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頽廃空虚の叢にー!プレイ感想がシャウトするゥウAAH!【レイジングループ 紹介&プレイ後雑記】


どんなゲーム?

レイジングループはケムコから発売されたサスペンスADV。閉鎖的かつ前時代的、独自の風習を持つ集落を舞台として人狼ゲームを骨子とした殺し合いに“よそ者”である主人公は挑むこととなる。いわゆるデスゲームもの。

あらすじ

主人公である房石陽明は山中でのバイク事故を契機にとある集落に迷い込み滞在を余儀なくされる。そんな中立ち込める霧、住民の異様な信仰、立ち振る舞い。古くから伝わる伝承。集落に人狼が紛れ込んだ。人狼は毎晩ひとりを殺す。村人は結託し日中の会議にて疑わしき人物を吊り人狼を追い詰めねばならない。人狼ゲーム。“黄泉忌みの宴”の始まりだった。房石は集落に迷い込んだ彼を匿った少女千秋らと協力し集落を覆う人狼の怪異や人間の悪意へと挑む。彼はこの集落を覆う仄暗い黄泉の霧を払うことができるのか。

おもしろポイント

実際に“死ぬ”人狼ゲームだからこそ現実にはない盤外戦術。

人狼ゲームのシステムをそのままに古くから集落に伝わる伝承という形態で民族ホラー風味にリメイク。高い頭脳ゲーム性と黒幕を予想させ興味を牽引するストーリー性を両立させている。
そして、テーブルゲームの人狼ゲームはゲームの進行に従うことしかできない一方でレイジングループは異なるいきなり殺し合いに村人は人狼ゲームのルールを尊重する必要はない。市民が自室に戻らず夜に出歩き重要な目撃をする(もちろんデスペナルティが降るのだが)噛み殺される。吊るされるといったゲーム部分とは別軸で起こる盤外の殺人。勝利目前のサイドを負け濃厚のサイドが武力で制圧。
死が隣り合わせのゲームのシビアなゲーム、ルールや手段など選んでいられない。たとえ死んだとしても

役職や陣営によって様々な面を知る、個性的なキャラ

人狼ゲームに参加するキャラたちは皆個性的。冷静かつ若干サイコパス味のある天才系の主人公を筆頭に、伝統を重んじる老婆、集落の若大将。都会に憧れる少女。寡黙な狩人。本家を追放された未亡人。真面目かつ現実的な少年。取材に訪れ巻き込まれた写真家。など様々

舞台となる集落は村八分となった人々が押し込められ川上にある本村から迫害を受ける所謂差別的な背景を持つ。村の成り立ちや伝統、そこに住む人々も皆集落と同様陰のある人々。ループするゲームの中で立場や役職が変わるたび、月の満ち欠けのように見え隠れする彼らの正の面や負の面はゲームやシナリオの魅力に大きく貢献している

プレイヤーの裏をかく。推理の楽しいシナリオ

このゲーム、実はループもの。何度も人狼ゲームにて死を経験しつつ主人公の房石は活路を探す。ループのうちに様々な役職を経験する中でゲームとはいえ人狼役になった村人はなぜ残忍な殺害方法で隣人を殺めることができたのか。オカルト的な何か?催眠?それとも事件性のあるものなのか。作中でこの答えに辿り着く過程は推理ではない。あるループで主人公であるあなたは人狼の役職を与えられるのだから。この人狼のルートは作中でもゾクゾクが収まらない刺激的なルートだ。繰り返しになるが人狼ゲームという完成されたゲームが骨子であるからこそ、それに対するメタや先入観の利用がシナリオを爆発的に面白くさせている。黒幕は?なぜ殺し合いをする理由は?そもそもなぜ我々は当然のように隣人を殺めている?システムと密接に結びついた謎、そして期待させた上でその期待を裏切らない展開はプレイのモチベーションを牽引してくれる。

また、主人公の頭脳も魅力。こういったゲームにありがちな「プレイヤーが先を読めてしまう」をギリギリさせない絶妙なタイミングで真実を暴く。プレイヤーは真実に気づいているのに劇中では見当はずれな話をしているなんてストレスが全く起こらない。逆に言えば複雑な展開や情報の氾濫も彼がしっかり理解しロジックしてくれるのでプレイヤーも置いてきぼりにならない。

解決編のカタルシス、最後まで一気読みしてしまう

サスペンスADVなので貯めた伏線を回収する解決編が当然存在するのだが非常に丁寧で完成度が高い。また伏線が回収されきり主人公がいざこれから解決だと意気込む段階ではプレイヤーは揃った材料をどのように料理するのか予想がつかないようにできているので解決編の最中も予定調和ではなく常にプレイヤーさえも驚かされ続け圧巻の展開に。そして爽快感のある終着点へと帰結する。この部分の満足感はADVにおいて作品評価そのものに直結するのでプレイされる方は安心してプレイして欲しい

ネタバレありの魅力&感想

・ループものの盲点をつく展開。ループしていたのは主人公ではなかった王道なデスゲームもののメタを突いたようにループもののジャンルでもプレイヤーを欺く妙に脱帽。

・超常的なオカルトの恐怖に晒し続けた後に最後に全て実は人の仕業だったというオチ、人によっては拍子抜けや投げた展開と思うかもしれないが実際に人狼ゲームの中で極限状態の人々の丁寧な心理描写、発狂、行動を見てきた上で提示される極めてシステマチックに構成された肯定された殺人ゲームそこすら知れぬ人の悪意の恐ろしさが遅効性で効いてくるのがたまらない。

・エピローグの充実。殺し合いのループから脱した各キャラの明るいその後がかなりのボリュームで丁寧に追加されている。本編とは無関係なため蛇足とも取れるが彼らの苦悩を本編で嫌というほど見せられるので幸せなシナリオの満足感はめちゃくちゃ高い。

・すっごい根本的だけどUIとチュートリアルが丁寧でめっちゃ遊びやすい。

・仏舎利ロック

・総評。民族ホラー、デスゲーム、サスペンスと俺好みの要素が完璧にマリアージュした神ゲー。キャラ、シナリオ、テンポ全て文句なし。続きが気になって毎晩かじりついて遊んでました。もっと早くやっとけばって一本。好きなシーンは能里さんの家で資料収集するシーン。能里さん嫌いな人いないだろ。興味を持た人は是非プレイしてくれ。

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