「失恋」という飴玉をいつまで転がすの?
「会いたいなぁ。」
深夜2時。わたしがつぶやいた言葉は電話の相手である彼氏に向けられたものだったのだろうか。
iPhoneを枕元に置いたまま、寝返りを打つ。
もう1週間も巣ごもりしている。
映画、読書、勉強、ヨガ、料理…普段なら息抜きといえるそれらが、毎日のルーティーンと化してしまった。
日常に刺激を求めてはいけないと思うと、人間は過去の出来事を掘り返してきてコロコロと転がすようだ。
今日の飴玉は3年前の失恋の味。
たった数ヶ月の付き合いのなかで、わたしの気持ちは100%彼に向けられていた。
はじめて目が合った瞬間から大好きだったから、運命の人なんだと信じ込んでいた。
2人の関係性が終わって、出会う前に戻った後も、運命の相手ならまたどこかで会えるんじゃないかと思う自分がいた。
用事を見つけては彼のテリトリーである渋谷に足を運び、背の高いメガネ男を目で追った。
そんなことしては前に進めないと心に決めて、新しい相手を見つけた今も結局は心のどこかにその人がいる。
何もせずに家にこもるいま、こーんな余分なことを考えてしまう。
もう味わい尽くした飴玉が蘇ってきたら、ぐっと飲み込んで、胃の中で溶けるのを待とう。
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