世界と自己を捉え直す営為として ~日向坂46個人PVへの感想と偏愛~

はじめに

今回の文章は、5thシングル『君しか勝たん』に収録されている、日向坂46の個人PVについて感想及び個人的見解と偏愛を書き連ねたものになります。後半では各メンバーごとに映像を見た感想を<予告編><本編>に分けて記載していますが、<本編>ではできるだけ本編で体感していただきたい部分は極力「みどころ」として記載できればと思っています。

それではどうぞ。


日向坂46と個人PV

いわゆる坂道グループにおける「個人PV」と呼ばれている作品群については、以下のように定義できるといえるでしょう。

乃木坂46がデビューした二〇一二年から継続的に制作されてきた個人PV(プロモーションビデオ)は、その名のとおりメンバー個々人にスポットを当てたショートフィルムである。原則として、当該シングルのリリース時点で稼働しているメンバーについて一人一本、ソロで出演する映像作品を制作するものとしてある。

香月孝史『乃木坂46のドラマトゥルギー  演じる身体/フィクション/静かな成熟』(青弓社、2020年)76頁。

上記の定義に照らすと、たしかに日向坂46と改名して以降は、個人PVという形での映像作品はこれまで制作されてこなかったといえます。
『キュン』では「けやき坂46ストーリー ~ひなたのほうへ~」として20名(当時)の歴史に焦点を当てた映像が、『ドレミソラシド』では「はじめて〇〇してみた」という形式での3~4人グループでのチャレンジ系自撮り映像が、『こんなに好きになっちゃっていいの?』では「ひなたの休日」として各メンバーのモーニングルーティーンから休日にしていることを記録した映像が、そして『ソンナコトナイヨ』では「日向坂46 大富豪No.1決定戦」と題して文字通り大富豪で熱戦を繰り広げている映像が収録されています。

同じ形式を採ってメンバー個々の歴史にスポットを当てた「けやき坂ストーリー」はセルフドキュメンタリー形式とでもいいますか、過去の自分とこれからの自分を現在地(『キュン』発売時)から語る形式で、これはこれで私個人としても好きな内容ではあります。同様に「ひなたの休日」も、同じ枠組みの中での彼女らの個性を浮かび上がらせる作りですが、映像作品としての強度は「個人PV」という形式とは異なった性質のものだったと思います。

では、「個人PV」とは上述の映像群とは何が異なるのか。それは、単なる「メンバー紹介」としての映像ではなく、映像監督や音楽制作陣も含めた、グループの制約および秋元康詞からのある種「呪縛」からも解き放たれた作家性の発揮と、自由度の高さであると感じています。さらに言うならば、今回の日向坂46の個人PVにおいては、22人分すべての映像の原案がメンバー自身であることも大きなポイントであると思います。

小坂菜緒さんのようにショートドラマ風の映像もあれば、金村美玖さんのように自らをテーマにしたオリジナルソングを歌い上げたり、山口陽世さんのようにラミレス氏とトレーニングをしたりと、個々人から生まれたアイデアを多様なクリエイター陣がカラフルに色づけていく様はまさしく「個人PV」の源流を汲む表現手法であり、その発露としての各作品は各メンバーの個性や武器を最大限に引き出してくれる強力な武器になると言えるのではないかと。


礎としての5th

そんな個人PVがなぜ5thになってようやく実現されたのか。理由の一つとして考えられるのは、真に「全員」で臨むシングルが本作が初であったからという部分があると思っています。
影山優佳さんが活動復帰したのは昨年の5月26日であり、新3期生が加入したのも昨年の2~3月頃だったかなと。アルバム『ひなたざか』のリード曲である『アザトカワイイ』で22人での楽曲、MV等は作成されていましたが、シングルとしては今作が初になっているという点からも、ある意味このタイミングしか逆になかったといいますか、勝負をかけるタイミングとして選び取ったという感覚がありました。

また、楽曲・MVや衣装の面から5thを捉えると、カップリングとして設けられた期別曲、および『声の足跡』における過去作へのオマージュと衣装のパッチワーク的な昇華のさせ方も、「日向坂」を総括した上で次なるフェーズへ進むための第一歩としようとしているのかな、という感覚を覚えました。

そして、若干飛躍しているのは承知の上で書くとするならば、乃木坂46の個人PV文化を確固たるものにした『まりっか'17』の伊藤万理華、そして彼女に憧れて鳥居坂1期生オーディションで『まりっか'17』を歌った長濱ねる、そして彼女の存在によって生まれた「けやき坂46」から成長した日向坂46。そうした流れを個人的には見いださざるを得なかったので、このタイミングで「日向坂46」を見つめ直し足場を強固にする上での「個人PV」という試みは大変嬉しいものがありました。

後述しますが金村美玖さんの個人PVは上述の『まりっか'17』を彷彿とさせるものがあると感じているので、彼女なりのリスペクトと個性の発露がそうした表現に繋がっていったのかな、と推測しています。

そして、これより以下は各メンバーの個人PVに対する感想・見解・偏愛です。長いのと文体が変わっているのは気にしないでください。


1期生

潮紗理菜『潮紗理菜の世界民族楽器の旅』(TYPE B)

<予告編を観て>
サリマカシー!壮大な字幕と導入から始まる彼女独自の世界観。声といい音楽といい、「癒やし」の権化のようなお方だなあと。「すごい重いです!すごい重いけどでも…重いです」。これでもかというくらい重さが伝わってきます。そして演奏が始まる『ラミラミパロパロルプルプル』。はたしてガムランボールとカエルらしきギロは鳴ることがあるのでしょうか。なお、本PV内の曲で使用されている言語は彼女の創作なのだとか。誰とも被らないジャンルで爆走する聖母。撮影協力および楽器の演奏として登場してくださった東京音楽大学付属民族音楽研究所の方々にも感謝です。


<本編のみどころ>
・世界ふしぎ発見!みたいなテイストを感じる。ミステリーハンターやってほしい。
・いろんな楽器に邂逅する際のリアクションが素晴らしい
・勉強になる
・外部の専門家から何かを学ぶ企画にとてもフィットする感覚
・楽器を演奏する潮さんが楽しそうではなまるちゃん
・オリジナルソングのクセ
・あの楽器もその楽器も活躍…?



影山優佳『学びの化け物 影山に1日休みを与えてみた』(TYPE B)

<予告編を観て>
活動復帰からのこの1年間で様々な領域で活躍の場を広げてきた彼女は「学びの化け物」としてなお学び続けることをやめない。努力の鬼である。奇しくも、活動再開の一方が我々の目に飛び込んできたのは2020年5月26日、5thシングル『君しか勝たん』の発売日の1年前でした。
そんな彼女は何事にも「ゲーゲンプレス」で貪欲に物事を、経験を、知識を、吸収していく。今回の個人PVは以下のような流れです。

1時間目:ヨガ、2時間目:音楽、3時間目:笑い、お昼(かわいい)、
4時間目:占い、5時間目:演劇、6時間目:料理の時間割。

勉強もできるし運動神経も抜群、かつ突出した表情管理を持つ彼女であっても、「実は私、体がすごく硬くて」「バラエティ恐怖症」「メンバーは生きてるだけで面白い子が多いんですけど」「占いは信じてないんですよ それで本当に未来が決まるの?」「かわいい料理 お菓子作りとかあんまりやったことがなかったので」と、ひとつひとつの分野に対して課題意識にも近い自らの立ち位置を言語化しています。飽くなき探究心と上昇志向、そしてそれを具に捉える言語化能力とド根性。それこそが復帰後1年経ってより一層大きく成長した彼女の強力な武器であると感じる個人PVだと思います。(現時点でまだ予告しか観てません)


<本編のみどころ>
・影山さん、ジャージが似合うよね
・いい笑顔
・ポニテ、優勝。
・学びの歓びを全身で表しているのいいなあ
・お昼(かわいい)
・夢を語る影山さん
・表情管理の影山さん
・カオスな演劇レッスン
・鼻クリーム影ちゃん(かわいい)



加藤史帆『5年間』(TYPE D)

<予告編を観て>
圧倒的な歌唱力と彼女が持つバックグラウンド。アイドル活動への希望と苦悩。そして後半とのギャップが完全にかとしワールド。

今作ではセンターを務める彼女は、キャプテン佐々木久美と同様に外番組における「日向坂の顔」として活動することが増えており、火曜日に至ってはラヴィット(5/25でレギュラーでの出演は一旦最後とのこと)→ひなあい収録→レコメンの大車輪の活躍です。
そんな大活躍の彼女も、時折見せる自信のなさであったり苦悩を抱えていたのだろうな、という点が冒頭の語りでも伺えます。
グループのしんがりとして何事にも挑戦してゆく姿は後輩からするととても頼もしかったであろうし、ミホワタナベとの関係性然り、先日のインタビューでの小坂さんの発言といい、仲間をよく見て仲間のことを考える、そして誰よりも早く助けに身体が動くような先輩がグループにいることの頼もしさったらないよなと。
あなたは素敵だよ!!と伝えたくなるPVです。そして直後にパラパラで殴られる。これぞかとしワールド。


<本編のみどころ>
・語りの率直さ
・撮影は九十九里とかそっちの方なのかな
・「アイドル」という職業に対しての考え方が好き
・歌声が素晴らしいんですよほんとに
・この曲を聴けてよかった
・お????という展開
・この両方がかとしだなぁーーーーーーー



齊藤京子『死んじゃうくらい、抱きしめて。』(TYPE A)

<予告編を観て>
国民的彼女こと齊藤京子。自分がどう見られたいかの像が極めて明確であり、かつそれを極めて解像度高く描き出す自己プロデュース力の塊。プロ意識の高さが存分に発揮されています。かたやキョコロヒーでの危なっかしさ。それもまた彼女の魅力だなあと思います。

予告編は縦画面?横画面?な画角からスタート。ドライブデートで湖畔のテーマパークにでも遊びに行ったのでしょうか。「彼氏」目線(括弧付き)の映し方だったり、同じ空間に居るような気がしてくる魔力が半端ないです。白ニットとお団子でベランダに居る部分がとても良きです。
彼女がいつしかブログで記していた発言(うろ覚えですが)では、ボイトレの先生の高音を褒められた、という記載があったのを見て、かつてのソロ曲『居心地悪く、大人になった』のような低音域を活かした曲に加えて、こうした基調高めのカントリー調というか、ぱっと聞きユーミン系の楽曲の印象でもいけるしもっと聴きたいとなる惹き込まれ方でした。作詞の山崎あおいさん、作/編曲の宮野弦士さん、ありがとうございます。
超個人的な感覚としては、齊藤京子さんに「赤い公園」の楽曲をこの声で聴いてみたいなあと思わせられる予告でした。

※上述のブログは上記のものでした


<本編のみどころ>
・0:17頃の表情
・助手席のシチュエーション
・無邪気に追い掛け合う部分
・お茶を飲むときの上目遣い
・全編に渡る懐メロチックな歌に乗る高音域も綺麗な歌声
・落ちサビからあとの風景と描写



佐々木久美『NIGHT FLIGHT』(TYPE D)

<予告編を観て>
KPOPのテイストを感じさせる画と、エレクトロポップな音楽。YUKIKAの『서울여자 (SOUL LADY)』を思い出しました。ラップも本人希望だったのかなあ。素敵でした。
大人の世界観を表現できる貴重な存在だし、本人のスタイルや着こなしからも、こうしたフィールドでの活躍をもっと見てみたくなります。
日向坂のキャプテンとしてチーム内外でも圧倒的に頼れる人ですが、本作ではキャプテンという役割ではなく「佐々木久美」という人の可愛らしさであったり、歌声、表情、世界観を感じられるという意味で、必見だと思っています。
一人一人の歌声にフォーカスできるのも、グループでは歌い得ない歌詞に挑めるのもまた個人PVという場所の素晴らしいポイントであると感じました。


<本編のみどころ>
・佐々木久美さんの歌声好きかもしれん
・どんなファッションでも着こなすセンスが凄い
・MV女優としていろんなバンドのやつに出てほしい



佐々木美玲『みーぱんの目指せ!ドッグトレーナー』(TYPE A)

<予告編を観て>
冒頭の自己紹介といい、表情といい、クマとの戯れといい、サムネといい、「みーぱん」全開の素晴らしい映像。
「初めての方も、そうでない方も、こんにちは!佐々木美玲です!」からみーぱんの優しさが伝わってくる。大好物がパンであることを伝えるときの笑顔で世界が救える気がしてきます。みーぱんの腕に抱かれているクマくん(で合ってるのかな)の笑顔とほんの少しのドヤ顔、みーぱんの事を信頼しているんだなあという関係性が見えてきます。

犬もまた飼い主に似るというか、天真爛漫な感じが予告の最後の方でカメラを追う際のクマくんの表情にも表れていて尊かった…

※これを書いている際に休養(体調不良による一時的な入院)の一報が飛び込んできたので、ただただみーぱんにはゆっくりと、無理なく休んでもらえていればいいなあと思います。みーぱんが築いてきたものによって救われている人間は沢山いるんだよ!ということを伝えたいなあと。


<本編のみどころ>
・いろいろなワンちゃんと戯れるみーぱんの、ワンちゃんが好きなんだろうなという温かい目線
・ワンちゃんとのコンビネーション
・クマくんとのバトル(?)
・クマくんを褒めるときのみーぱんの表情と言葉選び
・トレーナーの方も楽しそうに教えてくれていたところ



高瀬愛奈『ホントのワタシ。』(TYPE A)

<予告編を観て>
2021年に入ってフィーチャーされることが多くなってきた彼女。番組での「それ盛ってるで!」は発明だと思いました。また、レコメンでのかとしまなふぃコンビの関係性といい、ボソッと鋭い角度から突っ込むところといい、バラエティ面での頭角をメキメキと表している才女。そうした彼女の今回の個人PVは、彼女のことを描き出すと同時に、彼女の周りの環境、および支えてくれてきた人への想いも描き出しているように感じざるを得なかったなと。両親然り、「スノー・プリンセス」然り。そして監督はおなじみ、かつ安心と信頼の頃安監督。頃ふぃ監督。いつもお世話になっております。

映像の内容としては、ミュージカル「スノー・プリンセス」のオーディションを受けるシチュエーションで、事前にノートにメモしてきた自己アピールの言葉を練習で読み上げるところから始まっています。しかし、いざオーディションで自分の番が来ると思ったように話せない。そんなときに考える「ホントのワタシ」って何だろうというある種根源的な問に対して、作中の高瀬愛奈さんはどう答えるのだろうか、というズバリ「予告」になっています。本編でこの辺りをどう展開していくのか、観たくなる内容でした。

※また余談ですが、作中のダンスの振付はYUKO先生のようです。(クレジット表記あり)たのしみ。


<本編のみどころ>
5:20以降の展開。そして6:20〜。構えてなかった分あの流れは泣いちゃったな…TYPE A収録の中で一番泣きながら見てたかもしれないです。まっすぐな人だ…



高本彩花『夜灯』(TYPE B)

<予告編を観て>
大人の表情を魅せる高本彩花さん。本人の希望・理想のシチュエーションでの撮影だったのだろうなと勝手に推測していますが、こうした場所や装いにも気圧されずなんだか似合う気がしてくるところは、彼女が文字通り大人になったという一つの証左であり、素敵だなあと。笑顔が素晴らしいですね。

ここ最近の高本さんは本当に自然に笑うし、ひなあいでもリアクションを抜かれることも増えたりと、目に見えて成長したメンバーの一人なのではないかなと。もちろんみんな成長しているのは前提としてですが。最近からは筆者自身も高本さんのトークも取り始めたりしていて、昨年の自粛期間から継続しているという通話に関しても欠かさず続けていて、偉いなあと。22歳の誕生日ブログが個人的に素晴らしかったのでこの下に貼っておきます。


<本編のみどころ>
・飲んでるのカフェオレなんだ…!
・いい笑顔だよね
・東京カレンダー的空間×高本彩花の可能性
・後半の語りの内容



東村芽依『わたしはねこ』(TYPE D)

<予告編を観て>
誰が何と言おうと東村芽依さんは猫です。本人がそう言ってますので。作曲は宮野弦士氏。人間誰しも猫になってしまいたいという感情を抱いたことはあるかと思いますが(偏見)、東村さんはあまりにも猫です。かわいい歌詞なのに振り付けとかはキレがあるし、運動神経抜群でありながらとてもチャーミングな彼女こそ猫なのです。

運営「5枚目シングルの各メンバー個人PVではひとりひとりやりたいことを考えてきてもらいます」
めいめい「私は猫です」

的な流れだったのでしょうか。しかしながらこの題材こそが彼女の掴みきれない魅力を端的に表しているのかもしれません。本編へ、To be continued...

※おまけ:猫になってしまいたい感情の歌で思い出したので貼っておきます


<本編のみどころ>
・2番以降もとんでもなく可愛い
・縁側のめいめい
・シャー!
・スキルがあるから歌としてしっかりしているのがまたいい
・世界が平和になる



2期生

金村美玖『水色、美玖色』(TYPE A)

<予告編を観て>
伊藤万理華『まりっか'17』を彷彿とさせる、「個人PV」の源流を汲む瑞々しさあふれる一作だと思っています。高校生から18歳の金村美玖さんへと成長した彼女は、可能性に満ち満ちたまさしく「真っ白キャンバス」であり、自らの色=美玖色を求めて日々挑戦を繰り返しています。

私の色=強みってなんだろう、と筆を迷わせながらも描いていく様、「水色 美玖色 迂回路は迷路でぐるぐるカラフル」という歌詞。悩み迷える青春という感じがもう本当に素晴らしいですね、そして久々に聴けた「初ガツオ」。何をどう描こうとあなたの未来なので、悩みつつも信じて道を進んでほしいなという気持ちです。予告の最後に「バン!」と壁画に絵の具を塗ったヘラで塗りつける、そんな気概でこれからも何事にも挑戦していってほしいなと思っています。

※個人PVとは関係ないのですが、声春っ!4話の雪菜と多恵回、とても良かったっすね………


<本編のみどころ>
・全部。1pickなのでね…
・といいつつも、中盤出てくるメガネ姿も素晴らしい
・自らのキャッチフレーズやふと発した言葉、パブリックイメージなどを落とし込んでいる歌詞
・おや…?エンディング後に…?



河田陽菜『かわだっち』(TYPE D)

<予告編を観て>
かわ”だ”っち、なんですよね。そこに誰も突っ込まない。やまぐっちのシュールさ。これがKAWADAさん原案なのがもう素晴らしい。この世界観考えた人は誰ですか!!1チャチャ進呈したいので!!!誰か!!!

これに至っては解説とか感想とかが野暮になってくるというか。令和にたまごっち的発想を持ってくる企画力であったり、どんな服装も着こなしてしまうところだったり、表情とか歌声とか、ダンスの安定感とか実はスキル高いみたいな部分も素晴らしい。やまぐっちになってあんなに可愛い子ほかにおらんで!!!

DASADAといい声春っ!といい劇中アイドルグループの役として登場することが多く、演技的な面でも実際信頼を置かれているんだろうなとも感じた企画でした。また舞台『あゆみ』見返そうかなあ。


<本編のみどころ>
・お?という導入
・なんだこの愛らしさは
・8:46の大長編だが体感は一瞬
・悪(?)
・県を代表するという概念
・曲の部分本編はこうなるのね!
・ほんのちょっぴりの狂気



小坂菜緒『文学少女のふりをした彼女は、自分がスポーツ漫画オタクであることを地球上の誰にも言い出せずにいる。』(TYPE C)

<予告編を観て>
好きなものを語るという行為は、ともすれば自分のパーソナルな側面を吐露する行為だと思っている節があるので、ある意味で勇気がいる。自らに課されている外部からのイメージからのギャップがあれば尚の事。そうした青春における不安定な部分をすくい取ったり、かたや佐田ゆりあを演じたり、彼女の「演じる」という側面の底知れなさを感じさせる作品だと感じます。
日向坂の中では演技面で突出したメンバーは何人かいると思いますが、その中でも小坂さんは自分の中に「役をおろしてくる」タイプの演技の人だと感じていて、色んな作品で演じる小坂さんを観てみたいなあと思わされる個人PVでした。

余談ですが、小坂なラジオだと素に近いというかクールだけじゃない彼女の一面が見られる(聴ける)ので、オススメです。


<本編のみどころ>
・秋元康的な長文タイトルだけど作品性の高さよ
・色んな場面で活きてくる身体能力
・声がいいっすよね…
・佇まいと独白で画が持つ、被写体としての強さ。
・京アニのアニメ第1話を見たような感覚になった
・メイキング映像、こんなんなんぼあってもいいですからね



富田鈴花『富田っ!あんた、間違ってるわ!』(TYPE C)

<予告編を観て>
様々なかわいいに挑戦するその姿勢もまた可愛さあふれる。デコ出しするようになった最近からメキメキと自分の中でも注目度が高まっています。トゥイトゥイは歌詞に意味などいらないんじゃ的なアンチテーゼなのかもしれない(違

パフォーマンス面で誰しもが信頼を置く富田さん、バラエティ面でも前に出るキャラながら、一時期は「負けキャラ」的な側面もあったものの、かわいいに向き合うこのキュートさって素晴らしいんですよという、エールを贈りたくなる予告でした。


<本編のみどころ>
・タイトル、そこからなのか
・かわいいに向き合う人のキュートさよ
・照れつつもかわいいをやる姿のかわいさなんですよね
・鏡越しの笑顔、優勝です。
・あなたは可愛いんですよ!!!



丹生明里『丹生明里のやりたいこと10個やってみた!』(TYPE B)

<予告編を観て>
丹生ちゃんが本当にやりたかったことをここで叶えているんだろうな、ということがビシバシ伝わってくる作品。なぜかホームビデオを観ている感覚になりました。きっとNIBU FIRST TAKEのところとか超絶嬉しかったんじゃなかろうか、とか。

彼女は本当に楽しそうに物事に取り組んでいるし、画や対応に一種の安心感があるというか、ずっと観ていられる感じというか、「楽しそうにしてくれていれば僕らも幸せだよ」みたいな感覚です。Eテレでなにかのレギュラー番組持てるんじゃないかと思います。


<本編のみどころ>
・給食への執着(?)
・NIBU FIRST TAKE
・エモい光の中に佇む姿が様になっていて素晴らしい
・お魚に思わず謝る丹生ちゃん
・和が似合いますね…
・まさかの登場…?!



濱岸ひより『ひよタンバリン』(TYPE C)

<予告編を観て>
バチボコお綺麗になられている…。タンバリンを叩くたびに様々な洋服に身を包んだ濱岸さんが表れていきます。長い手足に伸びやかな歌声は、普段冠番組で見る姿とはまた一味違う魅力があるなあと。
近い将来専属モデルの話が来るんじゃないかと見ています。それくらい絵になるしお綺麗。

演技面の話だと、本PVとは関係ないものの、『ボーダレス』の八辻圭役を見事にやり遂げていたのは素晴らしかったなと思います。目が見えない役という特殊な状況ながらも、櫻坂の渡邉理佐さんとの姉妹役としての掛け合いやアクションシーンをこなしていく姿は頼もしさすらありました。5thのポジションでは初めて2列目に上がったほか、先日のユニット祭りでも2002年組とみーぱんファミリーの2つに参加という流れが来ている感覚があります。のびのびと、濱岸さんらしく過ごしてほしいという気持ちです。


<本編のみどころ>
・タイトルへのこだわりが伺える
・喜んでる濱岸さん、素敵
・タンバリンによって変化していくことの意味合いにぐっとくる
・お姉さんになったね…



松田好花『真夜中の松田さん』(TYPE B)

<予告編を観て>
魅力が12分に画面からはみ出るくらい伝わってくる。松田このの笑顔はこっちまで笑顔になる魅力があります。しかもそれがごく自然な感じというか。

「夢から覚めたらもうNight 今夜は朝までAll Night このまま終わる好花
じゃないぞ」の部分好きすぎるなあーーー。冒頭の自己紹介でサラッと語っているようにギターにゲーム、バレエに一発ギャグまでと多才かつ努力家の彼女ですが、この個人PVに込めたのは「深夜ラジオ愛」であるところがたまらないなあと思います。深夜ラジオのあの心にスッと入って来る感じ何なんでしょうね…幾度となく救われてきた記憶があります。

話が逸れたので本作に話を戻しますと、日向坂としての自身初の個人PVで赤ジャージを着るという選択がとても愛らしいというか、ここに映っているのは「アイドル:松田好花」であり、「ラジオリスナー:松田好花」なのだなあと感じました。絶対本編も楽しいじゃん…!


<本編のみどころ>
・ジャージメガネの松田このの素晴らしさよ
・目まぐるしい表情筋の動き
・リアクション
・クマのぬいぐるみ2体を使ったのはいつぞやのShowroomオマージュなのだろうか
・RNは…?
・曲と歌詞と楽しそうな松田こ、優勝です。



宮田愛萌『私たちの未来』

<予告編を観て>
この春大学を無事卒業した彼女。撮影は母校で行われたとか。けやき坂として、そして改名後の日向坂としての活動と両立しながら司書課程まで修了しての卒業は、想像を絶するほどハードであったと思うし、彼女のとんでもない努力の故に成されたことなのだなと改めて痛感します。
そんな彼女が憧れたという「普通の大学生活」。大学の授業、サークル活動、友達との交流、就職活動、アルバイト、等々。我々、というと主語が広いですが、私もまた上記のような「普通」の大学生活を送っていたし、いま社会人として働いている身からすると、アイドルとしての彼女の「特別」な生活に思いを馳せることもあります。そんな思いで見ていると飛び込んでくる下の一節で泣いてしまったんですよね…

「誰かにとっての普通は、私にとって特別でした。」

そうだよな、と同時に自分の「普通」な生活を卑下することなんてないんだよな、と思ったというか。「アイドル:宮田愛萌」からIFの世界線の「〇〇:宮田愛萌」を見ている感覚になった作品でした。それでもってタイトルが『私たちの未来』なんですよね…アイドルになってくれてありがとうという気持ちです本当に。

<本編のみどころ>
・宮田さんの歌声と歌詞
・友達役の2人との交流
・随所で友達(役)の子が撮ったであろう写真での表情
・晴れ着の綺麗さ
・エンドロールの尊さ
・レコーディング終了後に思わず涙する姿



渡邉美穂『普通にあこがれて』(TYPE C)

<予告編を観て>
企画力と演技力が突出しているなあと。「ずっとアイドルになりたいと思っていた。それ以外の生活は考えてなかった。」から始まる本作で、「普通の生活」を送っていたとしたらどうだっただろうか?を描くのであれば、その「普通」を自らが演じるのがある種セオリーであるところ、「目覚めると知らない女性と入れ替わり、「普通」の家庭で娘を持つ母親になっている」という設定を持ち込む発想が凄い。劇中の娘が母親に投げかける疑問はそのまま透過して自分自身にも投げかけられているという構図で、予告の最後では安西先生の「諦めたら、そこで試合終了ですよ」を投げかける。予告編は1分半にも満たない時間なのに、ミニシアターで30分くらいの短編を見たような感覚でした。この作品も監督は頃安監督。ありがとうございます。

もとより演技力の評価が高く、舞台『あゆみ』や『Re:mind』、『DASADA』や『声春っ!』で主役級やキーパーソンを演じてきたことからも彼女の演技に対する周囲の信頼度は高い水準にあると思っています。
計画性と努力と負けず嫌いの彼女の伸び代はどこまでも高いと思うので、演技仕事どんどん観たいなあーと思った個人PV予告でした。


<本編のみどころ>
・逡巡や戸惑いを表現するのが上手すぎる
・お母さん的な服装も何故か着こなせている感
・親の猛反対を受けてもオーディションを受けた彼女だからこそ発する言葉の重みが変わってくる
・あーーこれ良いなーーーーーー


3期生

上村ひなの『明日はもうちょっとアイドル。』(TYPE C)

<予告編を観て>
かわいい。No.17でありアルパカジェントルメン。この子が最年少であることの末恐ろしさと、彼女のフォトジェニックさ、歌声の魅力などがギュッと詰まった予告編になっていると思います。
17といえば『まりっか'17』ですが、一瞬彼女が長濱ねるさんに重なるような感覚を覚えた瞬間もあり(1:37あたりとか)、受け継がれているんだなあと勝手にエモーショナルな気持ちになったりもしました。

そういえば作中では激辛らしき麻婆豆腐のようなものにチャレンジする描写がありましたが、先日の有吉ゼミで激辛の麺に奮闘していた姿を思い出しました。普通にハードな企画だよなあとか思いつつも、ここでチャレンジしたことがもしかしたら活きていたのかも…?と思うなど。

新3期生である三人が加入してからというもの、彼女が同期メンバーとタメ語で話しているような描写(ひなあい3期生楽屋隠し撮り企画など)を見ると「仲間ができてよかったね…!」と思うし、のびのびと活動してもらえたらなあと思いますね。


<本編のみどころ>
・チャレンジ、かわいい。
・アルパカジェントルメン、思ったよりシュッとしてる
・アイドル力を鍛える項目の中に大喜利が自然にある感じ
・回答の練度よ
・掛け声よ
・ラブポーションNo17の愛らしさったらない



髙橋未来虹『そういえば、あの頃』(TYPE D)

<予告編を観て>
未来虹で「みくに」。素敵な名前だよなあと。3期生の個人PV(予告)の中では一番の王道というか爽やかというか、キラキラした作品だと思います。まあ他の3人が「アルパカジェントルメン」「増殖」「ラミちゃんと野球」という変化球3種というのもありますが、そういった面を差し引いても彼女の王道ストレートな感じが映像から伝わってきます。

内容としても、2020年から続く状況の中で青春時代を過ごすティーンへのメッセージといいますか、「そういえばあの頃 いつかいい思い出になるといいな 笑い話に」と現役の高校生で自らの青春もこうした情勢によって巻き込まれてしまっている当事者が発する言葉というのは、やはり芯を持って迫ってくるものがあるなと感じます。

日向坂としての活動を開始してからは1年と少し経った時期ですが、いろんな困難が合った中でも活動してくれてありがとうだし、新3期生個々人のキャラクターもだんだん見えてきた時期だと思うので、こうして王道ストレートを投げられるのって強いんだぜというのを見せつけていってほしいなと思っています。


<本編のみどころ>
・透明感が凄い
・晴天と自然(海・山)の背景が似合いまくる
・いたずらっぽい笑い方良いですよね
・tipToe.みたい(適切な感想かはわかりませんが)



森本茉莉『MARIE IN WONDERLAND』(TYPE B)

<予告編を観て>
奇才。加入当初に使っていたキャッチコピーというかフレーズをサムネでも使っているのに、中身は沢山の「森本茉莉」が存在する世界に迷い込んでしまうというもの。まさしく『MARIE IN WONDERLAND』。シャフト的世界観ですよねなんか。「早く答えないと、あなたもこの世界と一つになってしまいますよ?」とは…。

不思議な世界観に圧されてしまうものの、実は演技力高いんじゃないかとか、自分を増殖させるという発想だとか、まだまだ底知れないポテンシャルを感じさせる一作。本編、果たしてどうなっちゃうんだろうか。


<本編のみどころ>
・普通な語り口調から突然異世界に飛ばされる感覚
・ふとした表情の魔力
・えっ怖い、怖くない?
・これ原案まりもとなのすっごいなこれ
・マトリックス
・衝撃度No.1。
・これミーグリ増えるな間違いなく



山口陽世『ぱるよの星』(TYPE A)

<予告編を観て>
サムネから既に優勝している。ぱるとラミちゃんのコラボレーションはあまりにも画力が強い。オマージュ元も比較的わかりやすく、「伝説のパワーヒッター:ラミレス」を三振に打ち取るべく「伝説の敏腕コーチ:ラミちゃん」とともにトレーニングに励む様子が映っています。Tomorrow is another dayの精神をここで聞くなんて。

映像の作り方も洋画の予告編さながらにシーンの切り替わりや字幕、人物紹介からのクライマックスシーンでタイトルロゴの表示と盛りだくさん。しかもちゃんと映画のカメラの画面比になっている細かさ。
Youtubeのコメント欄でも見かけたように、映画『ベスト・キッド』を彷彿とさせる部分もあります。山口陽世はジェイデン・スミスだったのかもしれない(?)

あと、「この一球にすべてをかける」で少し舌っ足らずになるところが好きなポイントです。並み居る予告編の中でも一番の再生回数(5月26日現在63万回再生超え)を誇るのもうなずけますし、早く本編が見たい。


<本編のみどころ>
・ラミレスさんを見つめるキラキラしたぱるの視線
・ラミちゃんとぱるの会話
・ラミレスさんのバッターボックスでの佇まい
・「でも、相手はラミレスさんですよ?」
・二人の特訓シーン
・野球着が似合うぱる
・マウンドに感謝を告げる陽世
・応援する子どもたち
・「この一球にすべてをかけりゅ」
・エンドロールのメイキング風景


おわりに

本稿では「日向坂46にとっての個人PV」と22人分の個人PVについてその感想と偏愛を書いてきました。
乃木坂46にとっての個人PVはグループにおけるクリエイティビティの足場の一つとして間違いなく機能していましたし(今も)、ここで共演したクリエイター陣と各メンバーとが新たな化学反応を起こすことで生まれるキャリアなどもあり得ると思います。
日向坂もまた先人たちに続く歴史の源流に触れ、自らの歴史を生み出していくという転換点に居て、そうしたタイミングでこうして個人PVという足場が日向坂にも生まれたことはとても喜ばしいことだし、連綿と続いていってほしいなと思わせられた個人PV群でした。


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