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写真家で見えない的を狙っている岩男直樹さんのスナップは、師匠の森山大道よりうまい

写真家で見えない的を狙っている岩男直樹さんのスナップは、師匠の森山大道よりうまい

Facebookでフォロワーが5000近くあって、主に渋谷あたりですごいスナップを撮っている人がいるので、びっくりして見ていたら、それがこの写真家なのである。

岩男さんは森山大道さんのお弟子さんと自分で語っていたけども、スナップショットとしては師匠よりはるかにすごい。私もスナップショットはやるけれど、これだけ正面から、しかも決定的瞬間に取れる人はそんなに多くない。

ウィリアムクラインとは何回か話をする機会があって、十数年前に彼の大きな個展がプラハで開かれた時、通訳みたいな立場で数日間一緒にいた。その時スナップ写真についていろいろ話をした。ところがウィリアムクラインの場合は1つのコミュニティーに入って、そこでスナップを取るから、実際には町中のスナップとはちょっと意味が異なる。

プラハで、政府主催の晩餐会があってそこでウィリアムクラインは派手なジャケットをきて写真家のコスプレをしてカメラを向けるとカメラを向けられた人はそれに意識するのである。

それに対して、渋谷あたりで撮影している岩男さんのスナップショットは、現実に歩いている人間と瞬間的に視神経で切り結んでいるから真剣勝負なのだ。そこは面白い。

北島敬三がニューヨークの同じような激しいスナップショットで有名になった頃、ウィーンで何度か会って馬鹿話をしたことがあった。ストレートフォトグラフィーの話をしたかもしれないが、その後北島は作風というか芸風が変わって大判カメラを使うようになっちゃった。

写真家の芸風は本当は変わらない方が良いのである。

この写真家が日赤病院のロビーで撮ったこのショットは人間のいない風景ではなくて、目には見えないけれど、人間が凝縮している風景に見える。

この写真家も見えない的を狙っている1人なのだ。

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