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宅建士が教える仲介手数料と礼金の裏側

~~~~5分弱で読めるnoteです~~~~


こんにちは、しょこらるです。


今日のお話は、身近でありながら知らないことが多すぎる不動産について。


中でも、賃貸マンションを借りる際の初期費用についてお話しします。

不動産業界は不透明なところが多い、とよく聞きます。

これまで経験したフィールドで言うと「賃貸物件を借りる時に支払費用」なんかは、なんとなく支払っているけど実際よくわかっていない、というのがほとんどなのではないでしょうか。

「そんなことないやい!不動産会社だって正直に商売してるやい!」と反論したいところですが、実際に不動産会社で働いた経験のある私も「不動産会社って屁理屈でできているなぁ」と思うのです。


春が近づくと進学・就職などで引っ越しを検討する人が増えますが、お金がない若者としてはできる限り初期費用は下げたいもの。


賃貸マンションを借りる際の初期費用と言えば
 ・敷金
 ・礼金
 ・初月の賃料
 ・仲介手数料
がかかるのですが、この中でも礼金仲介手数料は非常に厄介です。


そもそも「仲介手数料」というのは、不動産会社がお客さんと大家さんの間に入って賃貸マンションの契約のお手伝いをしてくれた際に、報酬として支払うものです。いろんな物件を提案してくれたり、内見に連れて行ってもらったり、書類を作成してもらったり、それに対するお礼みたいなものですね。


本来宅建業法では、仲介する不動産会社がもらえる手数料の合計額は「取引される不動産(この場合は賃貸マンション)の家賃の1ヶ月分まで」と定められています。そしてこの「家賃の1ヶ月分」というのは、内訳についての絶対的な決まりがありません。大家さんが全額支払ってもいいし、お客さんから1ヶ月分もらってもいいし、大家さんとお客さんで半分ずつにしてもいいということになります。


で、ここからが問題です。

多くの不動産会社が、お客さんに請求する仲介手数料を家賃の1ヶ月分としています。


まずここで浮かぶ疑問の1つが「大家さんからもらってもいいはずの仲介手数料を、なんで借りる側が全額負担しないといけないの?」ということです。

結論から言うと、「全額を負担する必要はありません」。


確かに宅建業法において、仲介会社が受け取れる報酬額の上限は、取引される不動産の家賃の1ヶ月分までと定められています。ただし、大家さんまたはお客さんのどちらか一方から受け取れる報酬額は、当人の承諾を得ない限り家賃の0.5ヶ月分まで。つまり「いいですよ、素敵な物件を紹介してくれたので家賃の1ヶ月分お支払いしましょう」と承諾をしない限り、お客さんは家賃の0.5ヶ月分を超える報酬を支払う義務はないのです。

これを知らずにいると、不動産会社から「仲介手数料はどこでも1ヶ月分ですよ」と言われても「へーそうなんだ」で終わってしまうのです。怖いですね。


さらに、賃貸マンションを借りる時に当たり前のように払っている「礼金」も悪さをしている可能性があります。


実のところ不動産屋は、お客さんから「礼金ってなんですか?」って聞かれたときにちゃんと答えることができません。なぜなら本来お客さんが支払う必要がないものだから。


私が仲介営業をやっていた時は「大家さんに『貸してくださってありがとうございます』と支払うお礼みたいなものです」と説明していましたが(今考えても苦しすぎる⋯⋯)、そもそも大家さんは部屋を借りてもらって収入を得ているわけですから、借りる側が毎月支払う家賃こそ「お礼」なんですよね。


となると礼金とは一体何なのか。答えは「大家さんから不動産屋に支払う報酬の源泉」です。


礼金は多くの場合「家賃の1ヶ月分」と設定されています。この礼金の中から、大家さんは不動産会社に報酬を支払います。


ここまでちゃんと理解して読んでくださった方は「え?お客さんから既に仲介手数料を1ヶ月分もらっているのに、さらに大家さんからも1ヶ月分もらったら法律違反なのでは?」と思うでしょう。

そう、法律違反です。
「仲介手数料」という名目でもらう場合は。


これが、私が「不動産業界は屁理屈でできている」と感じるポイントです。

不動産会社は大家さんから報酬をもらう際、広告宣伝費(広告料)という名目でもらいます。

つまり仲介手数料をお客さんから1ヶ月分もらって、広告宣伝費 を大家さんから1ヶ月分もらう。そうすることで、不動産会社は本来であれば家賃の1ヶ月分しかもらえない報酬を2倍にすることができるようになるのです。

(本当はこの方法はかなりグレーなのでどこもあまり公にはしないのですが、不動産業界の古い慣習として残ってしまっています。大家さんもそれを分かったうえで不動産会社に報酬を支払っています。)


もちろんこの「礼金」が絶対に広告宣伝費の源泉になっていることではなく、管理の行き届いたマンションの場合は大規模修繕や設備の交換費用として貯めている場合もあります。しかしながら賃貸マンションは、多くの場合家賃と管理費(共益費)を分けて契約する場合がほとんどで、管理費(共益費)の方が建物のメンテナンス費用として使われます。そう考えると「建物の維持費として蓄えることを目的とした礼金」というのは筋が通らないように思うんです。


つまり、ここまでの話をまとめると仲介手数料1ヶ月+礼金1ヶ月はとりすぎということになります。

それではどの程度まで初期費用を減らせるのか。

これは正直物件を借りる時期や部屋の人気状況、その他の要因で大きく変わるので、一概には言えません。全く交渉に応じてもらえないこともあれば、両方免除してもらえる場合もあります。


本来であれば私も「全力で値引き交渉をしましょう!」 と言いたいところなのですが、繁忙期ともなるとそうもいかないのです。


なぜなら「礼金も仲介手数料も免除してくれないと契約しないよ!」というわがままなお客さんを断ったとしても、繁忙期であれば他のお客さんからの問い合わせで契約してもらえる可能性が高いから。他からの問い合わせで「礼金も仲介手数料も払うよ!」という人がいれば、その人に契約してもらった方が不動産会社としてはお得ですからね。

残念ながら引っ越しシーズンに部屋を借りるというのは、借りる側が全面的に弱いのです。

ただ、繁忙期であってもそこまでものすごい人気物件ではない場合や、安く借りられるならそこにするけど他にも候補があるから断られてもいい、なんて場合には、不動産会社がお客さんに請求できる最低ラインの「仲介手数料0.5ヶ月分・礼金無し」を狙ってみるのもありです。


逆に引っ越しシーズンを過ぎてからのお部屋探しの場合は、言い方は悪いですが「残り物」の物件が大半を占めますし、夏の暑い時期にわざわざ引っ越したがる人は少ない=不動産会社もなかなか契約数が伸びないため、多少利益は少なくとも契約件数を欲しています。そんな中であれば「契約してくれるなら仲介手数料も安くしますし、なんなら家賃の値引き交渉も頑張ります!」という不動産会社も存在するので、ダメもとで強気の交渉をしてみてもいいかもしれません。


その代わり、あまりしつこく交渉しすぎると「このお客さんは入居後もクレームとか多そうただから契約させないようにしよう」と思われる可能性もあるので、向こうの様子を見ながらジャブを打つようにしてください。

不動産業界の裏話・暴露話みたいなnoteになってしまいましたが、もちろん全ての不動産会社が屁理屈を言って儲けのことしか考えていないなんてことはありません。商売とはいえみんな人間ですから、とっても親身になって初期費用を下げようと頑張ってくれる営業さんもたくさんいます。

予備知識を持った上で交渉をするのとしないのとでは、初期費用が数万円単位で変わってきてしまいます。それだけあれば引っ越し先で新しい家具を買ったり、家電を買い替えたり、いろんな使い方ができますよね。


「よくわからないけどまぁいいか」となってはもったいないので、少しだけでもいいのでこのnoteを頭の片隅に置いていただけると書いた甲斐があるなと思います。


なおこのnoteに書いた内容は、あくまで不動産会社で 3 年半ほど営業をした1人の宅建士から見た景色です。


「私が言うことは絶対!!」ではないので、あくまでも参考程度にご活用ください。

みなさまが素敵な新生活を送られますようお祈りしております。


そういえば、これは私事ですが、先日宅地建物取引士免許の更新をむかえました。


最初はなんとなく勉強を始めた宅建業法ですが、資格取得から早くも5年が経過しているということに驚いています。


これまでは会社での実務でしか使用してこなかった資格ですが、こうして自分の考えを発信する場を得た今、不動産についてあまりよくわからない・不安を抱えているという人の役に立つnoteを作るのに活用できたらいいなと思います。

このnoteでは、WEBライターとして活動し始めて1年を迎えようとしている私の近況や、不動産業界7年・宅地建物取引士歴5年という視点から、不動産やライフスタイルについての情報発信をしています。

また今後は化粧品検定1級という資格を活かして、もっときれいになりたい・健康的になりたい・若々しくいたいと思っている人に役立つ知識もお話ししていきたいと思っています。


ぜひ末永くお付き合いください。

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しょこらるでした。

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