フランス星付きレストラン食べ歩きの記録(アルザス編)
1996年から2003年あたりに、フランスに年に2、3度旅行していた時代の記録をまとめています。アルザスは、友達がお菓子のスタージュをしていたので、なんどか遊びにいきました。お菓子的にも、お料理的にも、大好きな地方です。
アルザス
●Buerehieselビュールイーゼル☆☆☆
フランス地方菓子ツアー1回目に訪問。ストラスブールの3つ星レストランです。蔦のからまる一軒家で、軽井沢のハイソなイメージ。ベージュの壁に黒い木組み、軒先にドイツ風のあひるの看板が下がっています。☆☆☆初体験!と、はしゃぎながらおめかしして出かけました。最初はとってもおいしくて、特にアミューズ・ブッシュなんて、まろやかで上品なお味。さすが3つ星なんて思いながらいただいていました。でも途中でお腹が一杯になり、それから後はほとんどワインで流し込む状態。もちろんデザートまでしっかり食べたましたけどね。(1996/8/25)
*当時は3つ星だったのですが、現在は1つ星になっています。
<この日のメニュー>850FFのコース
○小さな牡蠣のクリームスープ
○トーストしたフランスパンの上に鴨のフォアグラのグリル、ロケットとアーティチョークのサラダ
○ひめじの蒸し煮、トマト、オリーブ風味
○かえるのポワレ(フライパンで焼く)、セルフィーユ風味、茹でたラビオリ、クリームソース和え
○平目のポワレ、ジロールのソテー、バターソース
○鴨のロティ(オーブンで焼く)、生姜とヘーゼルナッツとパセリのソース、人参、さやいんげん添え
○桃のフォンダン、桃のポワレ、くまつづらのアイス
<ワイン>
白 Tokay Pinot Gris, Reserve (Vin d'Alsace, Preiss-Zimmer) 1994
赤 Chorey-Les-Beaune, Tollot-Beaut & Fils 1990
●Auberge de l'Illオーベルジュ・ド・リル☆☆☆
お菓子のスタージュをやっている友達を訪ね、アルザスに1週間ステイ。その間に星つきレストランにも何軒か行きました。こちらはそのうちの一つ。コルマールからタクシーで訪れました。訪れた時は3つ星だったのですが、現在は2つ星になったようです。(2001/5/20)
まずテラスで食前酒をどうぞということで、川沿いのテーブルで暮れてゆく夕日をみながら、カクテルをいただく。こんなことだったら、もっと早く来ればよかったと後悔。電車の時間(23:42)もあるので、そうそうのんびりしてもいられない。といいつつ2人ともしっかり780FFのコースを頼んでしまう。
○フォアグラのモザイク(テリーヌ)、くるみオイルとワインのジュレ添え
○舌平目のファルシ、ホワイトアスパラ添え
○オマールのクリームソース、グリーンピース添え
○鳩のトリュフソース
○チーズ
○シャーベット
○プチフール
○いちごのデザート
ワインは200FFのリースリング
Riesling Schoenenbourg Grand Cru、Becker 1996
●Au Crocodileオ・クロコディル☆☆☆
ストラスブールのど真ん中にある3つ星レストラン。場所柄か、お客さんにビジネスマンも多い。入口の天井からワニがぶら下がっていて、地下のトイレの前はジャングル状態。ここは、前菜、魚、肉料理、デザートにまで低カロリーメニューがあり、かなり都会的。オーダーしたのは340FFのランチコース。(2001/5/22)
<突き出し>
◎私
<前菜>
ミント風味の仔羊のブリック(春巻きのようなもの)
<メイン>
この地方のものだからとすすめられたSandre(サンドル、ルシオパーチともいう。スズキ目パーチ科の淡水魚)のポワレ、モリーユ茸とグリーンアスパラ添え、ヴェルモットのソース
<デザート>
ルバーブのグラタン、いちご添え
◎友達
<前菜>
グリーンアスパラのスープ
<メイン>
雛鳥のポ・ト・フ、サフラン風味(低カロリー)
<デザート>
チョコレートケーキ
ワインは1997年のGewurztraminer(Josmeyer)のハーフ
●Auberge du Cheval Blancオーベルジュ・デュ・シュバル・ブラン☆☆
FFCCのツアーで訪問。Lembachというストラスブールの北57kmにある村にあるアルザス伝統の名シェフFernand Mischler氏の店でディナー。かつて郵便の宿場だったという典型的なアルザス建築は、18世紀のものだそうで、古い木の梁が重厚感をかもし出しています。宿泊用の部屋は7室。料理は伝統に地域性と現代のエスプリをかけ合わせたもの。特に塊で調理される仔羊にはフランス料理のパワーを感じました。(2002/6/11)
○1皿目
酸味のあるアンチョビーのムース、大きなケッパー
スティック野菜、アンチョビソース
サラミ、ドライトマトの楊枝刺し
○2皿目
セロリのすりおろしを台に、エクルビスをのせたもの、ココナツミルクのソース、パータフィロにナッツをまぶして揚げたもの、
○3皿目(カエルづくし)
プロヴァンス風、
ニンニクのフラン
フリット、ジロール茸添え
クリーム煮、パスタ入り
○Escalope de foie d’oie aux cerises épicées
ガチョウのフォアグラのソテー、スパイスの効いた甘いソース、ブラックチェリーのコンポート添え
○Duo de homard en salade et cappuccino
オマールの爪、シゾミ(玉ねぎの芽)のサラダ、ビスクオマールのカプチーノ仕立て、上に生クリーム
○Filet de rouget sur artichaut poivrade en barigoule
ルージェ(ひめじ)のフィレ、シブレットと米酢の酸味のきいたソース、トマト、アーモンド、アーティチョーク添え
○アルペロージュ(森にはえている白い花)の自家製蒸留酒のシャーベット
○Selle et carré d’agneau Allaiton d’Aveyron, légumes de saison
仔羊の鞍下肉と背肉の香草グリル、インゲンの束、トマトとナスの重ね焼き添え
○Munster à la bière et au cumin
マンステール、ビールとクミンの泡立てたソース、コッペパン型のプレッツェル
○Douceur des îles e sa gelée au Malibu
グラスに入ったパッションフルーツとマリブのゼリー
○Farandole aux chocolats Ebène au café et Manjari
チョコレートのアイス、ムース、ケーキ
*ファランドールとは手をつないで長い列をつくって踊るプロヴァンス地方の民族舞踊
ワイン
Champagne Fourny Brut Réserve cuvée Cheval Blanc
Gewurztraminer Engelberg Pfister Dahlenheim 2000
Ch. De Rochemorin Pessac Léognan blanc 1998
Châteauneuf du Pape Les Sinards Perrin 1999
●L‘Arnsbourgラーンスブール☆☆☆
ストラスブールの北北西64kmのバーレンタールBaerenthalのウンテルミュルタルUntermuhlthalという村にある、2002年に3つ星を獲得したレストランでランチをいただきました。オーナーシェフはジャン・ジョルジュ・クラインJean-Georges Klein。ヴォージュ山塊の北側に位置し、周りはずっと緑。外見はオーソドックスな邸宅風だが、ロビーはアジアン、レストランは一面のガラス張り。窓の外はゴルフ場のような芝と森。小川が流れています。インテリアはモダンで、テーブルの上には1輪の胡蝶蘭と四角いガラスの皿(これはパン皿だった)。そして紫色に輝くメニュー。
~Menu Découverte発見のコース
○Petits Savoureux Apéritifs
Champagne Brut Réserve Billecart Salmon
トマトのタルトフランベ
ピスタチオの甘辛炒り
コーンに入ったパルミジャーノチーズ
○スプーンにのった四角いヨーグルトにざらめ糖をかけてカラメリゼ
○ニンニクのムース、エスカルゴ入り
アンチョビのスカベッシュ
生カキに酢漬けの生姜、しそ、レモン風味の角切りのゼリー
○乾燥したグリンピースをまず口に入れ、あとからグリンピースとミントのスープを飲む
○スプーンにのったうずらのポーチドエッグをカラメリゼ、生姜オイル、ナツメグ風味
○Caviar 《Osciètre》 a la crème d’Amande Amère
1996 Riesling Cuvée 《M》 F.E.Trimbach
たっぷりのキャビアの上にアーモンドの苦いクリーム、フレッシュアーモンドスライス
○Rouget et son Jus, Purée au Gout de Bouillabaisse
1996 Riesling Cuvée 《M》 F.E.Trimbach
ひめじのフィレ、ひめじのフォンと肝、セルフィーユのソース、ジャガイモをくり抜いてアイオリを詰めたもの
○Grillade de Foie Gras de Canard, Rhubarbe à la Plancha, Jus aux Epices
1996 Riesling Cuvée 《M》 F.E.Trimbach
鴨のフォアグラのグリル、ルバーブのコンフィのパレンシャ(バスク地方の鉄板焼きのこと)、スパイスのきいたレモン汁
○Févettes et Supions, Chips de Serrano
空豆とパレンシャのイカ、フォンドヴォー風味、上にスペインの生ハムのチップス
○Poitrine de Pigeon relevé au Gingembre, Ecrasée de Pomme Charlotte et Picholine
1999 Gigondas Cuvée Florence Domaine Goubert
鳩の胸肉、生姜の香り、ニースのオリーブとジャガイモのピュレ
○Oeuf au Plat et Truffe en Carbonara
鳩のジュレをアガー粉で固めたものでトリュフ、卵、ベーコンをはさんだもの
○Invitation à la Découverte(驚きのデザートの盛り合わせ)
イチゴのゼリー、パラの花のチップス、フロマージュブラン添え
ウイスキーのトリュフ、キャラメル、パート・ド・フリュイ
薄いゼリーで巻いたメロンの串刺し、ミント
スプーンにのったイチゴとカンパリのゼリー、山椒、エストラゴン風味
串刺しのトマトのゼリー、ローズウォーターの香りのヨーグルト
パータフィロのようなスプレンジェール、コーヒー豆
バナナのマフィン
○Petites Gâteries de Fin de Repas(食後の小菓子)
旗のように楊枝につけた海苔の飴
フォレノワール(サクランボ入りのガナッシュをチョコレートで巻いて、上にマカロン)
ホワイトチョコレートのパン
カシューナッツの干菓子状のもの
赤ワインをカラメリゼしたゼリー
アニスのトリュフ
生姜のトリュフ
さすがアルザスの「エル・ブジ」(といってもエル・ブジには行ったことがないが)、皿数の多さとユニークさには脱帽。インテリアもモダンだし、窓の外の景色も最高だし、なにより、サービスがてきぱきしていて、すばらしい。なぜか女性が多かったが、もしかしてアルザスの女性は働き者なのかも。初めのタルトフランベとフォアグラでちょっぴりアルザスを感じたが、あとフランス・スペイン味紀行とでもいうべきもの。たっぷりのキャビアにアーモンドを合わせたり、生姜や酢を効かせたり、ゼリーを使ったりと驚きの連続。ここの鳩が最高だったという声も。デザートはもう、クイズのよう。
●Le Cerfル・セルフ☆☆
ストラスブールの西21kmのマーレンハイムMarlenheimにあるテロア・モダンな2つ星レストランでランチをいただきました。「Le Cerf」とは雌鹿の意。シェフは、郷土色をモダンに表現することで定評のある、若手オーナーシェフ、ミシェル・ユセールMichel Husser氏。1986年に2つ星を獲得。
ここはアルザスワイン街道沿いのブドウ畑に囲まれた小さな村。門をくぐると花いっぱいの庭が広がり、それを取り囲むように3方にアルザス建築の建物。ユセール家は昔の郵便駅を1930年にプチ・ホテルに改装したそうです。テロア・モダンとは、土地の食材や伝統料理を尊重しつつ、シェフなりのアレンジを加えたもの。だからプレスコフやシュークルートあり、フォアグラ、豚肉、マンステールありのメニュー。ワインもすべてアルザスのもの(だから全部白)。それをライスペーバーで包んだり、ラビオリにしてみたり。フォアグラの燻製は初めての味だったが、なかなかよかったです。アルザスをしっかり感じつつ、けっして重過ぎない料理に大満足。私達1人1人にサインをし、写真をとってくださった温厚なシェフに感謝。(2003/6/13)
○Amuse-bouche
鹿の頭の絵がついた扇型のガラスのパン皿がテーブル上にあり、それに組み合わさる形で、鹿の胴体の絵がついたお皿で運ばれる。
ムール貝とセロリのサラダ
グラスに入ったザリガニのゼリー
レンズ豆のプレスコフ(アルザス名物ゼリー寄せ)、山椒添え、
パンはジャガイモとオリーブ油のパン
○Presskopf de tête de veau poêlé en croustille, sauce gribiche
プレスコフ(ゼラチン状ソーセージ)をライスペーバーで包んで焼いたもの、花、うずらの卵添え、グリビッシュソース(エシャロット、ケッパーの入った酸味のあるマヨネーズ)
○Brochette de filet d’anguille grillée sur une fricassée d’escargots aux lentilles vertes, jus de persil au riesling
ウナギのグリルをフヌイユ(フェンネル)で串刺し、ブロシェ(川かます)のクネル、エスカルゴとレンズ豆の軽い煮込み、シュークルーの煮汁、パセリ
○Raviole de foie de canard fumé en pot-au-feu aux herves potagères
燻製したフォアグラのラビオリ(大きい!)のポトフ仕立て、庭のハーブ(イタリアンパセリ)
○Cochon de lait d’Alsace rôti, poché, caramélisé, survi sur une choucroute à l’ancienne
アルザス産乳飲み豚のロースト、茹で、カラメリゼ、ホースラディッシュとマスタードのソース、昔ながらのシュークルート添え
○Munster et sa pomme de terre tiède farcie, salade du moment
マンステール、ジャガイモ添え、シリアル、パルメザンチーズ、季節のサラダ
○Aumônière aux griottines, coulis de framboise et glace au fromage blanc
グリオティーヌのオーモニエール(茶巾包み)、フランボワーズのクーリーとフロマージュブランのアイス
○Mignardises et chocolats
<ワイン>
アペリティフはMuscat d’Alsaceミュスカ
Sylvaner Schmitt Grand A 2000, Bergbieten
シルヴァネール(ドライ、アーモンドの香り)
Pinot Blanc Pfister 2001, Dahlenheim
ピノ・ブラン(フルーティ)
Tokay Mochel 2001, Traenheim
トカイ・ピノ・グリ(農家産、フォアグラにはピノ・グリ)
Riesling Fritsch Grand Cru Steinklotz 2001, Marlenheim
リースリング(さわやか)
Gewurztraminer Bechtold Grand Cru 1999, Dahlenheim
ゲヴェルツトラミネール(フローラル)
●Au Fer Rougeオ・フェール・ルージュ
コルマールの中心部にある歴史的建造物を利用した伝統の名店(1星)でランチをいただきました。シェフはPatrick Fulgraff氏。私達は外のテラス席。レストランを探し探し歩いたので、もう汗ぐしょり。なのに日差しを浴びての食事なんて・・・(2002/6/14)
○Amuse Bouche
ゆでたジャガイモとニシンのバルサミコ和え
○Carré de porcelet rôti et croustillant de peids de porc à la moutarde, us de viande échaloté, légumes de saison
骨つき、皮つき仔豚のロースト、豚足のマスタード和えのパート包み焼き
○Crümbel aux abricots, chantilly parfumée à la gousse de vanille et crème glacée
アプリコットにクランブルをのせて焼いたもの、バニラ風味のホイップクリーム、フロマージュブランのアイスクリーム
○Petits fours et mignardises
プチフールと小菓
<ワイン>
Magnum crèmant Cuvée 100 Ans Wolfberger
何はともあれ、クレマンで乾杯。
2000 Rouge Alsace wieilli en fût de chêne, Domaine Viticole de Colmar
アルザスのピノをやっと口にする。
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