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Dr.岸田の 感染症コンサルタントの挑戦(3)


Dr.岸田の 感染症コンサルタントの挑戦(3)
第3回 具体的な介入 ①
マイクロバイオロジーラウンドチームの形成と介入
岸田直樹 きしだ なおき
感染症コンサルタント
一般社団法人Sapporo Medical Academy 代表理事


はじめに

 前回は,「コンサルト病院がどのような状況にあるか?」という現状の把握についてお話ししました.現状を知らずして「どのような目標が適切か?」,「どのような介入が必要か?」,何より介入の効果は見えてきません.しかし,現状の把握といっても細かい医療感染症ごとの現状の把握の前に,まずは耐性菌の現状・培養提出の現状のシンプルなデータが重要で,耐性菌の現状として特に過去5年程度のMRSA率,MRSA菌血症の件数,緑膿菌の感受性,培養提出の現状として血液培養2セット採取率,採取件数のデータを最低限としていることを確認しました.また,アンチバイオグラムの作成の手伝いも最初の現状把握として重要で,その情報提供もノイズになりすぎないシンプルなものがよいことを確認しました.
 さて,今回からはより具体的な初期の介入を紹介していきたいと思います.コンサルト病院への具体的な初期介入の全体像は[図1]のような流れになります.

画像1

[図1]初期に行う具体的な介入の全体像


 今回はまず,Process 1のマイクロバイオロジーラウンドチームについて紹介したいと思います.


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