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サンフレッチェ広島の編成の歴史

Twitterで殴り書きしてたら思ったより反響があったので真面目に調べてまとめてみました。

サンフレッチェ広島の編成を語ろうと思うと20年以上の歴史、下手をすると東洋工業時代まで遡る必要があるのですが、17歳の身でそれは難しいので、直近で一番のターニングポイント=2017年降格危機を基準にどういう変遷を遂げてきたか見ていきたいと思います。

①2017年シーズン中のIN/OUT

森保体制6年目。前年から綻びは見えていましたが、佐藤寿人の退団、ウタカ依存症、塩谷の海外移籍やアンロペまじアンロペなど色々重なって前半戦を17位でフィニッシュ。緊急補強の前に森保体制の終了を決断します。

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横内監督代行を経てヨンソン体制がスタート。G大阪からパトリックと丹羽を緊急補強し、システムも1-3-4-1から1-4-2-3-1に変更して戦うことになりました。SBのスペシャリスト=椋原獲得もその流れの1つですね。

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一方で、システム変更の煽りを受けたのがWB起用されることもあった選手(茶島、清水、長沼ら)。清水と長沼はシーズン中にチームを去りました。

②2017年オフのIN/OUT

なんとか残留を果たしたためそのままヨンソン体制継続かと思われたところで、JFKさんにスイッチ。オフの動きはおそらくヨンソン体制を想定して組まれていたため4バックを前提としたものだったものと思われます。

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その代表格が、椋原に代えて獲得したサッカー・インテリジェンスの高い和田拓也。これはズバリとハマる素晴らしい補強でした。中盤の枚数が必要になるため川辺・吉野のレンタルバックで補いつつ、馬渡を獲得。

また、テコ入れを図られたFW陣は複数年契約の工藤と途中加入したパトリック以外総入れ替えとなり、献身性とインテリジェンスの高い渡とティーラシンを獲得。パトリックを活かせる陣容を整えました。

JFKさんもヨンソンの遺産を活かす方法で戦ったため、上記の補強もハマリにハマって快進撃がスタートしました。

③2018年シーズン中のIN/OUT

快進撃を続けていた広島ですが、どう考えてもパトリックへの依存度が高いことが気になった強化部(しかも膝の状態も心配)。代役として白羽の矢を立てたのは実績十分のベサルト・ベリーシャでした。

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しかし、これが全く噛み合わず。他チームはパトリックへの対策を強め、右SBの和田がフィジカル的に強くないとみるやフィジカルでそのウィークポイントを殴るように。この対策に解決方法を用意できず最終的にまくられて終了というなんとも言えないシーズンとなりました。

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どうして。

また、前年の残留の立役者でありながらJFKさんの信頼を得られなかった丹羽と高橋はシーズン中にチームを去っています。

④2018年オフのIN/OUT

なかなかにいい編成でスタートしたかに見えた2018年シーズンでしたが、終わってみれば対策に対抗できず。川辺のSHや馬渡を機能させられなかったため、最終節で1-3-4-2-1に回帰することになりました。

ただ、編成はそれより前にスタートしていたはずなので、むしろしっかりと1-4-2-2-2で戦える人材を揃えたオフだったのだと思います。

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右SB和田がフィジカルで殴られるなら質でなんとかしようと、フィジカルも兼ね備えたSBのスペシャリスト=エミル・サロモンソンを補強。また、4バックでフィルター無しに殴られると辛く、怪我で出遅れた千葉が新天地へ移籍したため4バックの統率ができる井林を補強。

ACLに備え、前線のキープ力・押し上げまでの時間作りを求めて工藤・ティーラシンに代えて皆川・ヴィエイラを補強したのも的確でした。

さらに最後までフィットしきれなかったシウバに代えて満を持して仙台で実績を積んだ岳人を復帰させるなど、このオフも馬渡の流出以外は充実したオフだったのではないでしょうか。実際は3バックだったという点を除けば。

⑤2019年シーズン中のIN/OUT

さて、2019年シーズンは3バックで突入したこととACLを早期敗退したことで編成上早々に綻びが生じてしまいました。

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どちらかというと4バック向きな和田・川井は春先に出場機会を求めてレンタル移籍。ACL敗退したことで人員整理としてベリーシャ・皆川も放出(ベリーシャに至ってはACL登録できず)。水本や中林もチームを去りました。

1トップには不向きなパトリックも信頼を失っており、高額オファーで流出。代役としてペレイラを獲得するのみで基本的にはACL陣容をスリム化する目的の移籍ウィンドウだったのでしょう。

⑥2019年オフのIN/OUT

3バックに回帰して戦った2019年シーズンは序盤こそ良かったものの、途中で失速という前年の焼き直しのようなシーズンでした。最終着地点が低く、失速も早かった点が前年とはちょっと違うところですが。

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ACLもないシーズンで継続性を重視して大きな入替をしない方向(積攻())で編成を進めたため、3バックを前提とした補強を行いました。

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大迫の東京五輪を見据えて増田を復帰させ、3バックのリベロ争いで荒木に敗れた吉野が移籍したため、足下に優れる櫛引を補強。気の利く渡の代役には同じく気が利いてファーストディフェンスに優れる永井と最高の補強。

また、怪我で離脱中に信頼を失ったエミルを放出したことと、衰えの見える柏の後継者探しのため茶島の復帰、浅野、エゼキエウとワイドプレーヤーを次々と獲得。ワイドに力を入れるという目的が明白なオフでした。

主力中の主力=稲垣を抜かれたのは痛恨でしたが、稲垣が君臨するため定着できなかった川辺の成長に期待して敢えて補強はしないという選択。

⑦2020年シーズン中のIN/OUT

コロナ禍ということもあり、何も言えねえというシーズンとなってしまった2020年。チームの調子は中空飛行を続けてしまいます。

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ただ、海外からの補強は難しいものがありましたし、シーズン中のIN/OUTは出場機会を求めた松本泰志と、特別指定にして久しぶりの出場機会を得た藤井の2人だけ。編成的にはおとなしいシーズンでした。

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シーズン頭で目指していたワイドの世代交代については、左サイドで森島とのコンビネーションが絶妙だった東がポジションを掴んだものの、右サイドはハイネルが離脱して以降迷走気味。

一方で前年にシャドーで活躍した森島が主力に成長し、浅野も想像以上の輝きを見せてレギュラーに定着。若い世代がどんどん出場機会を掴みました。

⑧2020年オフのIN/OUT

引続き積攻()を掲げるシーズンとして3バック編成を前提とした補強を進めていたものと思われますが、JFKさんがまさかの4バック回帰を決断。

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出場機会が全くなかった櫛引に代えて今津の補強は大当たりでしたし、廣永に代えて川浪も素晴らしいチョイス。信頼を勝ち取れなかった松本大弥・岳人が流出した一方で、愛媛でWBとしてもめざましい成長を遂げた長沼を復帰させました。ペレイラに代えてJSというのはコロナ禍で来日の難しい選手補強の中ではベターだったと思います。

一方で、4バックにしたことでSBいないぞ問題が表面化。うまくこなせそうな東と佐々木が共に左SB向きという謎の競合を見せ、右SBは茶島・藤井らWB向きの選手や野上・今津といったCB向きな選手を当てはめる苦肉の策がシーズン前から始まりました。

また、ストッパーのカバーリングに長けていた荒木は4バックでフィルター無し+SBが攻撃参加しすぎて帰ってこない問題に苦しみ、前線の枚数を増やしたものの特にゴールが増える道筋はないという地獄を見せました。

⑨2021年シーズン中のIN/OUT

結果、4バック無理やんとなり再び1-3-4-2-1へ回帰。積攻とは…うごご…。

すでに報じられているように井林は清水に、川辺は海外移籍の噂があります。井林は千葉和彦の代役として獲得し、4バックのリーダー、3バックのリベロとして期待されましたがなかなかポジションを掴めませんでした。

特に、3バックのリベロとして吉野とリベロを競って欲しかったところですが、フィジカルとカバーリング力に優れる荒木が台頭してしまったのが難しいところでした。WBの守備固め等でもチームのために頑張ってくれたことに感謝しかないです。ロティーナであればちゃんと上手く使ってくれるはず。とか言ってたら公式発表がありました。

川辺に関しては稲垣移籍後に定着し、徐々に自信を付けてその運動量・スプリント力とゴールゲットの非凡さを見せてくれました。森﨑和幸引退と稲垣移籍後には1対1のボール奪取能力も冴え、展開でもいいロングパスを配給していました。他方で、守備のフィルターとしての役割は弱く、まだまだ大きく成長の余地はありますので、チームを離れる決断は悪くないんじゃないかと思います。

翻ってチーム事情的には3バックの紅白戦も難しいですし(長沼ストッパーとか土肥リベロはやめろ)、ボランチも不安定な状態が続いてますので移籍が事実なら何かしらの補強はあるのかなぁと思ってみています。

おわり。長くなってしまった。

サポートして頂いた金額は、広島のスタジアム建設募金に全額寄付する予定です。