添付のガイドブックを読んでみると、人的支援のほか財政支援も必要なことがわかりました。日本語がわからないだけで、特別支援学級に在籍させられているという実状には驚きました。まだまだ、現場の理解も行政の理解も進んでいないところが多いことも勉強になりました。ありがとうございました。
     

                大賀重樹


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