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Dr.岸田の 感染症コンサルタントの挑戦(23)

[第23回]日本における感染症へのひとつの形―感染症コンサルタントによるプログラム介入による戦略②―

岸田直樹 きしだ なおき
感染症コンサルタント/北海道科学大学薬学部客員教授

(初出:J-IDEO Vol.5 No.1 2021年1月 刊行)

はじめに

 前回は「感染症コンサルタントによるプログラム介入による戦略①」としてそのような介入に至った薬剤耐性菌の日本の現状を把握しました.そのなかで,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)と耐性緑膿菌の2菌種に限定してみても,耐性菌は日本では減少傾向となっています.しかし,その減少スピードは近年鈍化しており,耐性菌はまだまだ多い状況が続いています.よって,その減少スピードを加速する必要があるのですが,そこに関わる中心的な医療者のひとりである感染症専門医は世界的にみても日本はとても少ない状況であることを確認しました.また,日本が他国と違って抱えている状況として,人口減少という極めて大きな特徴があり,感染症医を増やすことは重要ですが,日本の今後は数を増やす論理ではすぐに壁にぶつかることも確認しました.
 そのようななか,感染症コンサルタントという立ち位置で介入してきたわけですが,その介入方法を紹介しました.医療関連感染症などを減らす介入として有名なバンドルアプローチの進化系のひとつとされる“多面的なプログラム”によるアプローチによる介入という手法を紹介しました.さて今回は,その具体的な介入方法とともに,それをどのように評価したかを紹介したいと思います.

介入プログラムを行った病院の特徴

 感染症コンサルタントという立場で,現在は約10施設と契約して介入しています.しかし,訪問の頻度などその介入は単一ではありません.年に1回の講演ということではなく,定期的な介入が重要です.よって,最低でも毎月訪問することを最低条件として初期から介入することができた4病院を評価することにしました.その病院の特徴が[表1]のようになっています.

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