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時計ブランドを陰で支えるサプライヤー

クロノスイスの記念すべきタイムピース『デルフィス』のムーブメント開発にも携わった、ハイエンドな技術者集団。
名門「ラ・ジュー・ペレ」についても掘り下げてご紹介してます。

クロノスイスがブランド創業40周年として2023年に発表した記念モデル『デルフィス』。

この特別なモデルは、1996年発表のアイコニックピース「デルフィス」を最先端技術と伝統的な職人技を融合させ、ジャンピングアワーとレトログラードミニッツのダブル・コンプリケーションを継承しています。
ブランドのアイコンを再構築し、息を呑むような美しいファイヤーエナメルとユニークにカーブしたギョーシェ文字盤を備えました。

そして、このタイムピースにはスイス屈指の高級エボーシュメーカーであるラ・ジュー・ペレと共同開発をした自動巻きキャリバーC.6004を搭載しました。

【デルフィス オラクル Delphis Oracle,CH-1421.1E-BLBK】の記事もご参照ください。

スイスの高級ブランドでも、現在は自社製ムーブメントの製造を終了しているところは多く、その為ムーブメントメーカーが製造した未完成のムーブメント(エボーシュ)を購入、または共同開発して時計を製造しているブランドが数多く存在します。

時代の流れとともに吸収・合併を行いながら存続している会社も多いエボーシュメーカーについて、そしてクロノスイスの記念すべきタイムピースである『デルフィス』のムーブメント開発にも携わったハイエンドな技術者集団である名門「ラ・ジュー・ペレ」についても掘り下げてご紹介していきます。


⚫︎有名エボーシュメーカーのあれこれ

時計大国であるスイスでは、古くからパーツごとの製造を専門とする数千ものサプライヤーが点在し、時計製造の発展に貢献してきました。

しかし1970年代にスイスの機械式時計は販売数・生産数ともに激減した原因となった、後のクォーツショックがあり、時計業界は大打撃を受けました。
そのような状況下で廃業を余儀なくされた時計ブランドやサプライヤーもありました。

「ラ・ジュー・ペレ」の他、現在も活躍する代表的なエボーシュメーカー

当初は得意分野をそれぞれが受け持つビジネスモデル‘水平分業’で発展してきたスイスの時計産業でしたが、近年では大手時計グループがサプライヤーを傘下に収めるようになりました。

これにより成果が上がった点は、高品質・高精度なパーツを使用でき、安定した納期を見込めるようになったことが挙げられます。

⚫︎高性能ムーブメントの製造で知られる名門「ラ・ジュー・ペレ」

独自で機械式ムーブメントや部品を製造し、名だたる高級時計ブランドへそれらを提供する業界屈指の工房である「ラ・ジュー・ペレ社(La Joux-Perret SA)」。
卓越した技術と高いクオリティで知られる同社は、古くから時計パーツの生産が盛んなスイス北部の山間部に広がる時計都市、ラ・ショー・ド・フォンにあります。

主要な時計ブランド名についてはご存じの方も多いかと思いますが、スイス時計業界(製品)を支えるサプライヤーについてはなかなか表に出てこないということもあり、知られていないのではないでしょうか。
またダイヤルのデザインや素材など、時計の魅力を決定づけるパーツは数ありますが、時計愛好家ならその心臓部であるムーブメントに着目される方も多いです。

⚫︎日本企業による買収

長期的な円高傾向が日本企業の海外進出を促し、また企業力を強化する目的で日本企業による海外企業へのM&Aが多かった2010年前後。
この頃に日本の有名時計メーカーはスイスの機械式時計メーカー「プロサー・ホールディング(Prothor Holding SA)」を傘下に収めました。

ムーブメント製造のパイオニアであるラ・ジュー・ペレは、もともとプロサー・ホールディングの所有であり、日本の時計メーカーがラ・ジュー・ペレを買収したということで、その当時時計業界で大きなニュースになりました。
主にクォーツでの開発が目立っていた日本の時計業界ですが、スイスのムーブメント生産会社となる‘マニュファクチュール’を獲得したことは高級機械式時計を本格的に製作していく意図が垣間見えた出来事でした。

⚫︎ラ・ジュー・ペレ社のムーブメント

ラ・ジュー・ペレといえばフライバック式クロノグラフやピラーホイール式クロノグラフなど、クロノグラフのムーブメントカスタマイズを得意としています。
このような、付加価値の高い機構を搭載したいという時計メーカーにとっては、なくてはならない存在といえます。

また、ラ・ジュー・ペレのムーブメントを搭載しているということは、きちんとした品質の証でもあり、販売員にとってはその時計の推し要素にもなるほどです。
そして、ムーブメント製造の技術に加えて高い装飾技術も兼ね揃えているのも特徴であり、審美性の高いムーブメントに定評があります。

開発などにおける物語を垣間見れるのも時計選びの楽しさだと思います。
みなさまもぜひ今お持ちの時計のムーブメント、またはこれから手にされる時計のムーブメントがどのように開発され、どういった歴史を歩んだのか調べてみてはいかがでしょうか。

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