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最近読んでおもしろいと感じた本◆令和言葉・奈良弁で訳した万葉集のシリーズ

本日は、最近おもしろい本を読んだのでご紹介したいと思います。

それは「令和言葉・奈良弁で訳した万葉集のシリーズ」というものです。
著者は佐々木良さんという方で
私が読んだのはシリーズの1冊目、恋愛に関する歌を集めた
『愛するよりも 愛されたい』というタイトルの本です。
(Kinki Kidsの曲のタイトルみたいですけれども…)

「万葉社」について

発行元は「万葉社」となっています。
この出版社は著者の佐々木良さんがお一人で
執筆、編集、出版すべてを手掛けているひとり出版社とのことです。
ニュースで紹介されていてとても驚いたのですが
20万部の売り上げを達成したとのことでした。

インタビューを読んでみましたら
非常に軽やかな考え方をされる方だなと感じました。
学芸員として働いておられた時に図録の出版をされたことがあり
その経験を生かしてひとり出版社をしているとのことでした。

学芸員時代にコロナ禍で出版の話がなくなってしまい
「それなら自分でやろう!」と思い立ち
給付金の10万円で始めたとのことです。

そして「人を喜ばせられるものなら出版じゃなくても良い」
というふうに話されていて
デザインの仕事などもされているとのことです。

私は、出版というのは
たくさんの人が関わらなければできないという思い込みがあったなと
この方の記事を読んで感じました。

Kindle電子書籍などの出版の道はあるんですが
紙の本は難しいんじゃないかな…ですとか
自費出版などは小規模なものでしかないという先入観がありました。

「こうでなきゃいけない」とか
「こうであるもの」という思い込みを
いつの間にか持っているなぁと感じたので
この方の話を聞いて
「できるかどうか」じゃなくて
「やってみよう」という気持ちから
まっさらな気持ちでやってみたら
また違ったものが見えてくるのかもなと感じました。

万葉集の歌について

万葉集というのはご存知の通り
奈良時代末期に成立したとみられる日本に現存する最古の和歌集です。
(今から約1300年前ということですね)

4500首以上の和歌が全20巻に収められています。
恥ずかしながら万葉集に詳しくなくて
今回調べてみてそんなにたくさん和歌が納められていたのかと驚きました。

天皇、貴族から下級官僚、防人、大道芸人、農民など
様々な身分の人々が詠んだ歌が納められており
作者不詳の和歌も2100首以上あるということで
半分近くが作者不詳とのことなのですね。

その国のトップの人が詠んだ歌や
知識階層以外の人が詠んだ歌も
すべて一つのシリーズ の中に収められているというのは
(詳しくないんですけれども)
あまり世界に類を見ないのではないかなと感じます。

学校の教科書で防人歌について習ったことを覚えています。
防人というのは九州沿岸の守りについていた人たちのことです。

今回 wikipedia で調べてみたのですが
思った以上に酷い状況に置かれていた人たちなのだな
ということが分かりました。

遠い東国から九州まで自力で移動すればならず
さらにその任務期間中の食料、武器も各自で調達しなければならない上に
税の免除も行われなかったとのことで
(ちょっと制度的にひどすぎるんじゃないかなと思うんですけれども)
極限の状態であったとのことでした。

当時よくわからないなりに
彼らの苦しさというのが伝わってきたなというのを思い出し
昔の時代に生きた人の思いの断片というのを
和歌を通して感じ取ることができるなと思いました。

今回ご紹介している
『愛するよりも 愛されたい』を読んでみて
本当に様々な歌があるの だなと改めて実感しました。

失恋の歌、道なき恋の歌、遠距離恋愛の歌などなど
いろいろあるのですが中には
知人の夫の容姿を小馬鹿にした歌ですとか
不倫相手の女を呪い殺したいという歌などがあり
(かなり怖い内容なのですが)
この歌を詠んだ人はまさか
1300年後の人間が読むなんて想像もしなかっただろうなと思いました。
もしそれがわかっていたとしたら
「もっと別の歌用意しますから!」と言ってただろうなと思います。

万葉集は有名ですが
それに納められている歌というのは
意外と知らないものだなと感じました。

インターネットで有名な万葉集の歌20首を調べてみたのですが
しっかり知っていたのは2首くらいで
なんとなく聞いたことあるかなというのは3首くらいで
本当に知らないんだなと感じました。

「令和」という元号についても万葉集からとられた
というのは有名だと思いますが

初春の令月にして、気淑く風は和らぐ…

5巻 梅花の歌 序文

その一文は知っていても
梅花の歌の全体なんて読んだことがなく
もったいないことだなと感じました。

そのため今回の本のように
読みやすく手に取りやすい形で触れることができるというのは
非常にありがたいなと感じました。
興味の入り口になると思います。

こちらのシリーズは現時点で2冊目まで発行されています。
2冊目は『大使少年』というタイトルで
Amazonの紹介文によると
万葉集の「笑い」や「ご飯」をテーマにして紹介しています
とのことでした。
 当時のお笑いグランプリのようなコンテストの優勝作品ですとか
芸人さんが作った歌などが納められているとのことで
非常に興味をそそられます。

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