山田谷直行

光と素材を調和させて作品をつくっています。写真から少し離れた自由な作風を目指してます。…

山田谷直行

光と素材を調和させて作品をつくっています。写真から少し離れた自由な作風を目指してます。次回個展開催までの顛末を毎週記したいと思います。https://www.chokko.rocks/

最近の記事

サイアノ和紙作家雑記VOL.47『みつけてもらうため』

4/29から5/5、今年最初の個展開催。 昨日は初日3日前、制作も佳境とはいかず、 フライヤーを置いてもらう為に東奔西走。 一日で250km位走っていた。 個展などの広報はギャラリーが 主体となって行われるパターンと、 主に作家が宣伝するパターンがある。 今回は後者であるが、 バンドマンの初期衝動‼️ 純粋なインディーズ活動を 今回は特に目指している。 作品や展示空間は大切な表現なんだけど、 もうひと回り大きな括りで、 個展という活動自体も僕の表現。 その一つが広報活動だ

    • サイアノ和紙作家雑記VOL.46『ギャップ…。』

      答えの出ない、 正解のない話を書く。 同じ方向を向いて歩んでいても、 ちょっとしたボタンの掛け違い、 目的地は同じでも 選ぶ道の違いが生じたりする。 大切にしていたことを 土足で踏み躙られた気分。 相手も悪気はないだろうから、 ことさら悩みは深い。 繊細すぎると言われれば それまでなんだけど、 繊細な機微を捉えて増幅し、 作品制作や活動をしている。 それが僕らアーティストなんだと思う。 世間一般なんて言葉は好きじゃない。 けれど、世間と動くことで ヒリヒリとしたフリク

      • サイアノ和紙作家雑記VOL.45

        3月の半ば、新しいワークショップの試験飛行。 テストなので内容は盛りだくさん! 当日の流れはまず、 4×5カメラでポートレイト撮影。 そのあと、中判カメラ担ぎながら 街をぶらぶらしながら「ここだ!」と、 ゲストのインスピレーションが降りたら撮影。 セッティングなどは僕がして、 フレーミングはファインダーを覗いてもらって決める。 そして、シャッターを切ったと同時に 「かっしゃん」という重たい音を二人で共有。 「いぇ~い」と喜びと共に共同作業の撮影完了。 67サイズの中判カメラ

        • サイアノ和紙作家雑記VOL.44『つくるを足してみる』

          昨日、ネガフィルムを鉛筆でトレースしたが、 僕は写真家、これで終わりではない。 鉛筆画をネガにしたらどうなるか? 普通の紙でも透過はするが 露光に時間がかかるので今回は 透過率の高いパラフィン紙を使った。 普通のペンだと油に弾かれてしまいそうだが、 鉛筆だから難なく描くことができた。 サイアノタイプの支持体は、 水彩用のワトソン紙を使用。 テストなので和紙は次回以降の予定。 ちょうど感光液塗布済みの ワトソン紙があったので、 それを使ってみた。 1回目、パラフィン紙が

        サイアノ和紙作家雑記VOL.47『みつけてもらうため』

          サイアノ和紙作家雑記VOL.43『やったらみえるコトがある』

          僕は写真家だと思っている。 ただ一般とはちょっと違うらしく、 「これは写真ですか?」と良く言われる。 じゃあ、何が違うのか❓ 端的に言えば、つくる写真なんだと思う。 撮ったりプリントするだけじゃなく、 何にどう描くのかが僕にとって大切だから 西会津町の出ヶ原和紙工房に通い、 紙づくりからやっている。 その和紙を支持体に サイアノタイプの感光液を塗って、 印画紙を素材からつくっている。 キッカケはじぶんの作品をつくってるのに、 感材メーカーの供給などに左右されるのが どうも腑に

          サイアノ和紙作家雑記VOL.43『やったらみえるコトがある』

          サイアノ和紙作家雑記VOL.42『スゴいはどこにでもある』

          ホーローのバットで蓮根を焼いた。 上手く焼けて美味しかったが、 直に焼いたので蓮根が こびりついてしまった。 ホーロー自体を傷つけず、 丁寧にこそげ落とさないと…。 面倒が増えてしまったと思いながら、 こびりついたホーローを良くみると、 なかなかカッコいいじゃないか❗️ コレ何かに使えると思い、 スマホでパシャリ。 それを白黒にしてさらに反転させたら、 顕微鏡写真のような不思議な世界。 現物では確認できなかった レイヤー感も浮き出てきた。 このままネガ化してサイアノで焼くか?

          サイアノ和紙作家雑記VOL.42『スゴいはどこにでもある』

          サイアノ和紙作家雑記VOL.41『変わらないコト』

          先週、みたらし団子をお土産に買った。 何か持って行きたいと思ってた時に 偶然見つけたお店、古風な佇まいに惹かれた。 土産を渡すと「やったぁ〜」とバンザ〜イ🙌 どうやら地元では有名なお店。 みたらし団子は毎朝ついて 一本一本炭で炙ってる。 ちゃっかり頂いたらほんのり炭の香り。 お餅も柔らかいし、 餡も甘すぎない良い塩梅。 江戸中期から続くお店で現在は九代目。 昔ながらの製法を受け継いでる。 約300年、多くのモノやコトが 変化しているハズなのに ここの団子は変わらない。 今

          サイアノ和紙作家雑記VOL.41『変わらないコト』

          サイアノ和紙作家雑記VOL.40『違うコトもやってみる』

          僕の日頃の活動には大きく分けると三つある。じぶんでつくった和紙にサイアノタイプで作品を制作して展示活動する作家モード。デジタルカメラで個人や企業から撮影を請け負うカメラマンモード。ポートレート撮影をしてサイアノタイプで和紙や板にプリントする作家とカメラマンの両方のテイストが必要となるハイブリッドな『あおい寫眞館』モード。 特にはルーティン化されていないので、その都度、新しいコトに挑む。だから普段からいろいろ考えたりはしていると思う。展示などが決まれば、広報活動もやる。編集者

          サイアノ和紙作家雑記VOL.40『違うコトもやってみる』

          サイアノ和紙作家雑記VOL.38『適正は誰のためだ?』

          先月、夕暮れ時に手持ちで撮影した。 辺りは明らかに暗い。 スローシャッターでブレてしまうか、 多少のアンダーは良しとするのか? 今回は後者を選択した。 まだ、フィルム現像して スマホスキャンしただけ。 このネガではキレイなプリントは難しい…? いや、そもそも、誰の基準で キレイとか判断している。 そんな疑問が湧いてきた。 多分、このネガをプリントしても、 誰かに見せたり展示に 使うことはないと思う。 だったら、自分が気にいるか どうかだけのハズ。 うーん、そもそもネガス

          サイアノ和紙作家雑記VOL.38『適正は誰のためだ?』

          サイアノ和紙作家雑記VOL.38『蘇る感覚』

          すぐにやればそんなことはない。 でも、大体数本溜まり、 数週間から長ければ数ヶ月後に現像する。 それくらい経つと何を撮ったのかなんて、 全く覚えていない。 それが案外良かったりもする。 そう言えば、こんなの撮ったなぁ〜とか なんでコレ撮ったんだろうかなどと、 シャッターを切った時の感覚が蘇る。 すぐに答えが出ない、 フィルム撮影ならではの楽しみ方。 プリントする楽しみも湧くし、 ネガが物質として残るから コラージュとかつくりたいと、 想像力が掻き立てられる。 6×7サイズの

          サイアノ和紙作家雑記VOL.38『蘇る感覚』

          サイアノ和紙作家雑記VOL.37『KHAOS Uo3』

          壁一面の短冊を愛でながら、 何にするか至福の悶絶タイム。 注文は店員を観察し、 目が合った時に軽く手を挙げる。 この空間に染み付いた作法を読んで 振る舞っていると、 向こうから気を利かせて 注いでくれることもある。 美術館やギャラリーを いくつかまわり終えた夕暮れ、 ひとり酒場へ。 まだ17時前だというのに、 店内はほぼ満杯。 最後の一席に滑り込み なみなみの熱燗を行儀悪くすする。 一日で複数みてしまったので 一杯やりながら消化するハズが、 温い酒が冷えた身体に沁み渡ると、

          サイアノ和紙作家雑記VOL.37『KHAOS Uo3』

          サイアノ和紙作家雑記vol.36『ヒカリノトリ』観測&撮影/11.19.2023

          考えるとか思うといった 感受レベルではなく、 なんか勝手に細胞が活性化した。 それがとても心地よくて、 よろこびを感じられた。 現代社会では考えたり思ったりの順番。 事前に情報が植え付けられて、 想像したり期待するから行動を起こす。 もちろんそういったモノが 存在してもいいし、 特にエンターテイメントには必要だと思う (僕自身、そちらの住人だと思う)。 マスをターゲットにすることで いろいろな意味でのスケールは大きくなる。 わかりやすさから徐々に没入することで 辿り着ける領

          サイアノ和紙作家雑記vol.36『ヒカリノトリ』観測&撮影/11.19.2023

          サイアノ和紙作家雑記vol.35『あおい寫眞館』のプレイベント開催

          8/29に西会津国際芸術村にて、ポートレイト撮影と青写真づくりをする体験型写真館イベント『あおい寫眞館』を開催した。今回は僕、山田谷直行がつくる写真を担当し、撮影は福島県須賀川市のシロヤマ写真館さんが担当。うまくいったりいかなかったり、いろいろあったけれど、本当にやってよかったと思っている。 ○笑顔が絶えないフォトセッション! シロヤマ写真館のフォトグラファー、ちかさんとかなさんがつくる現場の雰囲気は、とにかく温かくて楽しくて笑いが絶えない。撮られる側も二人が発する空気と

          サイアノ和紙作家雑記vol.35『あおい寫眞館』のプレイベント開催

          サイアノ和紙作家雑記vol.34『遺すべきモノやコト』

          あおい寫眞館で使う和紙をつくるため、 現在、西会津町に滞在中。 到着した日の夕方、 約1キロの蒸して皮を剥いで 自然漂白して乾燥した楮を水に浸す。 翌日、楮をよく洗い、 鍋で約2時間、コトコト煮る。 そのあと、付着した黒い斑点や チリと呼ばれる皮を丹念に取り除く。 すべて終えたら棒で材料を叩いて 紙漉きに使う材料の完成。 丸一日、朝から晩までかかった。 僕が通う出ヶ原和紙工房は 地元に自生する楮の木を刈り、 口伝や文献からこの地域の 紙づくりの製法を学んで いまも継承して

          サイアノ和紙作家雑記vol.34『遺すべきモノやコト』

          サイアノ和紙作家雑記 vol.33『糠ほっけと和紙』

          礼文島の木彫り職人の おっちゃんに たまたま頂いた糠ほっけ。 一夜干ししたほっけを 糠に漬けて日持ちさせる かつての保存食だ。 海が時化れば物資は滞るが、 島で調達できるのは海産物オンリー。  だけど時化れば漁にも出られない。 そこでたくさん獲れたほっけを 保存する術が求められたと推測。 環境はちょっと違うけれど、 東北などの漬物文化も同じかな。 冷凍技術が発達した現代も 糠ほっけは礼文島の 食文化として残っている。 食べ方は尻尾に切れ目を入れて 皮を剥き身をむしって食べ

          サイアノ和紙作家雑記 vol.33『糠ほっけと和紙』

          サイアノ和紙作家雑記 VOL.32 『じぶんの美に出会うためとその先にあった矛盾』

          礼文島の初日、二日目は 低い雲がかかり、 ずっと霧雨が降っていた。 「この島は波長が合いそう」 下調べもせず渡って来たのは 直感を信じたから。 だから、何も見ずに去るのが なんか嫌でじっと我慢。 観光案内で情報を仕入れ、 海岸でメノウを拾い集め キャンプ場で地元の食材を シンプルに食らって過ごす。 迎えた三日目、 雲の切れ間から やっと出た陽射し。 ほぼ最北の岬から、 島の西側を歩く。 眼に飛び込んで来る色は 深い青の海と 断崖絶壁の黒茶色。 丘陵の笹や低木の緑と 空の青と

          サイアノ和紙作家雑記 VOL.32 『じぶんの美に出会うためとその先にあった矛盾』