微生物検査 危機一髪!(23)
[第23回]臨床推論と微生物検査の繋がり
山本 剛 やまもと ごう
神戸市立医療センター中央市民病院臨床検査技術部
(初出:J-IDEO Vol.5 No.1 2021年1月 刊行)
先日,学会企画のなかで「微生物検査と臨床推論」がテーマの企画があり参加しました.そのときに感じた内容を今回ご紹介します.
1.臨床推論とは?
「臨床推論」とは当該患者の訴えた症状から疾病の内容や病態を明らかにし,診断と治療や,または予後を予測しながら問題を解決していく考え方です.推定した疾患で一度仮説を立てるのですが,その仮説に対する前向きの思考プロセスは担当者の知識や経験はもとより,過去に経験した症例に対する価値観に大きく影響を受けることになります.最終的には収集した情報をもとに仮説に対する検証を行いながら診断へのゴールを目指すものです.臨床検査は仮説を実証するために必要な情報収集の手段であることは言うまでもありません.
2.微生物検査と臨床推論[図1]
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