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抗菌薬相互作用整理BOX(28)

[第28回]i²=-1 ?
~かけ合わせで有害事象発現率↑~

山田和範 やまだ かずのり
中村記念病院薬剤部係長/北海道科学大学客員教授

(初出:J-IDEO Vol.7 No.1 2023年1月 刊行)

はじめに

 本誌前号Vol.6 No.6のSpecial Topicで尾田一貴先生がバンコマイシン(VCM)について解説されていました.
 『抗菌薬TDM臨床実践ガイドライン2022』【1】では,VCMの薬物血中モニタリング(TDM)の際,急性腎障害(acute kidney injury:AKI)を予防するために,トラフ値ではなく血中濃度曲線下面積(AUC)ガイドでの投与量設計が推奨されています.
 特に治療開始前からの腎機能低下(eGFR<30 mL/min/1.73 m²),タゾバクタム/ピペラシリン(TAZ/PIPC)併用,利尿薬使用,ICU入院,トラフ値>20μg/mLがAKIの独立したリスク因子であったとされます.
 カルバペネム系抗菌薬をスペアするためにもTAZ/PIPCがVCMと併用される機会があると思いますが,今回はこの2剤の相互作用についてみていきたいと思います.

相互作用のメカニズム

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