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2018年レンタル組の動向

ここ数年は非常にレンタル移籍が多くなっている印象で、シーズン途中に岡山へ移籍した高橋壮也も含めて8人が武者修行中。

他方、チームの平均年齢はシーズン開始時点で26.8歳、主力に限れば29.81歳という恐ろしい数字です(いずれもシーズン開始時点の年齢。パトリックの相方は出場時間の長いティーラシンと仮定)。

レンタル組の帰還も含めて若い世代を戦力化していかないと大変しんどい未来が見えております。ACLもあるしね。そこで今シーズンの彼らの活躍をチェックしながら帰ってきてくれるのか考えてみました。自己満足的作業。

①増田卓也

・基本情報:GK、28歳(今シーズン開始時点。以下同じ)、加入7年目
・レンタル先:V・ファーレン長崎
・レンタル期間:2017年2月~(2年目)
・今シーズン:リーグ6試合、ルヴァン4試合、天皇杯0試合

広島皆実高校出身の正当派GK。大宮戦で富山選手と接触して脳しんとう→救急搬送という大きな出来事はかなり印象に残っていると思います(そのときのノヴァコヴィッチの紳士っぷりも)。

ちなみに、その1つ前の名古屋戦でGK西川周作が相手選手と接触しながらもゴールを守った試合を見て「死ぬ気でやらないといけない」と覚悟を語っていて、気持ちが前に出すぎなのを多少心配していたところであの大宮戦だったような記憶が。プロ意識の高さは素晴らしい。しかも広島愛を熱く語る素晴らしい人柄なのですが、GKという難しいポジションから昨年出場機会を求めて長崎へ移籍。

昨年はJ2リーグ戦を全試合フルタイム出場。しかしながら今シーズンは第5節から徳重(神戸から新加入)にポジションを奪われベンチを温めることになりました。失点=GKに全責任があるわけがありませんが、本人の責めに帰するミスもあり、10試合で16失点という結果は厳しいものがありました。

来シーズン30歳となり、GKとしては脂がのり始める年でもあります。廣永と中林は林卓人という高い壁を越えることに苦慮しており、今オフの状況は不透明。また、長崎も楢崎へオファーを出していることから復帰要請をするのではないかと勝手に想像しています。

②皆川佑介

・基本情報:FW、26歳、加入5年目
・レンタル先:ロアッソ熊本
・レンタル期間:2018年2月~(1年目)
・今シーズン:リーグ41試合、天皇杯0試合

Wユウスケの大きい方。サンフレッチェが大きく苦しんだ2014年に加入し、前線で起点となれる皆川はすぐさま重宝され、アギーレ監督が日本代表に招集するなど華々しいデビューを飾りました。

持ち前の高さを活かしたヘディングだけでなく、前線から泥臭く守備もできます。ただ、2015年以降は42試合出場したものの1試合平均11.88分に留まりました。途中出場で流れを変えられるタイプでもないためどちらかというとクローザー気味の投入が多く、不本意な形に。昨年末に移籍を選択。

今シーズンは41試合出場で11得点。1試合平均も79.8分とチームの中心選手として活躍しました。ただ、熊本はご存じの通りJ3降格が決定しています。皆川がどうこうと言うよりは(総得点50はリーグ12位)リーグワーストの79失点の方が致命的だったように感じますので、何とも言えないところ。

ロアッソ熊本でしっかりとポジションを確保しているものの、J3降格が決定したことで去就は不透明。ティーラシンやベリーシャの動向や工藤壮人の去就も不透明な予感がするので、その辺との兼ね合いはあるかもしれません。渋谷監督留任を受けてもう1年という可能性もある気がします。

③茶島雄介

・基本情報:MF、26歳、加入5年目
・レンタル先:ジェフユナイテッド市原・千葉
・レンタル期間:2018年2月~(1年目)
・今シーズン:リーグ39試合、天皇杯1試合

Wユウスケの小さい方。ユース時代は中山雄登(熊本)と組んだWボランチで圧倒的なポゼッションの中心に居ましたが、プロ加入後はそのクイックネスとアジリティを活かしたカウンター兵器としてシャドーに活躍の場を移しました。加入2年目の年末に参加したCWCで輝き、翌シーズンにキャリアハイとなる22試合に出場。殻を破ったかに思えましたが、2017年シーズンは監督交代もあって、出場試合数は伸び悩み、SB起用されるなど不本意なシーズンとなりました。

今シーズンから千葉にレンタル。千葉では開幕から主力として活躍したものの、チームの成績が乱高下したこともあり、途中出場も増えました。一部の試合は見ましたが起用ポジションがめちゃくちゃだったのでシーズン中の寸評はこちらをどうぞ。SBでカウントされてるけど…。

皆川と同じく出場機会は掴んでいましたがレンタル期間がまだ1年なので復帰要請をするかどうかは分かりません。広島帰還の場合、主戦場はサイドハーフでしょう(SBはやめて)。柴崎晃誠は34歳、柏好文は31歳を迎える来シーズンに備えて復帰要請する可能性はあるかもですが、野津田との兼ね合いもある予感。まさかのエスナイデル監督契約更新でどうなるか。

④野津田岳人

・基本情報:MF、23歳、加入6年目
・レンタル先:アルビレックス新潟→清水エスパルス→ベガルタ仙台
・レンタル期間:2016年4月~(3年目)
・今シーズン:リーグ23試合、ルヴァン4試合、天皇杯?試合

二種登録だった2012年シーズンに森保監督が大抜擢したユース卒のレフティモンスター。2013年シーズン以降もコンスタントに出場数を重ねていましたが、2015年末のCWC負傷退場により出遅れたため、2016年のリオ五輪出場を目指してシーズン開幕直後に新潟にレンタル移籍しました。新潟では18試合に出場したものの五輪本戦メンバーからは落選。翌年は清水に、その夏に仙台へ移籍。仙台ではチームの主力として活躍しています。

シーズン途中に負傷したものの復帰後もきっちりレギュラーに定着しています。主戦場はシャドーながらボランチの奧埜とポジションチェンジをしてビルドアップに関わるなど水を運ぶプレーが多くなってるのが印象的でした。運動量を活かして上下左右どこにでも顔を出す感じ。サイドチェンジもさすがのキック精度。

リオ五輪のためにチームを飛び出してはや3年。レンタル移籍としては非常に長くなりましたのでチームとしても復帰要請を出しそうな気がします。茶島と同じくサイドハーフが主戦場になるでしょう。カットインからのシュートやプレイスキックで期待したいところ。左利きが足りないし。

⑤宮原和也

・基本情報:MF、21歳、加入6年目
・レンタル先:名古屋グランパス
・レンタル期間:2017年2月~(2年目)
・今シーズン:リーグ26試合、ルヴァン2試合、天皇杯1試合

2013年に川辺駿とともに高校生でプロ契約。本職はボランチながらチーム事情からストッパーを任されることが多く、ACLでも当たり負けしない光景に度肝を抜かれました。しかし、持っているポテンシャルとは裏腹に塩谷野上水本千葉という強力なDF陣を上回ることができず、2017年シーズンから名古屋グランパスにレンタル移籍。

昨年は41試合3644分出場とチームで最長出場時間をマーク。今年の名古屋は大補強を敢行しましたが、何するものぞと右SBのポジションをガッチリ確保しました。ただ、終盤にケガで離脱したことでチーム最長出場時間とはならず。

武者修行も2年。広島が4バック中心に切り替わり、SBの層が圧倒的に薄いことを考えれば宮原に対して復帰要請することはまず間違いないでしょう。ただし、名古屋で完全に主力となっていることがどう影響するかが懸念材料ではあります。一部報道では名古屋が完全移籍での獲得を目指しているとありますし、どうなることやら。

⑥長沼洋一

・基本情報:MF、20歳、加入3年目
・レンタル先:モンテディオ山形→FC岐阜
・レンタル期間:2017年8月~(2年目)
・今シーズン:リーグ17試合、天皇杯0試合

ユース時代は真ん中の選手だった(はず)のですが、広島ではその不慣れなサイドでの起用が多く、ヨンソン体制ではSB起用されるなど不遇な立ち位置になったため夏にレンタル移籍。山形では3試合出場に留まったため、今シーズンから岐阜に活躍の場を移しました。

シーズン中のプレーは確認できていませんが、先日のアジア大会で東京五輪世代の右WBとして活躍。献身的な飛び出し+裏取りで相手のサイドを脅かし、丁寧なクロスで数多くのチャンスを演出しました。明らかに動き出し上手くなっている。先日は人生初の3アシストを記録したとか。ポジティブな驚きがあって嬉しい。

ただ、広島に帰ると茶島・野津田と同じくサイドハーフが主戦場になりそうです(さすがにSBはやめてあげて欲しい)。現時点で柴崎晃誠と柏好文という高い壁もあり。東京五輪を考えてももう一年出場機会を求めそうな気が。

⑦イヨハ理ヘンリー

・基本情報:DF、19歳、加入3年目
・レンタル先:FC岐阜
・レンタル期間:2018年2月~(1年目)
・今シーズン:リーグ11試合、天皇杯0試合

貴重な左利きCB。大谷尚輝の町田移籍もあって高校在学中にプロ契約しました。ユースでは主にリベロを務め(てたはず)、ビルドアップにも長けている印象。宮原と同じく広島ではなかなか試合出場機会を得られず、今シーズンから長沼とともに岐阜にレンタル移籍。

シーズン終盤に左CBのポジションをゲットして11試合に出場。DAZN週間ベストイレブンにも選出されました。その後、何故かベンチ外になったことで再びポジションを奪われてしまったのが残念。それ以降再びベンチ入りしてるのでコンディション不良とか?

広島のCB事情を考えると、千葉と水本がともに33歳で来シーズンを迎えるため世代交代目的で復帰要請する可能性は否定できませんが、関西大学の荒木隼人くんの加入が内定していますからもう1年武者修行という可能性の方が高い気はします。左利きは貴重だから大きく成長してほしい。

⑧高橋壮也

・基本情報:DF、21歳、加入5年目
・レンタル先:ファジアーノ岡山
・レンタル期間:2018年7月~(1年目)
・今シーズン:リーグ4試合、天皇杯0試合(岡山のみの成績)

走力抜群のSB。右利きだけど主戦場は左。1日2試合走れるという触れ込みをよく覚えているのですがソースが見つからないので誰か教えて下さい。昨シーズン途中、監督交代の影響で4バックに移行したためSBとして覚醒。ついに広島を背負って立つかと思ったところで今シーズン開幕前の負傷で出遅れ。佐々木と新加入の和田が両SBをガッチリ固めていたこともあって夏に出場機会を求めて岡山に移籍しました。

シーズン途中の移籍が難しいのは当然なのですがそれにしても出場4試合は寂しい。岡山が3バックを採用しており、左は三村真がポジションを確保しているため、実質的に1つの椅子を澤口・椋原と争う形だったようです。広島的なWG兼SBのようなプレースタイルならば持ち前の運動量を活かせるでしょうが、やはり4バックの方が強みが生きるような気はします。

出場機会が少なかったものの、岡山は監督交代するらしいので去就は不透明。宮原の項でも述べたように広島はSBが圧倒的に不足しています。その意味では復帰を要請したいところですが、本人のコメントを見る限り難しそうな予感が大。かなしみ。

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という感じでレンタル組の動向でした。どうなるかなー。

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