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#15 ALS患者になるまで⑥

退院が間近になり、自分の人生の幕引きの事ばかり考えていた。

難病とわかる前まで、私は、アロママッサージとセルフコンディショニングの店を開業しようと準備していた。

難病宣告を受けて、仕事で繋がっていた人たちに一斉メールを送った時、もう顔をみることもないだろうと思いながら送信をクリック。

やりたいことを諦めなきゃいけない。

涙が止まらなかった。

その翌日、一緒にセルフコンディショニングを広めようと声をかけてくれた人から、少し長めのメールが届いた。

お久しぶりです。

大変な日々を過ごされていたんですね。
突然突きつけられた現実をどう受け止めていいか…。
とても悲しい気分になられているのではないでしょうか。

僕自身もあなたのメールを読んでとても考えました。
まだ検査結果が出ていない状況なので何とも言えないのでしょうが、少しでも症状が軽いものであることを願うばかりです。

岩崎会長にお聞きしたのですが、アンプティ(切断)サッカーと言って片足切断の方たちが、松葉杖をつきながらサッカーをする大会がありました。
その大会の横断幕にはこう書いてありました。

「足一本なくなったくらいで大好きなサッカーをあきらめられるか!」

「失ったものを嘆くな、あるものに目を向けろ!」

悲しい時は悲しい。つらい時はつらい。不安な時は不安。
それは人間として当たり前の感情だししっかり感じる時期があります。
そして自分らしさを必ず取り戻す。

あなたのバイタリティなら状況を受け入れ、その中で自分にベストをつくして、今後もより良い人生を歩んでいくことが出来るとみんな確信しています。絶対応援します!

そして決意しました。
あなたのために岩崎さんのペップトーク講演会を開催します。
こんな時こそ岩崎さんのペップトークをあなたにぜひ聞いてほしい。

今はそんな風に思っています。

まずはお体を大切に。


…何度も何度も何度も読み返して、病室で声を押し殺して泣いた。

「私はまだ歩ける。動ける。今、やれることにベストを尽くすこと…今から動けなくなることを悩んで嘆いている時間はない!」

「できることを今やるだけ」

生きることを諦めた私が、この1通のメールで、絶望から救われた。言葉のチカラってすごい。

「ペップトーク」と初めて出会ったきっかけだった。

絶望から再び這い上がれた18日間の検査入院が終わった。



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