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#11 ALS患者になるまで②

個人医院からもらった紹介状を持って、1人で大学病院に向かった。

診察室には、どっからどう見ても機嫌が悪そうなドクターが座っていた。

「ハズレ引いてしゃった…」

と心の中でつぶやくや否や、

「検査入院してください」

の一言。

打腱器で私の手足を叩きながら。淡々と。

いきなりすぎて何も言えない中で、ドクターは早口で続ける。

「で、いつから入院できます?」

何も説明はないまま入院日調整。

「家族に確認してからでいいですか?」

と告げると、

「あっ、いいですよ。どうせ治らない病気でしょうから」

えっ?

耳を疑う言葉。
パソコンのキーボードを叩く音。
治らない病気って…なんだ?
言葉にならず診察室を後にした。

今思うと、こんなドクターあり得ない。
それに何も言えないまま、待合室で涙がこぼれた。

検査入院日は、この診察の1ヶ月後に決まった。

この検査入院で、今の私につながる人との出会いにつながっていく。

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