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サイアノ和紙作家日記 vol.28 『西会津アートツーリズム』

僕がゲストを連れて西会津を案内、
いろいろ体感してもらう
二泊三日のアートツーリズムを開催した。
今回のゲストは新進気鋭の写真作家ふたり。
見た目はおっとりな印象だけど、
回遊魚のようにアクティブかつ、
アグレッシブに作品づくりに邁進する作家。
もう1人は余計な情報など一切入れずに
じぶんの内にある何かを
丹念に表そうとしているんだと感じた。
そんなふたりに紙づくりや撮影、
サイアノプリントをしながら
この土地の自然や文化、
ヒトとの出会いを味わってもらうつもり。

出ヶ原和紙工房では、
楮を刈って蒸して剥いで叩いて
材料づくりをしてからの紙漉き体験。
昨日迄生えていた木から紙が生まれる。
知識としては当たり前なんだけど
作業をしてみると当たり前じゃない。

イチからつくった和紙に
サイアノプリントする手づくり写真。
感材が無くなったり高騰する昨今、
やれることはじぶんでやってみる。
そんな体験から広がる世界が
きっとあると思う。
今回は僕の判断ミスで
キレイな像を描けなかったが
プロセス自体を自由に感じ取って
何か持ち帰ってくれたようだった。
嬉しい限りである。

じぶんでつくった和紙に太陽光で露光する



和紙づくりの合間には
いくつかあった候補地から
天候を加味して決定した場所での撮影。
無事撮り終えることができてホッとした。
ホント、よかった。

タイミングよく開催していた
ポップアップ的な居酒屋では、
ゲストのふたりも幅広い人たちと交流。
他の場所でも出会いはたくさんあったが、
作家、農家、職人、建築家、ライター、etc.
この町で出会う人たちの肩書きはさまざま。
地元の人だけじゃなく移住者も多いが、
都会とはちょっと違う時間軸で
地に足つけて一歩ずつ、歩んでる気がする。
田舎ならではの切実なことや
大変なこともあると思うが、
しっかりと生きている。
よそ者だから余計に
感じるのかもしれないが、
そんな旅人視点の積み重ね、
それが大切な気がするし、
ふたりの様子を見ていると
きっとプラスだったと思う。

せっかく来てくれたのだから、
たくさん持ち帰ってもらいたい。
その気持ちに変わりはないが、
僕は場のセッティングをするだけで、
あとは任せれば良いんだと気がついた。
良い意味で勝手にやってもらったほうが、
受け取れる可能性はどんどん広がるから。

初めてなのにあえてスジを入れて漉くセンスに脱帽

西会津国際芸術村での展示鑑賞でも
僕が説明なんかしなくても
感じ取ることがたくさんあったみたい。
友人の作家の刺激になりそうだからと
連絡を入れたりもしていた。

お節介になりすぎると
本来の価値を狭めてしまう。
もっと相手を信じて
自由にやってもらえばいい。
作品づくりや展示と
同じなんだと学んだ。
今回のふたりには
ホント感謝だなぁーとしみじみ思った。




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