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室数に限りはありますが”限界突破”も可能です。


当たり前ですが、宿泊施設は1日に販売できる数が限られています。でも、365日販売する中、毎日簡単に満室にできるわけではありません。そこで1室でも多く販売できるよう、工夫が必要になってきます。

大半の宿泊施設では、自社ホームページやオンライン系予約の在庫を一括管理するシステム『サイトコントローラー』を導入しています。これを導入することで、一つ一つのオンライン系旅行社のシステムで在庫や料金の設定をする必要がなくなります。

例えば、じゃらんと楽天トラベルに販売をしているホテルがあるとします。

<ホテル> 
サイトコントローラー 在庫1室

<利用者> 
じゃらん1室、楽天トラベル1室で販売中

<利用者> 
楽天トラベルで1室予約

<ホテル> 
サイトコントローラー 在庫0室

<利用者> 
じゃらん、楽天トラベルともに満室

上記のように、サイトコントローラーに在庫を登録しておけば、契約している旅行社で予約が入ると、在庫数が自動調整されるわけです。

もちろん、サイトコントローラー上で、
・残数1室となったら、自社のホームページのみで販売する
・売れる日の場合、2泊以上の予約のみ受注する
などの販売制限の設定も可能です。

この時代なくてはならないものですが、残念ながら、サイトコントローラーを設定したら、それで業務終了としてしまう宿泊施設があります。
状況は変わりますので、その日の売上を向上させるためには、状況に応じて、設定を変更していく必要があるということです。

そこで“限界突破”です。

宿泊施設の“総客室数”には限りがありますが、客室タイプ別の室数は“限界突破”が可能なのです。

例えば、
①スタンダードツインルーム25室
②スーペリアツインルーム15室
③デラックスツインルーム10室
の総客室数50室のホテルがあったとします。
残室数が以下のようになった場合、
①スタンダード 在庫0室
②スーペリア 在庫10室
③デラックス 在庫5室
残室数の合計、15室です。

このまま②と③の予約が入るのを、ただ待ちますか。

データに基づいて、受注傾向が②や③の予約が直近で伸びるの日なのであれば『待ち』の判断で問題ありません。

でも、伸びる見込みのない日の場合は、以下のように調整してはどうでしょう。
①    スタンダード 在庫5室 “限界突破”
②    スーペリア 在庫5室
③    デラックス 在庫5室
残室数の合計、15室ですので、オーバーブックにはなりません。①を予約したくても満室で、他ホテルへ流れてしまっていたお客さまが、当館を予約できるようになります。

直前になっても②の予約が伸びない場合は、①の在庫数をさらに調整していきます。

チェックイン時に『本日は特別にスーペリアのお部屋がご用意可能でしたので……』のように、一言お伝えする必要はありますが、スタンダードで予約した方がスーペリアにグレードアップされても、嫌な気持ちになる方は、ほぼいらっしゃいません。もしも『スタンダードが良かった』と言われてしまっても、他の方をスーペリアにアサインすればいいだけです。

調整がうまくいって、①と②が完売した場合、
調整後→スタンダード35室、スーペリア5室、デラックス5室、合計45室
(稼働率:90%)
放置した場合→スタンダード25室、スーペリア5室、デラックス5室、合計35室
(稼働率:70%)
①と②の差額が5000円ほどで販売されていたとしても、開けておくよりもスタンダード分の売上を上げたほうがいいし、表面上、スーペリアの価格を下げて、たたき売りをしたわけでもないのです。

ただし、①と②はオーバーブックさせてもその上のタイプの客室へご案内できますが、デラックス以上の客室がない場合、デラックスでご予約の方は、必ずデラックスにお通しなくてはなりません。当たり前のことですが、“下には振れない”という点だけは、ご注意ください。

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