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これからの時代、客室セールスって必要ですか?

2015年以降、特に大阪、都内近郊といった都心部にあるホテルの営業から相談が増えたのが、タイトルの質問です。
この質問が増えた理由の多くとしては次の3つです。
①    オンラインをメインとした販売計画へのシフト
②    レベニューマネジメント担当者との衝突(衝突は言い過ぎかもですが)
③    個人予算の未達成による自信の喪失

営業担当者たちは、これならばもう客室販売にセールス担当者は不要なのではないだろうか、と疑問に思ってしまったのです。
「オンラインで売れるから、営業行って安い案件引っ張って来られても迷惑だよ。」
「その日は売れると予測しているから、団体はいらないよ。」
「この日が弱いんだから、この日の案件だけ引っ張って来いよ。」
などなど、文句ばかり、悪口ばかりが聞こえてきます、と。

セールスとマーケティングを統括していた私は、セールスの仕事は必要だと考えています。営業の仕事はもちろん、案件を獲得することではあるけれど、単に客室を売ることだけではなく、現在のマーケット状況や、他ホテルの団体価格・状況など、情報を得るというのも大切な仕事の一つです。

100室のホテルがあったとします。
若干乱暴な試算ですが、
オンラインで20室を早割り5000円で販売、30室を7000円で、さらに20室を8000円、最後に10室を10000円で販売したとします。
①    稼働率(以下、Occ.) 80.0%、平均客室単価(以下、ADR) 7,125円、
1室あたりの収益額(以下、RevPAR )5,700円、売上 570,000円

一方で、団体に50室を6000円で販売、20室を8000円、10室を10000円で販売したとします。
もう少し高単価での販売が可能だと思いますが、とりあえずは安めに比較をしてみます。
②    Occ. 80.0%、ADR 7,000円、RevPAR 5,600円、売上 560,000円

若干、ADRは下がりますが、団体は基本、1泊朝食付きなので、ここに朝食の売上が上乗せされます。食べようが食べまいが、この場合は料金に含まれているので100%売上げます。朝食を仮に1000円で計算すると、売上が610,000円となり、40,000円も上乗せされます。さらに団体で売上げのベースが出来ているので、コントロールがしやすく、予約日~実際に宿泊する日までの日数『リードタイム』も長くなるため、稼働や単価を上記よりも上げることが可能です。当然、この日の過去のデータに基づいた予測が必要で、それを参考に、さらに団体の決定率、カットオフ期日など、諸々の条件により判断は異なりますが、団体を取っておいた方が良い日というのは、ある程度の客室を持っているホテルであれば、必ずあります。その日に団体を取るためには、他の売れる予測日を多少犠牲にしてでも、取るべき団体、付き合うべき企業や旅行社などがあり、トータルすると売上アップにつながるということになります。

それは、セールス担当者が信頼関係を築いているからこそ、確度の高い案件や諸条件を引き出せるわけなので、セールス担当者は交渉力も必須です。なので、営業担当者は必要で、大切な存在なのです。

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