見出し画像

泣く子も黙る感染対策(26)

[第26回]新人に伝える新型コロナ流行期の標準予防策

坂本史衣 さかもと ふみえ
聖路加国際病院感染管理室マネジャー

(初出:J-IDEO Vol.5 No.3 2021年5月 刊行)

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行開始から2度目の4月がやってくる.昨年医療機関に就職した新人は,常にマスクを着けて働き,(少なくともおおっぴらには)飲み会に行かないのが当たり前の一年を過ごしたことになる.大変気の毒ではあるが,それもこれも,医療従事者が発端となるクラスターによる患者の重症化・死亡を防ぎ,医療提供体制を維持するためである.

医療従事者はどこで感染しているのか

 東京都では,無症状あるいは症状が軽微な医療従事者が発端となったクラスターが多数発生している【1】.
 これまでに医療従事者の感染については次のことがわかっている【2】.

・COVID-19の疑似症や確定患者の診療を行う部門(救急外来やコロナ病棟)における職業感染リスクがそれ以外の部門よりも特段に高いわけではない
・診断前の無症状あるいは軽症な患者との接触の際に適切な個人防護具(PPE)を着用していないことが感染のリスクを高める
・手指衛生を実施しないことも職業感染のリスク因子として指摘されている
・市中における飲食の場や家庭内で感染する事例も多い
・同居者数が多いと感染のリスクが高まる

ここから先は

4,038字 / 1画像

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?