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色あせない世界

年末に、佐藤さとるのコロボックルシリーズを読んだ。1959年刊行の古い作品だ。

図書館の書棚を流していて・・・なにも決めずにピピピと運命的に本に出会いたいときにする行動を、「流す」と定義しています。とにかく流していて、文庫の棚にピカピカの真新しい本が5、6冊並んでいたので、そりゃ目を引きますよね。かぐや姫の光る竹を見つけたおじいさんの気持ちです。

手に取ると、既視感ってやつだ。これはなにかどこかですれ違っているのではなかろうか、という刑事のカン、みたいなやつが働く。
小学校の図書室の匂いが、頭の奥でする。
表紙の絵にも見覚えがある。

そうだ、ずいぶん前、有川ひろの作品を読みあさっていたころ、童話みたいな物語を読んだ。
なんかいわくありだったっけな。絵も同じタッチだ。

パラパラ後ろの方をめくってみると、有川ひろの名前があったので、関連する作品だーとつながった途端、ばばばっと芋づる式に記憶がよみがえる。

佐藤さとるから、有川ひろにバトンタッチされたやつだ。
すごいことだ、一つの作品の世界が別の作家に継承されるだなんて、こりゃあどえらいことだよ、と思ったことを覚えている。

わたしったら本家を読んでなかったのか。いや、幼少のころ読んだのかもしれないが、サーっと通過してしまったのか。うっすらうーっすら、小さな人の話、戦争中の話だっけ?本当にうっすらほのかに。それは、なんとかかげの話だっけ?

ちょっと読んでみるか。(上から目線)
軽い気持ちで1作目を借りて帰った。

意外と一気読み。(またしても失礼)

翌日、図書館に行って、残りを全部借りた。
やめられないとめらない、でも首をいためたらいけないので、自重しながらちょびちょび読みきった。

ステキな世界だった。1959年の日本に、ファンタジーが存在していたのだな。
全然古くさくなくて、逆に新しい。(語彙)
某超大作演劇マンガ、大好きなんですけど、多少時代の流れを感じてしまったり、突然スマホが登場したり、ちょっとかばいきれない矛盾があるんですけど、それはマンガで絵があるからなのかもしれないけれど、
そういう色褪せが一切ない!

今見えている世界だけではない、かもしれない。
違う価値観を持つものがいる、かもしれない。

そういう前提のもと、自分とは違うものに対して、当たり前に気遣いや配慮のある、優しさあふれる人や人?の物語で、読んでいるだけで癒され、豊かな気持ちになりました。

また読みたい。っていうか揃えたい。講談社文庫を。

まず、作者本人によるあとがきが複数あること。
あとがきやまえがきって好きなんですよね~
文庫化されたり、また別の出版社から刊行されたり、新装開店?されたりするたびに書いてくださっていて、一冊につき、3つも4つもあるんですよ。
作品がのびたり、広がるさまをうかがい知ることができて味わい深いです。

そして、もうひとつは、解説が超豪華で。
1巻から順に、梨木果歩、有川ひろ、重松清、中島京子、佐藤多佳子、上橋菜穂子。うひょー、である。
わたし、文庫本の解説コーナーが大・大・大好きなので、巻末が楽しみで楽しみで~ホクホクの焼き芋くらいほくほくしました。
さらに好きな作家さんばかり、毎晩有名パティシエのデザートをいただいているような~こんなぜいたくなことってなかなかないよ~とうっとりしました。合掌。





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