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子どもには生きていく力がある

子どもには生きていく力がある

これは、以前から私が思っていることなのですが、
それは「発達障がいの子にも言えるのか?」と言うのが、私の中の課題でした。

しか~し、それは間違いではないと証明する一つの事象がありました。

それは、この4月に転任してきた職員の話からです。
この職員をAさんとしましょう。

発達障がいのお子さんを持つAさん・・・

Aさんが保健室にやってきて
「私の子どもが発達障がいで・・・・」と話し始めたのでした。
本当は診断名をおっしゃってくださったのですが、ここでは伏せておきます。

Aさんは私とは同世代。
そのお子さんとなるともう成人しているはず・・・と思いながら聞いてみると、今はグループホームで生活して、近くのスーパーで働いていると・・・。

時々様子を見るために変装をして、買い物に行かれるとか。
「変装をしていても、ほんとにすぐにばれてしまって、うちの子はそういうの、察知するのがすごいんですよ」と笑いながら教えてくださいました。

早期療育が大切だからと小さい頃から県外の療育や病院にも通われていて、その結果、一般企業に障害者枠で就職されたそうです。
お子さんは小学校から特別支援学校でした。

早期療育が大切だから県外の施設へ行かれるなんて、お子さんにさぞいろいろとやっておられるのだろうと思いきや、今は「子どもは子ども」とあっさり。
「失敗して周囲の人に叱られればいいのよ。そうやって勉強していくから」
「私の残された時間なんて短いんだから、子どもに時間を費やすなんて時間がもったいない。自分のしたいことをしなくちゃ」
とおっしゃるのです。

Aさんは登山が趣味。
夏には1か月ほど山小屋にこもって、そこを拠点に登山をされるそうです。

山小屋にこもっておられる期間は、お子さんとも音信不通。

個人的には遭難を心配しましたが、「それが楽しみ」とおっしゃるので、赤の他人の私が口をはさむ余地はありません。

子どもの成長

普通学級に在籍している子どもは、学校生活の中で友だち関係などのいろいろな困難にぶつかりながら成長していきます。
それが、発達障がいのある子も同じなのかと疑問に思っていたところでした。発達障がいの子どもたちには常に大人の支援が必要なのではないかと思っていたからです。

確かに、小さな時は視覚支援、見通しを持たせるなど、その子に合った支援が必要でしょう。
でも、いつまででもその支援を継続する必要があるかと言えば、そうでもないようです。

Aさんはいつも見通しを持たせるために、スケジュールや手順をイラスト入りで書いた支援カードを持たせていました。
でも、ある日、「それはいらない」とお子さんから言われて、作るのをやめたそうです。
「友だちに自分だけ持っているのを見られるのがイヤだったみたい」とAさんはおっしゃっていました。
でも、なかったらなかったで困ったようで「また、作って」と言われて、作ることにしたとか。
でも、「だんだん作る頻度は少なくなってきました」とおっしゃっていました。

このように、子どもは試行錯誤をしながらいろんなことにぶつかり成長していくのです。
Aさんも「子どもは体験しながら覚えていくんです」とおっしゃっています。

中学校に入学してくる支援学級や通常学級の発達が凸凹の子どもたちも、「小学校の時はたいへんだったけど、今は落ち着いている」とか「中1の時は、少しの刺激で怒りだしていたけど、中3にもなれば自分で考えて行動できるようになった」と言われるようになるのです。

それは、一部の子どもではなく、みんななにかしらの成長が見られます。

Aさんのお子さんは、小学校から特別支援学校に入学されていて、普通学校に入学して学習することは難しいと判断されたお子さんだったけど、立派にスーパーに就職されて、グループホームで生活されています。

だから、どんな障害があっても人は成長していくんだなとAさんの話を聞いてさらに思いました。

子どもを見守る

「うちの子なんかは、小さいときから行政のリストに載っていて、絶対に行政が助けてくれます。今の日本だったら野垂れ死にすることはありません。
だから、残された自分の時間を精一杯に楽しみたい」とAさんは登山に意欲的です。

私はと言えば、子どもたちは成人していますが、未だ母親のママで祖母にはなっていません。
人と比べるときりがないので、子どものことは考えないで自分の時間を大切に生きようと思っています。

自分の人生と子どもの人生を一緒にするとかえって子どもの成長を阻むことになると思います。
子どもは自分で経験して成長していきます。
子どものことはたまに思い出すくらいにして、自分の人生を楽しんでいきませんか?


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