昭和にタイムスリップ!京都のレトロ喫茶店・マイベスト10
京都は”街全体が喫茶店”のようだといわれていて、雰囲気のよい喫茶店が多くあります。もちろん、新しくておしゃれなお店もありますが、戦火を逃れたため、昭和初期の喫茶店がそのまま残っているところもあります。
そんな京都の喫茶店へ、喫茶店を巡るだけの旅などもしています。今回は、昭和の香りただようレトロ喫茶店のマイベスト10をご紹介します。
ちなみに、京都市内に現存する喫茶店としては古い順に、
○昭和5年創業の「進々堂 京大北門前」
○昭和7年創業の「スマート珈琲店」
○昭和9年創業の「築地」「フワンソア喫茶室」
○昭和10年創業の「珈琲の店 雲仙」
ということだそうです。
1位 フランソア喫茶室
1934年(昭和9年)創業。
京都市内に現存する喫茶店として3番目に古い店です。
四条河原町の細い路地をちょっと入ったところにあります。イタリアの豪華客船の内装をイメージしているのだそうです。クラシカルな内装と赤いビロードの椅子、ステンドグラス、そしてクラシック音楽とコーヒー。
私は夕方訪れて、軽い夕食にピザトーストをいただいたのですが、夕暮れ時は、なかなかムーディでした。まさに”喫茶室”という風格なので、私の京都レトロ喫茶店の第1位にさせていただきました。
2位 喫茶ソワレ
京都・四条に1948年(昭和23年)創業。
こちらもとても素敵でした。
「色彩論的に青は女性を美しくみせる」から、青い照明なのだそうです。ほぼ創業時のままの空間に、東郷青児の美人画。開店当時からBGMを流さないことを特徴にしているのだそうです。店名の「ソワレ」とは、フランス語で「夜会」。
名物はカラフルな「ゼリーポンチ」ですが、ソーダだったり、ミルクだったり、さらにはコーヒーゼリーなど、バリエーションもいろいろありました。
3位 スマート珈琲店
1932年(昭和7年)に「スマートランチ」を創業。戦後「スマート珈琲店」に社名変更しています。京都市内に現存する喫茶店として2番目に古い店です。
京都三条の寺町通アーケードの中にあり、スイスの山小屋をイメージした店内。「スマート」というネーミングには、「気の利いたサービスができる店を目指したい」という意味を込めています。
自家焙煎オリジナル珈琲豆を使い、朝昼晩同じメニューを同じ味で食べれるのが、こだわりだそうです。フレンチトーストやホットケーキが人気ですが、ランチタイムには、ランチメニューもあります。サンドイッチはテイクアウトもできます。
4位 珈琲の店 雲仙
1935年(昭和10年)創業。
京都市内に現存する喫茶店として5番目に古い店です。
3代目の高木利典氏が仕事のかたわら店に立っているので、営業は日曜日のみ。店内は昔懐かしい低めのテーブルに皮張りのソファ。1番奥はその昔、防空壕に使われていた場所だそうです
主演が高倉健さんのときの映画「南極物語」のロケに使われ、渡瀬恒彦さんや夏目雅子さんの写真が飾ってありました。「Thank you for your kindness」と刻印された厚焼きのホットケーキが人気ですが、とってもおいしかったです。
5位 進々堂 京大北門前
1930年(昭和5年)創業。
京都市内に現存する喫茶店としては、一番古いお店です。
今や京都を代表するベーカリー「進々堂」ですが、その歴史は、1913年(大正2年)に、続木 斉・ハナ夫妻が左京区旧三高東側に「進々堂」を開業したことにはじまります。その後、斉氏は1924年(大正13年)に日本人最初のパン留学生としてヨーロッパを巡りり、帰国後フランスパンを製造、販売。
1930年(昭和5年)京都大学農学部の横に、京都で初めての本格的フランス風カフェを建築し、「ノートル・パン・コティディアン」と命名しました。
この店は、その後斉氏の長男・猟夫氏(株式会社進々堂初代社長)が受け継ぎ、現在は別法人「京大北門前カフェ進々堂」として、猟夫氏の孫である川口聡氏夫妻が継承して経営しています。
お店は、れんが造りのレトロな外観で、斉氏がパリの学生街、カルチエ・ラタンで目にしたカフェの雰囲気を、細部にまで取り入れたそうです。中庭にも大きなテーブルがあり、学生たちが集っているようです。
あらかじめコーヒーにフレッシュミルクを入れて提供するのは、創業時からのスタイル。バターロールを合わせる「カレーパンセット」も人気の品。
6位 築地
1934年(昭和9年)創業。
京都市内に現存する喫茶店として4番目に古い店です。
京都の喫茶店文化の黎明期は1930年代。「築地」は、「カフェ進々堂」「スマート珈琲店」「フランソア喫茶室」とともに、京都・四条エリアの4大クラシカル喫茶として、今も生き続けています。
三代目である現店主の祖父(初代)が演劇好きで、日本初の新劇の常設劇場「築地小劇場」から名前をいただいたそうです。存在感のある赤い布張りの椅子は、初代がデザイン。
コーヒーはヨーロッパ式。ホイップクリームをのせた「ウインナー珈琲」は、この店発祥といわれています。
7位 喫茶 静香
1937年(昭和12年)創業。先斗町の芸妓さんがはじめた喫茶店で、翌年、今の店主の曽祖父(宮本 良一氏)が店を譲り受けたとのことです。店名の「静香」はその芸妓さんのお名前です。
車両のような椅子は、なかなかのレトロ感で、色々な種類のコーヒーミルなどが飾られています。裏庭に喫煙所もあります。幅広い世代の常連さんがいらっしゃるそうです。ホットケーキモーニングをいただきましたが、ホットケーキは昔なつかしい、ちょっと薄めのタイプ。
人気のフルーツサンドは、カステラのような特注のパンにカスタードと生クリーム。数種類のフルーツ。作るのに時間がかかるので、予約した方が確実です。テイクアウトもできます。寺町三条に新店「パンとコーヒーのSHIZUKA」がオープンし、そちらでも購入することができます。
8位 珈琲ゴゴ
1963年(昭和38年)創業。出町柳駅から徒歩2分の、今出川通りに面した場所にあります。
創業当初から変わらない店内は、「スマートコーヒー」や「喫茶ソワレ」と
同じ設計士さんだとか。現在は名物マスターの義娘の由美さんが、2代目として店を仕切っていらっしゃいます。
私はモーニングセットをいただいたのですが、値段はなんと500円!厚めのトーストとバター、そしてバナナがセットです。モーニングは朝11時まで。
カウンターには常連さん、テーブル席には学生さん、ときどき旅行者というかんじでしょうか。「撮影は声をかけてから」との貼り紙があるのでちょっと遠慮しました。
9位 六曜社珈琲店 一階店/地下店
京都のレトロ喫茶店を語るなら、ここははずせないでしょう。
創業は1950年(昭和25年)。今は三代目の奥野薫平さんが、父・奥野修さんとともに店舗を分担しながら店を守っています。この2店は、メニューも営業時間もコーヒー豆の内容も異なります。
河原町三条の交差点を少し下がった東側にあり、 地下の店舗から開業し、その後、1968年に地上にも店舗を増やしています。1986年より、京都ではいち早く自家焙煎珈琲専門スタイルが始まり、現在は珈琲豆の販売もしています。
息子の薫平さんが営む「珈琲店六曜社」一階店では、8:30からモーニングをやっています。豪華客船をイメージして作られたという店内は、カウンター席がなく、すべてソファ席となっています。
父の修さんの地下店「Coffee & Bar」の店内は、テーブル席が3卓とカウンターは14席。地下に降りる階段は秘密基地への入口のようで、クローズドな空間にさらにドキドキします。名物は、自家製ドーナツ。外はカリっ、中はふわり。もちろん珈琲とよく合います。
10位 イノダコーヒ
1940年(昭和15年)創業。創業者猪田七郎氏が各国産珈琲卸売を開始したのが始まりで、コーヒーショップの開業は1947年(昭和22年)。
京都市内に6店舗、京都駅や地下街にも店舗があり、東京大丸や横浜高島屋にも出店しています。多くの方がこちらで修業されたりしていて、おそらく京都で一番有名な珈琲屋さんではないでしょうか。
イノダコーヒの本店は、町家造りの外観で、重厚感のある照明やチェアなどのインテリアは、レトロは洋風のサロンのようです。本店の横に立つのは、創業時の店舗を復元した旧館とメモリアル館。スタッフさんは、ちょうネクタイをつけて正装されています。
朝限定のメニュー「京の朝食」は、「京の朝はイノダから」と言われるほどの人気です。
番外編:市川屋珈琲
こちらのお店の創業は新しいのですが、「イノダイズム」を継承しているということと、かなりの人気店なので、番外編として選びました。
京都清水と三十三間堂の間にある珈琲専門店。店主の祖父が陶芸工房としていた築200年の町屋を改装し、2015年開店。店内には2台のロースターを構え、珈琲豆の通販もやっています。
店主の市川陽介氏はイノダコーヒで18年修業されたのち独立。自家焙煎珈琲は清水焼の器で提供し、切り方にまでこだわった季節のフルーツサンドも人気です。
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