見出し画像

メモ番外編 DOOR/銀杏BOYZ

この記事は大学軽音部の新歓として部員がTwitterにあげているアルバムレビューのために書いたものを、加筆修正したものになります。
友達に唆されて酔っ払った勢いで書いたらとてつもなくキツいものができたので、ここに供養したい...。

銀杏BOYZは中高生のとき本当にずっと聴いていたがゆえに、アルバムレビューの禁じ手にしていました。すでに有名なアルバムなのと、俺のデカい感情が溢れてしまうので...。
新入生が自由に書き込める掲示板に銀杏BOYZをあげていた人がいたのもあって、かなり攻撃的な内容になってしまった。こんなんアップしたら少なくともその人は寄り付かなくなるよ...。

以下レビューです。

アルバムレビューをする前にまず始めにことわっておくと、銀杏BOYZのファンなんて気持ち悪くて大嫌いだ。銀杏BOYZ好きなんです、と公言してはばからないサブカルもどき達はどうかしてると思う。銀杏BOYZが好きであることは恥ずべきことだし、だからこそかつて銀杏が好きだった自分は嫌々ながら、こうして意を決して筆をとっている。

少なくとも後期のゴイステ〜初期銀杏BOYZは、「直視できないほど汚くて救いようのないこの世界」と「「あの娘」と僕だけしかいない独りよがりで何より美しいあのセカイ」の対比、そして少しのノスタルジーを、歌詞や楽曲、ライブパフォーマンスなどから克明に描き出している(この辺はエヴァ以降というか、世代がらだよね)。当然一人称は「僕」だ。誤解を恐れず言えば、女に理解できるはずがないのだ。これはこの世界に絶望し、「君と僕は永遠に」のあのセカイを強く標榜する、落伍者の音楽だ(もし女性に介入する余地があるとすれば「あの娘」になることだが、長くなるのでそれについてはここでは割愛するし、まずオススメしない)。

同時リリースの『君と僕の〜』がシングル的な曲が多いのに対して、これはコンセプトアルバムだ。まず1〜3曲目で思春期特有の焦燥感や疾走感、世界への独りよがりな絶望が提示されている。そこにきて4曲目!『援助交際』でさらに恋焦がれた「あの娘」は手に入らないという絶望まで突きつけられる。もう駄目だ。「女なんて嫌いだ!」と5曲目の『メス豚』。そして「あの娘」はアバズレの馬鹿に違いない、と6曲目『あの娘は綾波レイが好き』。7,8曲目で急展開を迎え、最悪な僕と、嫌いになりきれない「あの娘」が少しずつ接点を持ち接近していく。そしてとうとう、9曲目で結実し、夢のセカイで邂逅を果たす(?)。もちろんそれだけ切り取っても最高の曲なのだが、コンセプトアルバムの曲としての『夢で逢えたら』のなんと美しいことか。

くすぐったくなるほどロマンティックな歌詞、美しいメロディによって夢に誘われたリスナーはこのまま12曲目まで様々な異セカイを「あの娘」と旅することになる。究極にまで「あの娘」と「僕」以外の現実を排したセカイの美しさは、「僕」を卒業した今の自分でさえ惹かれてしまうほどだ。美しくて夢のような(まあ夢なんだけど)時間はいつまでも続くわけがなく、13曲目で「傷だらけで恥をさらしても生きる」覚悟をきめた「僕」は現実に戻されていく。そしてとうとう14曲目『人間』で「君の名前は神さまなんかじゃない」現実と向き合うのだ。これが、本当につらい。思えば銀杏BOYZに狂っていた当時、この曲を聴く頻度が最も少なかったように思う。分かっている、けど...、とこれまでの夢のセカイに閉じこもっていた。でも、とにもかくにもDOORの「僕」は前に進もうとする。最後の15曲目『なんとなく僕たちは大人になるんだ』で、曲目の通り、なんとなく大人になっていく。あの頃は良かったよな、僕らの思い出は消えやしない、ああ嫌だ、と言いながら。

ストーリーがあるコンセプトアルバムとしての側面を切り取ったために、歌詞にばかり着目してるが当然曲がいい。コンセプトを成り立たせるために十分に機能しているばかりでなく、曲単体でも傑作ばかりだ。汚い世界を表現するのにも、グランジーなサウンドに終始するのでなく、いちいち美メロでポップにまとめあげている。曲が良すぎるばかりに、お前に何が分かるんだ、というファン層が世代問わず増えていくんだろうな。自分が峯田のキャリアの本当にごく一部を取り出して、多くのファンを揶揄してるのも分かっている。昔のライブDVDとか見ても毎日が楽しそうな女性とか普通に映ってるしな。実際、最近の峯田自身、そこからは抜け出して大人になっている(しかもかなり意図的に)。でも俺は毎日楽しそうな奴らが「銀杏BOYZサイコー!」とか言ってるのを見ると、あの時の自分をおもって心臓がヒュッとなるよ。上映試写会かよ。銀杏BOYZはあの時の俺の唯一の心の居場所だったんだよ...。 

個別に曲について語ろうとしたけど書き始めたら思ったより自分語りをしすぎて気分が悪くなってきたのでやめておく。曲はいいよ。聴きゃすぐ分かるだろ。今までシングル的に、サブスク的に聴いてきた人は流れも意識して聴いてみれくれよ。アルバムレビューとして役割を放棄してるけどこの感動ばかりは聴かなきゃ分からないよ。
というか脱線するけど、「クラッシュとかを聴いてきたからこれはパンクに聴こえない」とか抜かしたらしいマーティーフリードマンはクラッシュの何を聴いてきたんだ?先人がした通りにゴミ箱を蹴ればパンクというわけじゃないだろ。ラモーンズ好きとか言うくせにリードギターしか弾かないし、パンクそんな好きじゃないだろ、まあいいけど...........。

繰り返すが俺の言う銀杏BOYZファンは気持ち悪い男だ。あの人は峯田の歌う「あの娘」なんじゃないかと思って何人もの女性を追いかけ回したり、そんなこんなで高校の部活動の人間関係を破壊した挙句に退部したりしてたあの時の僕は、誰より気持ち悪かった。銀杏BOYZ好きを公言するときは用心した方がいいかもしれない。すぐそこにかつて気持ち悪い銀杏BOYZ好きだった男がいるかもしれないのだから。

お目汚ししました。散!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?