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疲れた都民、重荷を負った埼玉県人は、とりあえず池袋に行ってください。

今日は『翔んで埼玉』が放映されましたね。

わたしはこの映画を映画館で見ましたが、最高に楽しくて爆笑できて、健康にいい映画だなぁと思いました。
埼玉県人の憩いの場、池袋で見たせいもありますが、劇場内が一体となって笑っていたのが印象的です。
池袋は埼京線や東武東上線があるおかげで、埼玉県人が多いんですよね。

あ、わたしは生まれも育ちも東京都です(突然のマウント)。
とはいっても東京の田舎なので、どこにも大きい顔はできませんが。

関東育ちの人にとっては、この映画は大爆笑と共感の嵐でしょう。
わたしは空気当てのシーンが好きです。
疲れてるときに見るとハッピーになれます。
おすすめです。


さて、わたしが『翔んで埼玉』の原作に出会ったのも、奇しくも池袋でした。


池袋に、「Book and Bed」というホステルがあります。

「泊まれる本屋」がコンセプトで、壁一面の本棚の裏にベッドがあります。
ソファで本を読んで、寝たくなったら本棚をよじ登ってベッドに潜り込む、という、本好きにはたまらない空間です。


わたしはここにくると、体調がすこぶる良くなります。


はじめて泊まったのは数年前、まだ池袋店しかなかったころでした。
その頃、わたしは酷い肩こりに悩まされていました。
定期的にマッサージに行っていたものの、なんとなく疲れがとれません。
その日も、本を読みにいくのに肩が辛いなぁ、と思っていました。


ホテルは池袋西口から少し進んだ、ビルの8階。
エレベーターを降りると、照明を落としたカウンターがあってチェックインをし、中に入ります。
目の前に広がる壁一面の本棚。
反対側の壁にはソファが備え付けられ、奥の方にシャワーブースなどの水回り。
それだけ。

本とソファがあれば十分でしょ。
という思い切りの良さ。
好きです。

ベッドだって、マットレスにシーツを敷いただけの最低限のもの。
ベッドスペースもカーテンだけでロッカーが1つあるだけです。
ホステルですもの。

だって、本とソファがあれば十分でしょ?
ベッドにいる時間なんて、たかが知れているじゃないですか。
と言わんばかり。
肩こりの身には少々キツイかな、と思いましたが、理想論でいえば十分です。

チェックインをして荷物を自分のスペースに放り投げると、早速本棚をチェックします。
よその本棚のいいところは、自分が普段読まない本を手にできるです。
大型書店とは違って、人為的なセレクションは思いがけないおもしろさがあります。

そして手に取ったマンガのひとつが、『翔んで埼玉』でした。
おもしろかったのですが、正直意味がわかりませんでした。
まさか数年後に映画化するとは思ってもみませんでした。
ちなにみに、このとき読んでハマったのは『きのう何食べた?』です。
これも数年後にドラマ化したので、びっくりしました。
ひょっとしたら池袋店の選者は、映像化の予言ができるのかもしれません。

気になたった本を横に積み上げて読む。
ひたすら読む。

疲れたなと思って顔を挙げて、伸びをして、ふと周りを見渡すと、誰もが本に没頭していています。
聞こえるのは、ページをめくる音、囁くような会話、スリッパの擦れる音くらいです。
だれもが自分の世界に没頭していました。

そしてまた、わたしも本の世界に戻っていきます。

読んで、読んで、読んで、眠くなって、でも眠るのが惜しくて、目を擦りながらどうにか 最後まで読み切ります。

もう何冊読んだでしょうか。
ここには小説もあればマンガもあり、雑誌も旅行本も実用書もあります。
もっと読みたい、もっと読みたいと思いながらも、まぶたが重くなっていくのには抗えず。
睡魔に屈服するギリギリのところで、梯子を登って巣穴のようなベッドに潜り込みます。

寝落ち寸前まで本を読む。
なんて幸せなんでしょう。

翌朝、顔を洗ったらソファでパンをもぐもぐしながら、また本を読みます。
起き抜け10分で本が読める。
しかもソファでだらだらと食事をしながらでも、怒られない。
最高の贅沢ではありませんか。

結局チェックインの16時からチェックアウトの10時まで、寝ていた時間6時間くらいを除いて、ほぼずっと本を読んでいました。

さすがに目が疲れました。
寝不足です。
でも、心と脳みそは大満足で、良書という栄養分が十分に行き渡っています。


ふと気がつくと、あれほど酷かった肩こりがなくなっていました。
気のせいかな?
でもそのあと少なくとも数日は、肩こりと無縁の日々を過ごしました。


なるほど、本を浴びるのは体にもいいのだ。


冷静に考えて、家から1時間圏内に泊まりに来るというのは、一般に無意味とされると思います。
1泊6000円くらいはかかりますし。

でも、例えばアロママッサージに行くと、1時間で6000円なら安い方です。
マッサージは、1時間で体の凝りをほぐしてくれます。
体は軽くなります。
でもたったの1時間、途中で寝てしまったりしたら、気づいたら終わっているのです。

一方Book and Bedは6000円で、睡眠を除いた12時間ほどを、好きなことに費やせます。
そして体が軽くなります。
コスパで考えたら、マッサージよりもよほど有意義です。

そうだ、今度から疲れたときは、ここに来てゆっくり本を読もう。
それ以来、年に1回くらいの割で、泊まりに来ています。


疲れていて、1泊くらいの時間のある人は、ぜひBook and Bedに泊まってみてください。
その疲れ、とれます。

そんな時間のない人は、『翔んで埼玉』を見て元気になって下さい。


Book and Bedはこちら

『翔んで埼玉』のマンガ映画

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