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青森県立美術館での棟方志功展と、棟方志功記念館を見るために東北旅行をした

2023年9月、私は初めて東北に行くことにした。50年近くで四半世紀以上トーキョーの田舎で暮らしているが、そもそも西日本出身なので、地理好き旅行好きとはいえ、北の解像度が浅い。
というわけで人生初だ。何で行こうと思ったか。
それは棟方志功だ。青森で棟方志功生誕120周年の展示がある(東京にもくるけど)、さらに棟方志功記念館が来年でクローズするだと? ちゃんと見たことがないし、出身地でやってる大規模展示とあらばみたい。ついでに東北も行くか。いい機会だ。見知らぬ土地への旅ってこんな動機から始まった。

ということでトーキョー駅からハヤブサってやつに乗った。
乗る前の話だが自分の最寄駅でまず、逆方向のホームにいた友人に出会した。友人は私の友達で数少ない青森出身だ。新幹線ホームでは隣に某有名国会議員がいた。顔が派手つうか、顔がでかいから目立つんやなって思った。なんか面白かったので書き留めておく。

東北新幹線は満席だった。JR東には自由席なんて自由で気楽な存在はないので、あっという間に埋まるんだわ。これには驚いた。
盛岡から新青森駅は山陽新幹線の広島・山口のごとし。それはトンネルが多いっていう意味。そして広島に行くぐらいの時間で新青森駅に着いた。

新青森駅からちっこいミニバス満員で県立美術館に。想像以上に市の外れにあったので即座に道の向こう側にわたり、帰りのバスをチェックした。田舎は油断はできない。
(念のため。青森市はGoogle Map でバス時間がちゃんと連携しているのでMapでも把握できる。そんで移動がしやすい。)

フォントからしてかわいい、公園の中にある青森県立美術館。
入ってからわかったが、この展示会はとにかく展示数が多い。これ東京に全部持ってくるのは無理じゃね???って思ったほどの量だった。そして展示物がデカい。版画というイメージで何となく小さく思っていたが、こんなにでかいものを作っていたとは知らなかった。

途中NHKで特集された映像の展示もある。ド近眼でへばりつくように彫り進める姿は子供の頃にも見たものだが、ほんとに青森弁だった。
隣にいたおばさんが「これ(棟方の喋り)は私たちはわかるけども、方言がきついのでみなさん字幕なかったらわからんでしょ」って青森弁で言ってた(だいたいわかった)。それほど棟方志功の話す青森方言は字幕がないと全然わからねえ!

とにかく多作なアーティストだったんだとわかる。商業的なもの、本の装丁、どんどん大きくなる絵の大きさ、ドデカいパブリックアート、人の家に贈ったものなど多岐に渡る。あの笑顔の写真を見たら、多分いい人だったんだろうなって思うよ。

個人的に良かったもの

  • 柳宗悦の表具指示書が細かい!日本民藝館にある「キリストの柵」。掛け軸の背景に十字架や光背が描かれていたり、掛け軸という装丁で版画がグッとカッコよくなってるやつ。

  • ねぶたの絵。彼の出身地であり、体の中にねぶたがあって、あの「棟方志功の線」ができてるんだと思った。実はこれまでねぶたの実物見たことなかったんでよくわかってなかったんだけど、翌日ねぶたの実物を見て、ねぶたDNA!って思いました。

  • どでかい絵を展示した、これまたデカい展示室。。。スケールに圧倒された。。。

  • 華狩頌(はなかりしょう) 花の矢を放つアイヌの儀礼の絵。エキゾチック。弓矢は書かれていないのに弓を引いていると思う。

  • 駿河銀行創立70周年で依頼されたという「 東海道棟方板画」のシリーズ。



3時間近くかけて大量の展示を見終え(それでもバスの時間の関係で急いだ)、急いであの「あおもり犬」 も見に行きました。冬は見られなくなる(閉館する)のも何でだろと思ってましたが、相当雪深そうです。

脇の下にも感じられる哀愁

展示会出口で、アート好きな二十歳前後と思われる男性がツレであるその祖父母ぽいご年配の人たちに、たくさん見られて満足したと言っていて、祖父母ぽい人たちもアート好きらしく話が盛り上がっていた。棟方志功が次の世代にも引き継がれんことを。

非常食で持参したどら焼きを齧りつつ青森駅経由で市内の棟方志功記念館へ。旅は忙しい。

青森市内の棟方志功記念館

市内にある棟方志功記念館は来年2024年で閉館することが発表されている。展示室は少ないが、これも棟方志功の意思によるものでじっくり見てほしいという考えによるものだとか。でも所蔵品は多いから入れ替えは年4回。こういった小規模の美術館がなくなるのは残念だ。。。

大きな屏風絵、人の新築祝いに贈った絵(どんだけでかい家なのか、でも青森ならありうるか)などの展示だった。
32歳の誕生日に32匹の緋鯉の絵を岡山の富豪(大原美術館の人)にプレゼントするとか。
そしてこの夏話題になったあの映画を想起させる鳥の絵が印象に残った(鷲栖図)。青い鷲の鋭い目に引き込まれた。これはお友達の新居の壁に書いたらしい。新居の壁にしてはデカい。体育館ぐらいありそうな家なんだと思う。

で、ようやくここまで来てから気がついたんだけど、棟方って荻窪に住んでたんかい←今頃。俺トキオ西方在住。確かに荻窪の商店街に棟方志功の絵が使われてたけど、住んでいたとは気が付かず。。。


棟方志功記念館、お庭もいいし校倉作りっぽい建物も良き。
この玄人好みの美術館、とはいえ、この経済状況・人口の減少・先行きを考えるとこの先の維持は大変なんだろうなと思った。うん俺らの国は本当に厳しいんだな。

閉館時間になり、ホテルに向かう途中で暑くて汗だくになったので喫茶店に寄った。中では爺婆がお相撲中継見ていた。一緒に見ながらアイスコーヒーを飲んだ。東北なのに東京と同じぐらい暑くて、でも日が暮れるのが早い気がした。

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