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【雑感】絶対覚えて!案件アサイン前情報収集の鉄板のやり方!

どうも、外資系うさぎのちょこさんです。

気がつけばもう2023年が始まってしまってますね。
一年の計は元旦にあり、ということで正月早々とても有益なnoteを書いて徳を積むところから今年をスタートすることにしましょう。

年末年始に限らず、それなりにまとまった時間を使えるタイミングってインプットにもアウトプットにもとても良いですからね。
せっかくなのでフォロワッサン各位も何かアウトプットしてみるとよいんじゃないでしょうか。

というわけで、新年早々のアウトプットにおすすめな、土地勘の無い業界/テーマのプロジェクトにアサインされた場合の最低限の情報収集を手早くこなすにはどうするのがよいかってnoteをお届けします。
これは再現性のあるやり方なので、このnoteを見ながら同じような流れで情報収集して自分なりの見解なんかをまとめてみたりすると良いセルフトレーニングになるはずです。



そうそう、これはコンサルだけじゃなくてあらゆる業界の若手も覚えておいて損は無い内容なのでコンサルじゃない各位もぜひこのやり方を身に着けてください。

コンサルの各位、特に若手コンサルの各位はこういうリサーチは息をするように出来るようにならないとダメなので心して読むことをおすすめします。ちょこさんがいつも言ってる型を覚えるってやつです。


さて、本編入る前にいつものコピペです。
この記事も有料設定していますが、全文無料で読むことができます。もしいいねと思っていただけた場合は、ちょこさんの大好物のおいしいチョコレートを一粒調達するための費用としてカンパいただけると大変うれしいです。

では、本編をどうぞ。




◆論点整理も情報収集も"総論⇨各論"と粒度を少しずつ細かくしていくのが基本

ここで一度、普段の行いを振り返ってみましょう。
プロジェクトに限らず自分があまり知らないことについて知りたいときっていつもどんな感じで調べてるか覚えてますか?

ググる?本屋さんに行く?知ってそうな人に聞く?
色々あると思いますけど、まず最初はふわっとした全体的な情報から調べることが多いんじゃないでしょうか。

例えば、どうやら世間ではスプラトゥーン3なるゲームが流行ってるらしいけど一体どんな内容?って思ったら、まずはゲーム全体のストーリーや遊び方、出てくるキャラクターなんかを調べるはずですよね。
いきなりこのブキを使うときの立ち回りは?とか調べないと思いますっていうかそういうのはまだ知らなくて調べようがないと思います。

でもお仕事関連になると、いきなり本屋さんの専門書コーナーに行ってとても細かいテーマの本眺めながら「なんか難しそうだな~」とかやっちゃいがちな方、多いと思うんですよね。
これはあんまりよくないやり方です。

最初のステップとして、まずは粗い粒度の総論的な情報をあたって少しでもいいから土地勘をつけて、そこで身につけた前提知識を持って細かい粒度の各論に降りていくのが鉄則です。

あとは
・最初に調べるべき総論ってどういうところを探しに行けば良いのか
とか、
・ひとつ粒度を上げるとどういう情報になるのか
ってあたりの基準を知っておけば、もしいつか突然新しい領域のプロジェクトにアサインされることになったときも、じゃあどんな情報をどんな順番で調べていくかって計画がすぐに立てられますからね。


これは本当に有益な情報なので絶対覚えてください。


では、具体的にどんな感じで進めていくのかってのをコンビニ業界を例にしてお見せしていきましょう。

細かい話に入る前にいつもの感じのサマリスライド貼っておくので読んでおいてください。


◆サンプルシナリオ:もし大手コンビニクライアントの案件に初めて入ることになったら…

- Step1:業界地図で市場規模や主要プレイヤーを理解する

まずは業界全体の規模や業界内大手・中堅のシェアなどの数値的な情報を見つつ、クライアントの立ち位置や関連するグループ内企業にどんなところがあるかなどを俯瞰的に理解します。

早速、業界地図のコンビニ業界のページを眺めてみることにしましょう。
こんな感じですね。

「会社四季報」業界地図2023年版より引用

え、業界地図を持ってないですって?
悪いこといわないので即ポチりましょう。
これは毎年の最新版を手元に置いておく習慣をぜひ身につけてください。
毎年1,500円をかける価値は絶対あります。

※2023年8月23日に業界地図2024年版が発売になったのでリンクを差し替えました。


さて、皆様のお手元に業界地図がお揃いになったところで、このページから得られる情報をざっと整理してみましょう。


・業界全体の市場規模は約10.8兆円かつ主要3社の売上だけでほぼ10兆円
関連産業のスーパーマーケットのページを見ると市場規模13.3兆円、ついでにドラッグストア8.5兆円、外食18兆円ということもセットで覚えておくと知識が横に広がるのでなおよしですね。

・国内店舗数は約5万軒でここ5年はほぼ増減なし
もう出店は飽和してるのかな、と思いながら見ておきましょう。
つまり、フェルミ推定でよくあるような店舗数を増やすアプローチは使えず、店舗あたりの売上げ向上策や新サービスの導入を考えるしかないなって仮説を得る事ができます。

・各社とも銀行・データ・広告などの領域でグループ内外の企業との連携を深めている
セブンはなんだかグループ内で自力で新サービスを作り出していこうとしているように見えるし規模的に実際なんとかなってそう(推測)、ファミマはサイバーエージェントと組んでる、ローソンはKDDIと資本提携してるのにNTTドコモとも関連がある、といったところが見えてきますね。
ていうかNTTドコモ、ファミマともローソンとも関係を持ってるってなかなかあざといなって思いますね。
ついでにこれは有名な話ですけど、セブンは三井系、ファミマは伊藤忠系、ローソンは三菱系、です。
住友はどこにいったんでしょうね。


と、ここまでで業界全体のサイズや主要プレイヤーの顔ぶれ、関連してそうな企業の情報なんかをざっと理解することができましたね。

でも、この情報だけだとわからないことがあります。
例えば、
・そもそもコンビニってどういうバリューチェーンになってるの?
とか
・どういう経緯でこの大手3社に落ち着いたの
とかですね。
というわけで次のステップです。


- Step2:業界解説本や業界団体のサイトなどでビジネスの構造や共通的な課題を理解する

ここでは情報の粒度を少し細かくします。
ちょうどさっきの業界地図のコンビニのページでオススメ情報源が挙げられていたのであたってみることにしましょう。
・日本フランチャイズチェーン協会の公式サイト
・「コンビニチェーン進化史」という書籍


これはフランチャイズチェーンの協会ということで、必ずしもコンビニに特化したものではないですが、コンビニ統計調査ってページがあり、協会加盟各チェーンの毎月の店舗数・売上・来客数、商品構成費などの情報が惜しげもなく公開されていました。

コンビニ以外にも、大抵の業界にはこの手の業界横断組織があり業界用語や業界の歴史などの基礎知識が解説されていたり、主要各社の動向が解説されていたりするので、「業界横断団体のサイト見ると捗る」って知ってるだけで初期リサーチがだいぶ楽になるんですよね。


これは本当にものすごく有益な情報です。

こういうの、コロナ前の若手はオフィスで上司先輩から「まずこうやって調べるんだよ」ってちゃんと教えて貰えてたんですけど、今ってなかなかそういう機会ってないですからね。
もちろん、ちょこさんはちょこさん案件に入ってくれた若手各位にはこういった情報収集のコツとかはちゃんレクチャーしてます。

このnoteを読んでいる若手各位は、ぜひちょこさん的なリサーチの仕方をここで覚えて今日から活用してみてください。
こういう地道なインプットを常にやっているかどうかで2年後3年後のパフォーマンスが明らかに変わってくるので、本当に活用してくださいね。
いいですか、インプットは必ずアウトプットとセット、これも鉄則です。


こちらの本もせっかく業界地図でオススメされていたので、ちょこさんもポチってみました。
コンサルたるもの、気になった本は即買う、そして積む前に読む、を常に実践していきたいものですね…。

内容としては、
・米国で誕生したコンビニという業態がどうやって日本に入ってきて社会に根づいたのか
・なぜフランチャイズなのか
・大手を追いかけた振興コンビニ(ミニストップやサークルK)の戦略
・流通やインターネットサービスの確立
・最新技術の導入や24時間営業の弊害などの今後の業界横断の課題
などの主要観点がコンパクトに纏められており、少し解像度を上げた業界研究の対象本としてはとても良い内容だったと思います。

今まで知らなかったことを知ることができたので普通に楽しかったです。
満足しました。

気になる各位、サクッと読める内容なので試しに読んでみてください。
業界地図眺めてからこの本を読むことで、実際にどんな情報をどんな粒度で頭に叩き込めるのか体感できると思います。


ちなみにこういう解説本は最初から一字一句読み込むするのではなく、まずは見出しや太字箇所のレベルで、だいたいどんなことが書かれているかを15分くらいで斜め読みして、そこから気になったところに戻って熟読するというスタイルがオススメです。
リサーチ全体だけでなく、本1冊の中でも全体⇨詳細、の粒度の段階的な詳細化が有効です。


ついでに、同じくらいの粒度の情報をインプットするときにオススメなのが、就活コーナーなどにある業界別の動向解説本です。
こういう本ですね。

基本的なバリューチェーンや利益構造、時代ごとのビジネスモデルの変遷、なんかが難しすぎないレベルで纏められているので、業界地図とセットでこの手のシリーズを読む、というのも習慣にしましょう。


あと更に興味があれば、マイナーですけど各業界や職種ごとに業界紙的なものがあったりするので、そういう本の最新号とか眺めてみるのも楽しいです。


ここまでやれば、"業界"という単位での初期インプットは完了です。
まぁ、付け焼き刃といえば付け焼き刃なんですけど、業界の歴史や普遍的な課題について簡単に語れて、そういった課題に対する打ち手の仮説なんかをある程度イメージできるようになるってのが初期インプットの目標です。

我々コンサルやるべきことは、クライアントの業界の専門家になることではなくて、クライアントの業界全体やクライアント個社のことを理解して何かしらの施策を立案する/施策の実行を支援するですからね。
そのための最低限のリテラシーとしての知識を身につけるイメージでいきましょう。


そうそう、若手はともかく、中堅でもここまでちゃんとやっているコンサル、実はあんまり多くはないんじゃないかなってのが体感です。
こういうのを当たり前に出来るようになると本当に後々捗るので、ご飯の前に手を洗うがごとく、アサイン前にはちゃんと下調べしないと気持ち悪いって感じるくらいまで当たり前のこととして体で覚えてください。


- Step3:クライアントとその競合の統合報告書やアニュアルレポートを読み込んで個社別の戦略や展望の違いを理解する

ここからようやく、個社別の差異や差別化戦略などにフォーカスを当てていきます。

の前に、統合報告書やアニュアルレポートって何ぞ?って各位がいると思うので軽く解説しておきます。

まず、企業はIR情報(Investor Relations情報)として、主に投資家に向けて自社の経営状況や財務状況、その他重要なニュースなどを公開しています。

そしてこの企業が公開する情報というと有価証券報告書ってイメージがあると思います。
有価証券報告書は、企業の財務状況や事業の概要、リスクなどが書かれていて、特に財務状況(財務諸表)においては公認会計士(監査法人)による監査が必須だったりします。
どちらかというと投資家向けの自社の過去実績報告という感じですね。

一方で、統合報告書はというと、上記の財務情報に加え、自社の戦略、ブランド方針、社会貢献活動なんかの非財務的な情報にもフォーカスが当てられていたり、最近だとESG関係の取り組みも重視されていたりします。
これはどちらかというと、社会全体向けの自社の将来展望の発表という感じだと思います。
専門家向けの報告書ではないので、デザインもポップだったり一般の方でもイメージしやすいような構成、言葉づかいで書かれていたりするのも特徴ですね。

そしてアニュアルレポート、これは読んで時のごとくアニュアルなレポート、つまり年度単位の活動報告のようなものです。
統合報告書と似てますけど、統合報告書よりはもうちょっと短い期間を対象として書かれています。

なので、長くなってしまいましたけど、統合報告書やアニュアルレポートを読むことによって、その企業の財務状況だけでなく、どんなビジョンや経営戦略をもって起業活動がなされているのか、今後重点的に取り組む領域は何なのか、っていう話を直接的にインプットすることができます。


では早速、具体的に統合報告書とはどんな感じなのか眺めてみることにしましょう。
細かく解説するとnote1,2本できてしまうのでダイジェストです。

サンプルはこちらです。
これはなんとタダで公開されている資料なので、まずこの経営レポートをダウンロードしてきてください。


ページの下の方にリンクがあります。

ダウンロードしましたね?
では中身を眺めていきましょう。

どうでしょうか、統合報告書ってお硬そうな名前の割にはなんだか優しそうな雰囲気のデザインだと思いませんか?

こんな感じで、広く社会に対して「ウチの会社ってこんなことやってるんですよ!すごいでしょ!」って感じの情報が詰まってる報告書です。

特に、中期経営計画書のサマリが載ってるのが有り難いポイントですね。
この部分を読めば、中期的(5年くらい)なスパンでその企業が達成しようとしていること、それに向けてのアプローチ、既にどれくらい実現できているのか、などクイックにわかります。

ちょこさんもよく目標設定やアプローチ設計にはその前提となるWhyやWhatの理解がものすごく大事って言ってるんですけど、そのWhyやWhatがまさにコレですからね。

そして、このあたりのインプットを踏まえて個別のプロジェクトのテーマやゴールを見つめ直すと、クライアント企業の中期的なスパンの戦略のどの部分を支援するものなのかってイメージできるようになりますよね。

逆に、ちょっと調べればこういう情報にたどり着けるのに、それをせずにプロジェクトに入るのってものすごくやるべきことをやってない感してきませんか?

どうですか、今アサインされているプロジェクトのクライアント情報、調べてみたくなってきたんじゃないですか?


さらに、今回のnoteでは細かいところは割愛しますけど、競合他社の統合報告書を読むことも大事なので、リンクだけ貼って一言解説くらいにしておきます。
どういう視点で読めばよいか、ここまで読んだ各位にはもうおわかりですよね。
そう、さっき読んだセブンの中期経営計画の考え方や事業戦略とどんな差異があるか、とか、財務状況に特徴的な点はあるか(やたら利益率が高いとか)、といったポイントですね。


まずはローソン。
サクッと。

ローソンの統合報告書は全体的に可愛い感じでありつつも、細かい情報をかなり詰め込んでるなって印象です。

ローソン統合報告書2022より引用(以下同)

このページ(中期経営計画のセクション)なんかとても勉強になりますね。
きっと大手コンサル各社が戦略策定から実行支援までたくさん関与していることでしょう。


そしてファミマ…ですが、ファミマは2020年に上場廃止しているので公開されているのはその時点までのレポートのみだけですね。


ファミリーマート統合レポート2019より引用(以下同)

ファミマは他2社と比べると結構シンプルなものの、要点を絞って特に伝えたいところに注力した情報発信なのかな、と思いました。


- Step4:ここまできたらあとは個別の各論を深掘りすればOK!

これで一通りの下調べはできたと言える状態になったので、プロジェクトのテーマやゴールにそって必要な情報を深掘りしていく段階に以降できます。

食品製造、流通、DX…と色々あると思いますけど、いきなりこのステップに入って専門書を探してしまう場合と比べて、段階を追って情報をインプットしてから専門書を探しにいくのは調査観点の解像度が5段階くらいあがった感じしませんか。

これは再現可能なテクニックの話なのでやらないと本当に損です。
やるだけで結果がついてきます。
やらない理由はないです。
もう今から行動を始めてしまいましょう。


◆実際に同じやり方を真似してみるときのコツ

セルフトレーニング的にやるのもいいんですけど、最初はちゃんとフィードバック受けながらやったほうが断然良いので、一度下調べを試してみたら自分なりに理解したことを箇条書きでもいいのでアウトプットしてみて、アサイン予定案件のマネージャの方や、自分の育成担当上の上司に「情報収集のアプローチや粒度感、かけた時間が適切か」って見てもらうと良いと思います。

かける時間としては、感覚ですけど最初は週末1回使うくらいでちょうど良いんじゃないかなってところです。

業界解説本は読むのにそれなりに時間かかると思いますけど、業界地図や統合報告書はすぐ読めるくらいのボリュームですからね。
あとは理解の定着とフィードバック相談用にアウトプットしてみる時間も少しかかるくらいでしょう、きっと。


もしかしたらこういう調べ物に週末を使うのに抵抗のある各位もいるかもしれないですけども、ちょこさん的にはこれくらいはコンサルなら当たり前にやるべき自己研鑽の一貫と思ってますし、ベテランコンサルの方々も同じ考えの方が多いはずです。

慣れてくると、本当にご飯を食べる前に手を洗う感覚で当たり前のように"まず調べて考える"という行動が何も考えなくてもできるようになるので、騙されたと思ってやってみてください。

そういうお仕事ですからね、コンサルって。


というわけで、ちょこさん流の鉄板な情報収集のやり方解説noteでした!
コンサル系テクニック解説にしては珍しく特定のスキルや経験がなくても今すぐに真似できる再現性の高いやり方です。
とりあえずまずは1回やってみましょう。


◆オススメの1冊

と思いましたけど今回は既に本文中でいっぱい貼ったのでオススメの1冊はお休みにします!
何冊か買っても5,000円でお釣りくる程度の投資なので、業界地図と今自分がアサインされているプロジェクトに関連する業界解説本、ぜひ実際に読んでみることを心の底からオススメします。


ではまた次回!
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