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微生物検査 危機一髪!(29)

[第29回]いまさらきけない微生物検査①

山本 剛 やまもと ごう
神戸市立西神戸医療センター臨床検査技術部

(初出:J-IDEO Vol.6 No.1 2022年1月 刊行)

微生物検査業務は,流行している微生物の種類に大きな影響を受けます.今だったら新型コロナウイルス感染症ですが,流行とともに生活様式が大きく変動し,今までは結核診断を早く診断したい大きめの医療機関だけしかPCR検査をしなかったのが,比較的規模の小さい医療機関でもPCR検査をするようになりました.私がこの仕事に従事してからは,1996年の腸管出血性大腸菌感染症を皮切りに,新型インフルエンザやデング熱の国内発生事例,最近ではCRE(カルバペネム耐性腸内細菌目細菌)が話題になり,耐性菌検査をしっかりと行わないとと思ったとたんに,COVID-19が流行する状況となり,新しい微生物検査と検査法,そして解釈について覚えないといけなくなりました.そのため微生物検査技師は,ある意味で流行に敏感でなければ,すぐに時代についていけなくなるので,「え,この検査の意味ってわからない」とか,「検査はできるけど深くは知らない」など,今さらいえない,きけないことがたくさん出てきているかもしれません.今回は,そんな素朴が疑問を密かに解消する内容を紹介し,コソ練(コソコソと練習を積む)したいと思います.

Q1 グラム染色ってどうやって色分けしているのですか?

A1 細胞壁構造の違いで色分けしています.

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